行政(4月更新分)

総務省 SCOPEの新規採択課題に50件

 総務省はこのほど,「戦略的情報通信研究開発推進制度」(SCOPE)における平成19年度の新規採択課題として50件を決定した。273件の応募があり,評価委員会で評価した。このうち,ICTイノベーション創出型研究開発では,新世代ネットワーク技術で5件,ICT安心.安全技術で3件、ユニバーサルコミュニケーション技術で4件の計12件。ユビキタスネットワーク社会の実現に向けて、「UNS戦略プログラム」に相応しい研究開発課題を重点的に採択している。戦略的な重点目標に沿った独創性・新規性に富む研究開発を支援していくこととしている。  ICTイノベーション創出型は、戦略的な重点領域において、イノベーションを創出する独創性や新規性に富む萌芽的・基礎的な研究開発を推進するもので、117件の応募の中から12件を採択した。  このうち、新世代ネットワーク技術は4件。超高速の波長ルーティングを可能にするために、非対称結合量子井戸半導体光導波路を用いた波長選択スイッチマトリックスを設計・製作する技術を開発する(國分泰雄・ツ小浜国立大学)▽ナノ構造を用いた低入力インピーダンス高効率オンチップアンテナを創出し、アンテナまで完全にインテグレ―とされた超小型ミリ波チップを実現する(藤島実・東京大学)▽MIMOシステムにおいて送信ビームを非常に少ない演算量で生成でき、かつ本来の特性に近い伝送容量を達成する「擬似固有ビーム生成手法」について研究開発する(大鐘武雄・北海道大学)▽光導波路が正方形の断面形状を持つ長波長帯面発光半導体レーザを作成し、直交する2つの発信偏光間に双安定性を実現するとともに、2次元光メモリ内で信号を一括転送可能なシフトレジスタ機能を実現する(河口仁司・奈良先端科学技術大学院大学)▽モバイルIPv6などネットワーク監視技術を発展させた移動ネットワークを含む新世代ユビキタスネットワークにおける監視フレームワークの基盤技術に関して研究開発する(白鳥則郎・東北大学)。  ICT安心・安全技術では3件を採択した。IPv6のアドレス空間を活用してボード番号の概念を廃した「ユニファイド・マルチプレックス通信アーキテクチャ」の提唱および実験システムの研究開発を行う(北村浩・日本電気)▽従来の大型気象レーダでは観測することができなかった地表面付近からの3次元降雨分布を詳細かつ短時間に観測できるネットワーク型レーダシステムを構築する(牛尾知雄・大阪大学)▽人の行動に関する情報を実環境から抽出する技術や、人に対して情報がさまざまな作用を能動的に行う技術について、人口知能技術を応用して研究開発する(栗原聡・大阪大学)。  ユニバーサルコミュニケーション技術では4件を採択した。自動音声認識技術に基づいた会議録や字幕の作成支援を行うシステムについて研究開発する(河原達也・京都大学)▽微細な射出制御が可能な香り発生デバイスを開発し、臭覚のユーザモデルに基づいた香り呈示手法を確立する(岡田謙一・慶応大学)▽非言語情報の認識により、ユニバーサルな音声コミュニケーションの環境を構築する(赤木正人・北陸先端科学技術大学院大学)▽言語情報を手がかりとして情報にアクセスできる次世代ヒューマンインターフェースについて研究開発する(町田和彦・東京外語大学)。



国土交通省 民間企業とITS車載器を使った公道実験をスタート

国土交通省は、官民共同で開発したITS車載器を使い、5月から首都高速道路4号新宿線、5号池袋線及び都心環状線で、画像や音声による新しい情報提供の実用化に向けた公道実験をスタートさせる。スマートウエイ推進の取り組みとして、自動車メーカー9社、車載器・電機メーカー17社の参加を得て実施するもので、去る11日の第8回スマートウエイ推進作業部会では、準備状況や検証に必要な評価項目、標高方法で話し合った。この実験結果を踏まえ、10月からは順次サービスの実用化・展開を図り、スマートウエイ推進会議の提言の実現に努める一方、IT新改革戦略に基づく「世界一安全な道路交通社会の実現」に向けた取り組みを進める考えである。 国土交通省では、大型車(貨物車・バス)や軽自動車等のカーナビを搭載していない車にも、音声によって安全等に係る情報を提供し、安全性の向上図ることが重要だとして、今回の公道実験では、音声のみによる情報提供を行う「単体型ITS車載器」及びカーナビと連携して音声と画像による情報提供行う「カーナビ連携型ITS車載器」を使用する。  この公道実験では、ITS車載器を使った画像や音声による安全運転支援等に寄与する新しい情報提供(前方障害物情報提供、前方状況情報提供、合流支援)及び、草と物流カーナビと地図データの連携による事故多発地点等における注意喚起(地図連携)、パーキングエリアにおけるインターネット等への接続(情報接続)、電子標識によるカーナビへの標識情報等の提供(電子標識)、などのさまざまな実験を行い、システムの有効性等を検証することにしている。  実験開始は5月14日からを予定し、参加する企業は26社。首都高速道路において、合計60台の車両で走行実験を実施する。実験コースは、前方障害物情報提供ルートの4号新宿線初台→都心環状線霞が関(内)まで、前方状況情報提供ルートの4号新宿線高井戸→都心環状線神田橋(内)→都心環状線霞が関(外)、合流支援ルートの5号池袋線北池袋←→5号池袋線飯田橋、地図連携サービスルートの4号新宿線高井戸→都心環状線外回り→5号池袋線中台及び5号池袋線中台→都心環状線霞が関(内)。  国土交通省の計画よると、10月18日から17日にかけて、「スマートウエイ2007デモ」を東京国際フォーラムで開催する。首都高での最先端のITSサービスを国内外に広くPRするのが目的。体験乗車や展示会、シンポジウム等内容とする官民共同の一大イベントとする考え。


