行政(6月更新分)

総務省 ICTによる協働教育の実現と教育クラウド構築

 総務省は、文部科学省などと連携して、タブレットパソコン、デジタル教材などの普及を進めるとともに、「協働教育」の具体像を確立した上でガイドライン化し、2020年までにフューチャースクールの全国展開を完了することとした。また、ポータルサイトや教材などを「教育クラウド」に統合し、SaaSなどを通じた提供を推進する。教育の状況や効果などを、個人情報の保護に十分留意しつつ「教育クラウド」に集約し、2012年度には「教育クラウド」を教育現場に加えて校務にも活用するとともに、2015年には学校運営についての評価・改善を可能とする体制を整備することとしている。

 教育分野においては、ICTの利活用により、授業の層方向性が高まり、自動・生徒の関心・意欲や知識・理解を大幅に向上させる効果があると指摘されている。このため、児童・生徒が互いに教え合い、学び合う「協働教育」の実現を図ることが必要になっている。その際には、すべてを教員が行おうとする従来のやり方を改め、学校と家庭や地域の「協働」を促進するという視点を十分に取り入れるようにしていかなければならない。
 教室での「協働教育」を効果的に進めるには、ポータルサイトや教材などを「教育クラウド」に統合し、SaaSなどを通じた提供を行うことが、費用対効果をあげるためにも必要となっている。また、ICTを通じて、非効率さが目立つ教育行政システムや校務を効率化すること、および教材研修や教育研修について、教育委員会など従来の限られた関係者の範囲を広げ、NPOや企業など多様な主体が関与することを促進する体制を作ることとしている。
 ICTの有効活用により、教育の状況や効果を把握・比較し、生活状況や体力などとのクロス集計を含めた分析を行うことなどにより、児童・生徒の「目の輝き」だけに頼らない方法で授業を改善することが可能になる。すなわち、児童生徒1人ひとりのつまづきに対応しつつ、得意分野を伸ばすとともに、保護者・地域が学校の情報を共有することで、教育への参加意識の向上を図ることができる。一方、個人情報の保護やアクセス管理など、個々の学校や教育委員会で扱うことが困難な問題も多く、これらに対応するためにも「教育クラウド」が必要不可欠となる。その際、教育行政システムは複雑で、教育にはさまざまな主体が関わっていることから、個人情報の管理・利用についての方針策定や実施に関する社会制度面の検討と合意形成を同時に進めることが必要としている。「教育クラウド」の活用により、教育改革を実現するにあたっては、「上からやらされる」ということではなく教員1人ひとりが納得の上で、自らデータを分析し、現場レベルで過度の負担がかからないことに留意しつつ、改善に取組むというアプローチを取ることが極めて重要、という立場で取組んでいくこととしている。2012年度には「教育クラウド」を教育現場に加えて校務にも活用するとともに、2015年には学校運営についての評価・改善を可能とする体制を整備することとしている。また、教育分野におけるICTの活用は、初等中等教育のみならず、高等教育や生涯学習、さらには教員研修にとっても有効である。このため、遠隔教育などを推進することにより、さまざまなバックグラウンドを持つ国民が時間・場所の制約なく、知識・教養を高める機会を確保することにも取組んでいくこととしている。



総務省 環境負荷低減の無線システムの技術規格を策定

 総務省は、ネットワーク統合制御を効果的に実現する上で不可欠なワイヤレス通信システムとして、新たな技術規格を策定し、その規格を検証するための実証実験を行う。具体的には、広域センサーネットワークをNTT(代表機関)に、WiMAXを利用したデータ収集システムを慶応大学(同)に、UHF帯を利用した宅内情報収集システムをパナソニックシステムネットワーク(同)に、700MHz帯を利用する近距離移動通信システムを慶応大学(同)に、VHFアクセスを日本無線(同)に、家庭内ワイヤレスブロードバンドにおける家庭内情報収集・機器統合制御を日立製作所(同)などに委託し、複数の実証実験を通じてCO2削減効果を検証する。

