NHKは9日、60GHz帯のミリ波を利用して非圧縮のハイビジョン信号(HD‐SDI信号)を伝送できるシステムを開発したと発表した。60GHz帯の電波は遮断や移動伝送に際し、減衰したり不安定になったりするという欠点があった。しかし、今回開発されたシステムは、ダイバーシティ機能と多数決判定方式による(信号の)誤り訂正処理機能を有し、安定した伝送を実現。すでにスポーツ中継の空中走行カメラにも採用され、クリアな映像をお茶の間に届けることにも成功した。 現在、ハイビジョンの無線伝送に使用されているFPU(テレビジョン放送用の無線中継伝送装置)は、主に800MHz帯や3G〜13GHzなどの周波数を利用しており、限られた周波数帯域で映像伝送するために信号をい圧縮している。このため映像遅延が避けられず、遠方からのフォーカスやアイリス制御、無線と有線の複数カメラを使用番組制作などでは、遅延を十分に考慮したうえでシステムを構築し、運用する必要があった。 そこで今回NHKでは、2・5GHzという広い周波数帯域幅を利用できる60GHz帯を用いて、ハイビジョン信号を映像遅延のない非圧縮のまま伝送できるシステムを開発した。 しかし60GHz帯の電波は直進性が強く、建物や人などの遮蔽により大きく減衰してしまうほか、移動伝送にも弱いという短所があった。というのもミリ波帯の電波は波長が短いため、移動伝送を行うと最大ドップラー周波数が数百Hz〜数KHzに及ぶ激しいマルチパスフェージングが生じる。このため、受信信号が激しく変動し、安定した映像伝送ができなくなるからだ。 そこでNHKでは、3台の受信機のうち受信状態のいい信号を選択するダイバーシティ受信システムを採用。受信機から出力される3系統のHD‐SDI信号について、1ビットごとに多数決を行い、その結果を用いて信号の伝送誤り率を訂正する「多数決判定方式」による誤り訂正処理を行うことによって、ミリ波による非圧縮ハイビジョン信号の安定した移動伝送を実現させた。 開発したシステムは6月の「第89回日本陸上競技選手権大会」の中継で採用。ハイビジョン空中走行カメラに搭載し、トラック競技の選手を上空から撮影したダイナミックでクリアな映像をお茶の間に届けた。 HD‐SDI信号 ハイビジョンーシリアルデジタルインターフェース信号。伝送ビットレートは約1・5Gbps。 ドップラー周波数 移動体の速度に比例して変化する受信周波数。 マルチパスフェージング送信アンテナから出た電波が,反射,回折などによって,複数の経路をたどった後に受信アンテナにたどり着くことにより,受信アンテナ側では電波が強めあう,あるいは弱めあうという変動が起きること。
日本テレビは本社(東京都港区)で8月29日、記者懇談会を行い、インターネットを通じて映像コンテンツを有料で配信するVOD(ビデオ・オン・デマンド)事業のための組織改正や配信コンテンツなどについての進捗状況を報告した。 懇談会に出席した久保伸太郎社長は「(記者の)皆さんが興味のあるのはVODのラインアップだと思う」とした上で、以前会見で示した隠し玉≠はじめとする配信コンテンツを紹介した。 隠し玉≠ニして紹介されたのは「ショートフィルム」。これは世界4大映画祭(アカデミー賞、カンヌ国際映画祭、ベネチア映画祭、ベルリン国際映画祭)の短編部門の受賞作品やノミネート作品を配信するもので、10月のサービス開始時には50本が用意される。 「これらの短編映画はあまり国内で紹介される機会がない」(土屋敏男VOD事業部長)ため、VOD配信で他メディアとの差別化を図りたい考え。 また、短編アニメーション配信では「スタジオジブリ」と提携、ジブリが選んだ世界のアニメーションを「ジブリセレクトショップ」で展開する。 テレビ局の強みを生かしたコンテンツでは、ユーザーが見たい年月日を入力すると、以前放送された指定日のニュースが見られるというもの。