経済産業省 情報システム・モデル取引・契約

経産省の「情報システムの信頼性向上のための取引慣行・契約に関する研究会」はこのほど、「情報システム・モデル取引・契約」を報告書としてまとめた。  情報システムの信頼性向上に関するガイドラインなどでは、「契約事項の明確化」や「ユーザ・ベンだ間の取引関係等の可視化」が必要であると指摘しており、これを受けて、情報サービス・システム取引にかかるユーザ・ベンダ間のモデル取引などを検討したもの。  報告書では、情報システムの構築・取引に関し、モデル契約プロセス、モデル契約書などを提示している。モデル契約プロセスでは、デューデリジェンス(実態把握)の実施から、契約締結、変更管理手続(仕様変更、契約変更)にいたるまでの理想的な取引ルールなどを示した。また、モデル契約では、情報システム特有の性質、取引慣行を考慮し、契約書において決定すべき事項や承認・偏光手続きなどを解説している。


総務省 地デジの中継局の技術基準を策定

総務省はこのほど、地上デジタルテレビ放送の中継局の円滑な整備に向け、地上デジタルテレビ放送の中継局の技術基準を策定するため、無線設備規則を改正することとした。電波監理審議会の答申を受けたもので、5月下旬に公布・施行する。 放送の完全デジタル化が本格化する中で、全国の親局の整備が完了し、今後は中継局の整備が進められることになる。全国的なネットワークを想定すると、中継局の置局が予定される局所数は、「0・5W超」が約800局所(約4400局)、「0・5W以下」が約1200局所(約5600局)である。大規模・重要局の大半は0・5W超の中継局に含まれているが、0・5W以下の中継局については小規模ながら局数は非常に多く、経済的にも優れたものが求められている。  こうしたことを踏まえ、今回策定する中継局の技術基準では、周波数を変換して再発射する中継局の周波数許容偏差については、「0・5W超」は3KHz、「0・05W超―0・5W以下」は10KHz、「0・05W以下」(電波伝搬の特性上閉鎖的であり、かつ、狭小な区域を対象とする放送局に限る)は20KHzとした。また空中戦電力許容偏差は、「0・5W超」はプラス10%/マイナス20%と現行通りとしながら、「0・05W超―0・5W以下」はプラス20%/マイナス20%、「0・05W以下」はプラス50%/マイナス50%とした。スペクトルマスクについては、現行50dBマスクを原則にしているが、今回「0・025W超―0・25W未満」は40dBマスクと30dBマスクの中間に対応し、「0・025W以下」は30dBマスクに対応するよう緩和している。  0・05W超―0・5W以下の中継局は、全国に約750局所で、ネットワーク上、6段目や7段目になる局もあり、平均約2000世帯をカバーする。0・05W以下の中継局は、アナログ放送のミニサテと設置条件はほぼ同じで、全国で約450局所あるが、さらに辺地共聴の無線化などにも活用されると見込まれている。  今回の基準で、中継局に使用される発振器は、基本的にはTCXOになるとみられており、ルビ時ウム発振器からTCXOでのヘテロダイン中継に置き換わることは、大きな経済的効果を生むとされている。また、スペクトルマスクの緩和は、その中継局には、IFフィルターや出力フィルターは不要になり、そのまま再発射が可能となり、その結果コンパクトな設計が可能となる。とくに、30Bマスクの導入は、送信機の低廉化および電柱取り付けなどによる局舎などの設置不要の効果が見込め、中継局整備における経済性の向上につながることになる。