広域にわたりさまざまな情報通信デバイスとの安定した通信が可能な無線センサーネットワークは、さまざまな分野での活用が期待されているものの、現在実用化されているセンサーネットワークは、狭いエリアにおいて特定のデバイス情報収集に自営的に適用されるのみであり、広域にわたり、多数のさまざまなデバイスやセンサーのデータを送受信できるセンサーネットワークは実現されていない。このため、一般家庭やオフィスを実証環境とし、280MHz帯を用いて半径数Km程度のエリアをカバーするシステムについてデータ収集動作を実証する。
さまざまな情報通信デバイスからデータを収集する通信方式として、エリア構築コストや広域性、信頼性などにおいて優れたWiMAXの利用が期待されているが、その際には多数のデバイスと接続することを想定したデータトラヒックの適切な制御やさまざまなデバイスの設置環境下における通信の確保を実現する必要がある。このため、1つの基地局配下に多数のデバイスが収容されることを想定し、さまざまなデバイスとWiMAX基地局を接続してデータ収集動作を実証する。
主に家庭内の家電などの接続を行うため、UHF帯の1.9GHz帯自営無線システムおよび950MHz帯特定小電力無線システムに関する技術規格について検討する。デバイス用の通信モジュールの開発を行い、宅内の情報収集を行う無線システム環境を構築し、電波伝搬特性を測定するとともに、シミュレーションにより一般的な伝搬モデルを構築する。
700MHz帯を使用するITSは、出会い頭衝突事故の防止等の安全運転支援に加え、最適経路案内等の快適・利便系サービスなどへの利用が期待されている。最適経路案内等は、環境負荷低減に資するものであり、ネットワークの統合化に向け、自動車などの移動体が家庭のパソコンやさまざまな環境に設置された基地局と接続するとともに、数百台程度の移動体が高速移動している状況を想定して実証する。
地球温暖化対策の必要性が高まる中、小規模の資源供給元や資源消費先が散在する地域において、最適な資源利用を可能にするための無線による情報通信システムの登場が期待されているものの、適切なシステムは実現されていない。このため、容易かつ汎用的に構築可能なVHF帯ワイヤレス情報通信システムに関する技術規格を策定するとともに、その情報システムを実証する。
家庭内の資源消費の効率化を図るため、機器の利用状況、利用環境に関する情報を収集するとともに、収集した情報を利用した機器の起動制御などを行う無線システムの実現が期待されている。現在、高速・大容量の家庭内ワイヤレスブロードバンドネットワークの普及が見込まれており、実現にあたっては家庭内ブロードバンドネットワーク上で統合的に制御可能な無線技術の確立が求められている。このため、一般家庭における無線LANやワイヤレスセンサー等の小電力無線設備のほか、今後普及が見込まれるミリ波帯を用いた超高速近距離無線など、異なる無線規格のネットワークを統合した家庭内ワイヤレスブロードバンドネットワークを構築し、無線による各種情報の収集、機器制御について実証を行う。



総務省 光空間通信技術の研究開発

 総務省は、平成22年度から実施する「光空間通信技術の研究開発」(5・1億円程度)について日本電気に委託した。電波と比較して大容量の通信を可能とする光空間通信技術を確立することにより、観測システムにおける観測画像の高分解能化に伴う通信需要の高まりに応える。光空間通信プロトコルの開発、光空間通信方式の開発、移動体光通信技術の研究開発を実施することにより、今後の観測衛星やデータ中継衛星などへの利用を見据え、大気ゆらぎの存在下における航空機などの移動体と40Gbps以上の通信速度を可能とすることを目指していくこととしている。