ここでは同社のアーカイブに52年間にわたって保存されている3万8000時間のニュース素材が用いられる。 そのほか同日発表された「岡本太郎『明日の神話』再生プロジェクト」と連携したオリジナルコンテンツも展開する。 いずれのコンテンツも「権利処理がクリアになったものから配信する」(同)計画だ。 今回発表された内容は、7月19日のVOD事業参入決定の発表での「短いパッケージ」「アーカイブという資産を生かした」などの内容にほぼ沿ったもの。 ただ、課金方法、配信の業務提携、サーバーなどの設備面、ニュース配信などについては「具合的な商談の段階に入っているが現段階では話せない」(久保社長)と話すにとどまった。 また、9月1日付けの組織改正で「第2日本テレビ事業本部」を新設し、その下に「VOD事業本部」を設置することを発表した。同事業部はVOD事業の実働部隊として、コンテンツの企画制作、システムの運用などを行っていく。
フジテレビは本社(東京・台場)で開催中のイベント「お台場冒険王2005〜史上最強のテレビ遊園地」の会期中(7月16日―8月31日)、地上デジタルテレビ(地デジ)放送の携帯端末向け1セグメントサービスの公開検証実験を実施している。検証実験は、来年3月末から専用の携帯端末を使えばテレビ放送が視聴できるということを知ってもらうために行われている。その内容は、冒険王の会場内に配信されている館内放送を東京タワーに送信し、タワーから送出した1セグサービス機能試験信号を受信するという、本放送と同様の送受信形式で行われている。 「1セグメントサービスは放送や通信業界向けのイベントで紹介されることがほとんどなので、一般の方にその内容を知ってもらい、反応を見たかった」(説明員)と今回の展示の狙いを説明する。 冒険王では約400万人の来場者が見込まれており、これほど大規模なイベントでの同サービスの紹介は初の試みとなる。 また、来場者の年齢層が、メールなどの利用で携帯電話に親しんでいる世代と重なることが考えられるため、この世代への同サービスの認知度アップと反応を探るには絶好の機会となっている。 気になる反応は「ブースを訪れた来場者の多くが『1セグメントサービス』の存在を知らない」(同)という状況だという。そのためか「『1セグメントサービスの視聴料はいくらかかるのですか』などの基本的事項に対する質問が多く聞かれる」(同)という。 同サービスは、免許制度上、固定向け放送の「補完放送」の位置付けで、放送は無料だ。補完放送のため、固定向け放送と同じ番組を同じ時間に放送するサイマル放送での実施が義務付けられている。 補完の効果では「携帯端末は固定テレビに比べ買い替え速度が速いので、地デジを親しんでもらえるきっかけになる」(同)ほか、同サービスの利用を通じて「新たな視聴者の掘り起こしにつながる」(同)などが見込まれている。 展示では同サービスの特徴のひとつであるデータ放送に親しんでもらえるような展示も展開。プロ野球中継とクイズ番組に視聴者が参加できるようにデータ放送を連動させた。「データ放送を利用した視聴者参加型サービスは、携帯電話というメディアに向いている」(同)と説明する。そもそも、家庭で視聴する固定テレビでは何らかの操作をしながら視聴するということは考えにくい。「さわるメディア」である携帯電話だからこそ利用されるサービスと言える。 また、データ放送ではテレビを視聴しながら通信サイトへ接続することができる。この機能を生かすことで、通信キャリアや携帯機器メーカーへのメリットの創出も考えられている。 展示ブースでは、見学後にアンケート調査を実施、「受信端末の希望価格」「見たい番組内容」「利用したい時間」「利用したい場所」などの質問に答えてもらっていた。この膨大な数に上る来場者の生≠フ声は、今後の同局の1セグメントサービスの展開に大きな影響を与えるものと思われる。

東京タワーからの試験信号を受信