全国地域情報化推進協会 都道府県ロードマップ

全国地域情報化推進協会はこのほど、2010年度までのブロードバンド全国整備に向けて、都道府県単位のロードマップを作成した。  ブロードバンドの全国整備について、政府は「IT新改革戦略」において、2010年度までにブロードバンド・ゼロ地域を解消する目標を掲げている。この目標を実現していくため、2010年度までのブロードバンド整備方針について、都道府県単位に都道府県・事業者、総務省総合通信局などの関係者の協働により、年度ごとの具体的な取組みをフローチャートにまとめ、年度ごとの目標値を工程表に掲げたもの。  このロードマップの全体的な傾向は、2006年度末現在でブロードバンド・ゼロ地域が完全に解消すると見込まれる都道府県は、神奈川県、富山県、三重県の3県である。また、佐賀県は、2008年度末までにブロードバンド・ゼロ地域の解消を目指している。さらに、2010年度における整備目標については、ほとんどの地域が100%のブロードバンド・ゼロ地域解消を目標としている。  超高速ブロードバンドの世帯カバー率については、2010年度までにおおむね90%以上の世帯カバー率を目標としている都道府県が多くなっている。また、2006年度末現在で30あるブロードバンド・ゼロ町村については、全国的にみて離島や山間地など一定の地域に偏在している傾向がみられるが、一部を除き基本的に2008年度までに解消される見込みである。  今後は、ロードマップ策定を踏まえ、事業者・地方公共団体等によるブロードバンド整備への取組みが一層進展することになる。また、総務省などの関係省庁において、2010年度までのブロードバンド全国整備に向けた支援策の拡充などを求めている。


総務省 IP化に対応した安全・信頼性対策

総務省の情報通信審議会・IPネットワーク設備委員会はこのほど、ネットワークのIP化が進展する中で、新しいICTサービスの通信障害などが増加傾向にあることから、「ネットワークのIP化に対応した安全・信頼性対策」(安)をまとめた。  IP化が進展し、新しいICTサービスが国民生活に急速に進展しつつあり、社会経済活動をさまざまな形で支えている状況となっている。  その一方で、IP電話やメールなどのIP系サービスにおいては、サービス停止などの事故・障害が増加、長時間化する傾向にあり、また人為的ミスやソフトウェアの不具合が原因となるなど、その内容や原因にも変化がみられる。さらに、パソコンの普及やインターネットの利用の増加に伴い、固定電話の時代にはなかったサイバー攻撃に対する情報セキュリティの確保の問題も新しい社会的課題となっている。  このような状況の中で、利用者が安心して社会インフラである電気通信サービスを利用できるようにするためには、従来の固定電話のノウハウを活かしつつ、新しいネットワークに適切に対応した運用・管理を行うことが必要となっている。こうしたことから、ネットワークの技術革新に対応していくため、現行の情報通信ネットワークの安全・信頼性確保の対策について、改めて総合的に点検し、必要な見直しを行うこととしたもの。 これまでの安全・信頼性対策が適切に実行されているにもかかわらず、新しいサービスにおいて事故等が増加傾向にある。これを踏まえ、最近の技術動向や事故等の分析を行い、設備面や運用・管理面の安全・信頼性対策を一層充実させるとともに、組織・体制や人材育成といった、これまで事業者が独自に取組んできた部分も含めて総合的に点検を行うことにより、必要な対策を検討した。具体的には、情報通信ネットワークの「設備面」、「運用・管理面」、それを実現する「体制面」を3本柱として、@新しいネットワーク技術に対応した社内体制や業界内の連携体制のあり方と、その実現のために必要な人材を確保するための方策A故障や傷害を未然に防ぐとともに、実際に起きてしまったときに早急な復旧を実現するネットワークの運用管理Bネットワーク機器の高度化・複雑化の進展やサイバー攻撃などの新たな脅威に対応するためのネットワークや端末などに求められる条件―などについて、とくに重点的に取組むべき課題を総合的に示している。  


NICT 黄砂の流れ可視化に成功

情報通信研究機構(NICT)は、今年4月1日未明から夕方にかけて東京上空に飛来した「黄砂」の空間分布と、その流れを可視化することに成功した。  NICTは都市部上空などの気流を精密に計測するため、センシングネットワーク技術開発を進めている。その一環として、1日にNICT(東京都小金井市)において、人間の目に安全なレーザ光を用いたドップラーライダーを3次元スキャンシステム(水平方向に約10Kmの範囲の気流を約100mの空間分解能で計測)に組込んで黄砂観測を実施した。その結果、夜半から観測され始めた黄砂が、地表から高度5Kmの範囲で層状構造を形成し、高度2Km以上でほぼ東の方向に毎秒約20mから30mの速度で流れた状況を克明に捉えることができた。また、午前中に黄砂の密度が高くなった後、午後に一時的に密度が低くなり、夕方に再び密度が高くなった時間変化を捉えることに成功した。 これまで、3次元的な黄砂の流れと密度を同時に計測するシステムは実用化されておらず、黄砂がどれくらいの速度で流されているかを実測した例はなかった。今回、ドップラーライダーによる3次元計測フィールド実証実験によって、黄砂の空間分布とその流れが初めて明らかになった。  NICTでは、今後、こうしたライダー複数台をネットワークで結合し、都市部上空での気流の動きをリアルタイムで3次元計測する技術の開発に取組んでいく。さらに、NICTが独自に開発中の高出力レーザを計測システムに組み込み、20Km以上の広範囲な気流計測を可能にする実用的なセンシングネットワークの構築を目指していく。この観測技術は、都市部上空でみられる大気汚染物質の拡散や、集中豪雨などに密接にかかわる気流の精密計測を可能とするもので、最近懸念されている都市型災害の予測に寄与できるとしている。