 近年、災害監視や地球観測への利用など、航空機や衛星などを用いた観測システムが、日常生活において重要な役割を担うようになってきた。観測技術の進歩に伴い、観測システムのセンサの分解能も向上してきており、また観測画像の分解能が向上すれば、観測システムの利用範囲も拡大するため、さらなる高分解能化が求められている。しかし、センサの分解能が向上すれば、観測画像のデータ量も増大するため、観測データを地上へ迅速に伝送するためには大容量の通信が必要になる。
 こうしたことから、観測システムにおいて増大する通信需要に応えるために、電波よりも大容量の通信が可能となる光空間通信技術の研究開発を実施することとした。航空機や衛星などを用いた観測システムへ利用可能となる数10ギガビット級の光空間通信技術の確立を目指していく。これにより、災害監視などにおいて従来よりも詳細なデータを迅速に伝送することが可能となり、的確な災害対策などによる国民生活の向上、安全で安心して暮らせる社会の実現を図るとともに、光通信分野におけるわが国の国際競争力の強化につなげていくこととしている。
 観測データを迅速に地上へ伝送するには、光空間通信が有効であるが、雲などの遮へい物により、通信が遮断されてしまうという問題がある。既存の通信プロトコルでは、大容量通信の瞬断は想定されていないため、光空間通信にそのまま適用できない。このため、災害情報の収集などの緊急を要する場合においても観測データを迅速に伝送可能とするよう、通信の瞬断状況に応じて通信路を選択するなど、効率的かつ安定的な通信を実現する光空間通信に適した通信プロトコルを開発することとしている。また、移動体との光空間通信に関する実例は電波と比較して極めて少なく、大気ゆらぎ存在下における光の伝搬特性がモデル化されていないため、大容量の通信技術は実用化されていない。このため、大気ゆらぎ存在下における光の伝搬特性をモデル化し、外乱に強く、大容量で高信頼な移動体との光空間通信方式を開発することとしているが、通信方式の開発にあたっては、光が網膜などの人体に与える影響を考慮し、安全性にも留意することとしている。さらに、航空機などの移動体との通信では、飛行中の乱流や大気ゆらぎなどの外乱の影響も大きく、受信側においてもレーザ光を高精度に追尾しなければ通信信号を得ることは難しい。このため、光の伝搬特性のモデルに航空機の飛行により発生する乱流などの影響を加えてモデルを修正した上で、光ビームを正確に制御し、安定な通信回線を形成・維持するために必要となる高精度な捕捉・追尾技術などを確立することとしている。



NICT 光統合ネットワークの管理制御・ノード構成技術

 情報通信研究機構(NICT)は、情報トラヒックの飛躍的な増加に加えてサービスの多様化にも対応するため、多様なユーザサービスを収容可能で、飛躍的に高いスイッチ能力、省電力性、高い情報転送効率を持つネットワークの実現が望まれており、それを実現するための光統合ネットワーク管理制御およびノード構成技術に関する研究開発を公募により実施する。
 インターネットを流れるデータ量は年々増加している。わが国の基幹網では、すでに毎秒1テラビットを超えるデータが流れており、昨今では毎年40%の伸びをみせている。今後もこの傾向が続くと、2030年ごろには基幹網で毎秒1ペタビット程度のデータが流通することになる。それに伴い、機関網の電力消費量も増え続けており、基幹網における電力消費はICT全体の一部とはいえ、看過できない状態にある。また、今後サービスの多様性は増し続けると想定するのが自然で、現在のベストエフォート転送によるデータ到達性だけでなく、ゆらぎのないデータ転送が可能な実時間性、データ損失のない高信頼性といった特性をネットワークが備える必要がある。
 こうしたことから、多様なユーザサービスを収容可能で、飛躍的に高いスイッチ能力と省電力性、高い情報転送効率を備えたネットワークを実現するため、光交換技術を用いたネットワークの研究開発を行う。パケットごとのノード中継処理を回避する光回線交換により、大容量、高品質のサービスを低消費電力で実現する。一方、光電変換を極力減らし、光スイッチの広帯域性を活用してパケットを処理する光パケット交換により、大容量、低消費電力、データ到達性を担保する。さらには、これらの技術を統合管理し、制御するネットワークシステムを開発し、サービスの多様性とデータ転送効率の向上、運用の簡便性を満たすこととしている。すなわち、多様なユーザサービスを収容可能にするため、交換能力の飛躍的な向上というネットワーク利用者の要求を満たすとともに、消費電力の低減という社会的な要求にも貢献するインフラとなるネットワークを構築することができる。また、2つの交換方式の優位な点を駆使して、アプリケーションから見たデータ転送性向上と利便性の向上に寄与する。さらに、ネットワーク内では、運用の簡素化により、運用の効率化と消費者負担の軽減を図ることとしている。従って、この研究開発では、ノード構成に資する光技術の開発のみではなく、ノードおよびネットワークの制御管理までも含めたものとなり、このネットワーク技術の実現により、ユーザが制約を意識しない、地球にやさしい、新世代ネットワークに貢献する。また、この研究開発では、単に要素技術を開発するだけでなく、例えば、ネットワーク研究開発テストベッドでの実験や、光交換基盤技術の実証基盤施設に接続して機能評価を進めることで、技術の安定性を増す実証実験を実施することとしている。