NHKは5日、パソコンを使用した業務用機器としては初めて、50Mbpsの高画質なハイビジョン信号をリアルタイムに編集可能なノンリニア編集機をカノープスと共同で開発したと発表した。これは今年3月に両者が発表した「低ビットレートハイビジョンノンリニア編集機」をベースに高速化を図ったもので、NHKの進めるニュース・番組制作設備のノンリニア化に貢献する技術と期待されている。 ハイビジョン番組はデジタル放送の大きな魅力のひとつだ。これを効率的に制作するためにNHKでは、ニュース・番組制作設備のノンリニア化を展開している。ニュースカメラなどの記録メディアは、近年、磁気テープから光ディスクやメモリなどへのテープレスかへと向っているが、この場合、ハイビジョン信号をMPEG-2(有効画素数1920×1080)で50Mbps程度に圧縮して記録する想定される。 しかし、パソコンを用いたノンリニア編集機はこれまで、民生用のハイビジョン規格であるHDV規格(有効画素数1440×1080)の25Mbps程度のビットレートがリアルタイム処理の限界であり、50Mbpsの高ビットレートのハイビジョン信号をそのまま編集することはできなかった。 今回開発された編集機は、編集作業中の書き込み・再生などハードディスクへのアクセス数を減らすことにより、パソコンの処理速度を上げている。また処理時間のかかる複雑な編集については、データ量の少ない低画質のデータを併用して映像表示(低画質映像による再生は、編集後の映像を確認するためのもので、本編集はパソコンが後で時間をかけて自動的に実行する)。これら2つの技術(カノープスと共同で特許出願中)によって、パソコンベースの編集機としては初めて、50Nbpsの高ビットレートのハイビジョン信号のリアルタイム編集を実現した。 この編集機は、5月末に行われたNHK放送技術研究所の一般公開(技研公開)で、「ハイビジョン光ディスク取材・制作システム」として公開展示された。 NHKでは今後も、デジタル放送のサービスの充実と効率的なニュース・番組の制作に向けて、パソコンや民生機器の放送への積極的な活用を展開していく方針だ。 MPEG ITU‐T(国際電気通信連合)とISO(国際標準化機構)で制定されたデジタル動画の音声の圧縮・伸長に関する国際規格。MPEG‐2は、ハイビジョン画質の圧縮・伸長に関する規格。
全国民放AMラジオ47局は5―30日まで、初の統一キャンペーン「あなたに伝えたい〜言い出せなかった"ありがとう"」を実施する。 全国民放AMラジオ47局の事務局を務める3社(TBSラジオ&コミュニケーションズ、ニッポン放送、文化放送)は8月29日、ニッポン放送(東京都千代田区)で会見し、キャンペーンの概要などを説明した。 このキャンペーンは、NTTドコモが同日発表し、今秋の発売を計画している世界初のAM、FM、TVの3バンド対応ラジオチューナー搭載の携帯端末「RADIDEN(ラジデン)」とのタイアップイベント。同事務局とNTTドコモは3年前から共同でラジオチューナー搭載型の携帯端末の開発に取り組んできた経緯がある。 キャンペーンの実施は、ラジオ搭載端末の発売で「AMラジオを聴いてもらえるチャンスになる」(同)ことを見込み、この機会を利用して「ラジオが人の想いを伝えられる魅力的なメディアであることを改めて伝えたい」(同)と考えたため。 会見ではキャンペーンソング「しあわせな気持ち」を作詞・作曲した歌手の松田聖子が登場し、「歌手デビューよりラジオ出演が先だったので、育ててくれたラジオに感謝する気持ちを込めて作った」とラジオへの想いを語った。 1ヵ月のキャンペーン期間中は全国民放AM47局の"看板パーソナリティ"が自分の番組でキャンペーンを呼びかける。キャンペーンHPに応募されてメッセージは11月に全国民放ラジオ47局で放送される特別番組で紹介される。同番組のパーソナリティは松田が務める。

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