総務省 公共ブロードバンド移動通信システム

 総務省の電波監理審議会はこのほど、映像伝送が可能な「公共ブロードバンド移動通信システム」を導入するため、無線設備規則など関係省令の改正を適当であると答申した。7月に公布・施行する。通信方式は、周波数利用効率の重視、上り/下りの伝送比率の変更の容易性などからTDD方式とし、災害時における接続の確実性などから、上り回線はOFDM方式、下り回線はOFDMとTDMの複合方式としている。また、占有周波数帯幅は5MHzとし、6チャンネルを確保するとともに、NTSC程度の映像の伝送容量、数Km程度の伝送距離の確保のため、空中線電力は、基地局20W以下、移動局5W以下とした。

 現在、災害などの現場において使用される警察、消防・救急などの公共通信システムは音声が中心だが、被災地などの正確な情報の共有のため、機動的かつ確実に映像伝送を行う手段が求められている。こうした中、地上テレビ放送のデジタル化により空き周波数となるVHF帯の一部については、安心・安全な社会の実現のためにブロードバンド通信が可能な自営通信に割当てることを情報通信審議会が平成19年6月に答申している。これを受けて安心・安全確保のための自営通信用として170―202・5MHzの32・5MHz幅を割当てることとした。
 こうしたことを踏まえ、地上テレビ放送のデジタル化完了後、速やかに新たな公共ブロードバンド移動通信システム導入を図ることとした。この公共ブロードバンド移動通信システムは、従来の音声通信用システムに加え、機動的かつ確実に被災状況などの伝達を可能にするため、セルエッジにおいても、NTSC程度の映像伝送が可能となるよう、数百Kbps程度以上の通信速度が必要になる。
 無線局の形態としては、基地局、移動局のほか、可搬型の基地局が想定されている。このうち、移動局と可搬型基地局についてはバッテリ(2―3時間連続送信)などの付属機器を含め10Kg未満でリュックサックに収容できる程度の大きさ・重さが望ましい。ネットワークの形態としては、広い地域をカバーするためにセル構成のほか、2つの地点間の対向通信にも適用できることが求められる。また、移動局については、セル構成において基地局が制御する「集中制御通信モード」のほか、山間部での災害などを想定し、基地局のエリア外であっても可搬型の基地局の制御によって自律的に動作する「自律通信モード」に対応できるものとすることとした。さらに、可搬型基地局のない場合であっても移動局同士で通信が可能となるような「端末間直接通信」のほか、アドホック通信機能等による一時的な「中継」にも対応できるものとした。このため、通信方式は、活動現場内における情報の共有のためには、複信およびマルチキャストの機能が必要であり、割当て可能な周波数帯がアンペアバンドであること、主な用途は映像およびデータの伝送であることからFDD方式としている。
 周波数の共用条件として、遠隔地の災害現場などにおいては、放送関係の連絡無線などの基地局からの希望波は弱く、公共ブロードバンドからの干渉波が強いことから、より厳しい条件としている。このほか、定期検査を行わない無線局として、「通信の相手方から送信を制御されるもの」などの条件を削除した。



総務省 地球的課題検討部会が中間報告

 総務省のICT政策に関する地球的課題検討部会はこのほど、政策パラダイムの転換、ICTによる国際貢献などを柱とした中間報告をまとめた。ICTは、少子高齢化や、経済の長期低迷・停滞などの状況を打開し、社会と経済を活性化し、発展させる大きなポテンシャルを持っている。効果が実感できる国民本位のICT政策へ転換し、地域での実証成果をグローバルにスケールアウトして課題先進国として貢献するとともに、制度見直しなどを進めて徹底的なICTの利活用により、わが国の社会・経済の成長が実現するというシナリオを明確に示していくこととしている。

 情報通信産業については「ガラパゴス化」がいわれ、日本国内市場に高度に適合した製品やサービスが国際展開できないという問題を抱えている。また、現在はアメリカ起源のクラウド化の大波に襲われている。利活用面でも、韓国では全国小中学校の校内LANの整備が2000年に修了していることなどに比べ、大幅に遅れている。このような現状の中、ICTのポテンシャルを発揮させ、明るい将来をもたらすことに貢献するために、政府としては、思い切った政策の転換を図るべきとしている。
 まず、ICTの効果が実感できる、国民本位のICT政策への転換を求めている。また、課題先進国である日本で、地域のさまざまな課題を解決するための実証を進め、その成果をスケールアウトしてグローバル展開することによって、わが国の情報通信産業の国際競争力をつけることにつなげていくと同時に、新しい発想による国際貢献を実現していくこととしている。
 日本の医療の質は、世界でもトップ水準にあるが、医療サービス提供者と利用者の間の相互信頼の欠如が最大の問題で、それを解決するのは、ICTを活用した、適切な方法による徹底した情報共有と情報分析だといわれている。それには個人情報の保護を担保しつつ情報共有を進めるための仕組みが必要になる。学校教育においても、客観的な情報を収集し、分析し共有することが、学校と保護者の間の相互信頼を回復させる鍵である。環境分野で期待されているスマートグリッドやマイクログリッドの効果が「緩和」と「適応」の両分野で十分に発揮されるには、地域における家庭や事業所で情報の保護を確保しつつ、広域情報を分析することが必要であるとしている。
 ICTによって地域の課題が解決したという実証実験などの事例は少なくない。しかし、それらの取組みが散発的なものになっていて、有機的に連関していないケースがほとんどである。ひとつの地域における地域的課題の解決方法を全国に普及させるためには、多くの場合、規制・制度の緩和や見直しが必要である。利活用を阻む規制を洗い出し、必要なものについては、抜本的な見直しをする必要があるとしている。また、環境や医療をはじめとする複雑な社会課題の解決は、いくつもの分野にまたがる包括的なアプローチが重要であるが、これまで、関係府省の縦割りの壁があり、政府が一体となって、戦略的に取組む体制が十分に整備されていなかった。政治主導により、ICTを駆動力として、わが国の持続的な成長への寄与を実現する体制を早急に整えることが必要であるとしている。



総務省 超高速光エッジノード技術を研究開発

 総務省は、情報を延滞なく高速に伝送する超高速エッジノード技術の研究開発(平成22年度6・3億円程度)をNTTを代表研究機関とする研究グループに委託した。多数のクライアント信号を効率的に収容するエッジノード技術を開発することで、高精細画像配信など大容量のデータを延滞なく高速に伝送できるネットワーク環境を確立するとともに、従来のルータ技術で必要であった大量の高速メモリを不要とし、ネットワークの省電力化を実現することを目指すこととしている。100Gbps級信号を延滞なく宛先切替する技術や100Gbps級の超高速光送受信技術などを開発することで、この分野におけるわが国の国際競争力の強化を図ることとしている。

 データセンターおよび一般家庭における高速イーサネットの普及に伴い、ネットワークにおいて処理される情報量、とくに高精細画像配信など大容量情報提供サービスの普及によって同じ宛先へ連続して送信される情報量が著しく増大しており、現行のルータの処理速度では追随できなくなる恐れが生じている。これまでの光通信ネットワークにおいては、大量のパケット形式の情報を一つずつルータ内のパケット処理部のメモリに記録させた後に、次の宛先となるルータへ送っていたからである。
 この問題を解決するため、超高速光エッジノード技術の研究開発を実施し、多数のクライアント信号を収容するエッジノードにおいてルータで処理速度のネックとなっていたパケット単位での処理を必要としない、スイッチによる宛先切替を用いた技術を確立することとした。情報の転送処理は、メモリをもたない宛先切替部のみで行うことができるため、省電力化が図られる。また、パケット処理部への転送およびメモリへの記録時間が不要となることから、転送処理時間を短縮することが可能となる。
 この研究開発により、100Gbps級の光伝送技術を利用した高速化が実現され、ノードのデータ伝送部において消費電力を従来の3分の1に低減することができネットワークの省電力化が実現できる。これにより、国民が高速化・省電力化されたネットワークを利用することが可能となる環境が整備され、その利用者である国民の利便性が向上する。
 また、現在、日本、欧米など各国は国際電気通信連合(ITU)において、エッジノード技術に応用可能な技術提案を出しており、各国が自国の技術を国際標準にするために競争をしている。このような状況において、わが国の技術を国際標準にするために海外勢に先行して超高速光エッジノード技術を実証する必要がある。このため、研究開発の実施にあたっては、広範な分野にわたる高度な技術開発力が要求されることから、複数の通信事業者、通信機器製造業者などにおける研究者のノウハウを積極的に活用することとしている。この研究開発を通じて確立された技術については、仕様の公開を進めていくこととしており、確立された技術が通信機器製造事業者などに広く利用されることになり、わが国の通信事業者だけでなく、海外の通信事業者からの採用も見込まれる。こうした国際展開により、この分野において、わが国の国際競争力の強化につながる新たな技術を確立することができることから、研究開発への投資効果も大きいものがあると期待されている。