放送(10月更新分)

幕張メッセ(千葉市) 情報・通信・映像技術の国際見本市「CEATEC(シーテック)JAPAN 2005」開催

 幕張メッセ(千葉市)で4日に開幕した情報・通信・映像技術の国際見本市「CEATEC(シーテック)JAPAN 2005」。会場では来年4月からの開始が正式に決まった携帯・移動体向け地上デジタル放送(地デジ)「ワンセグ」を?地上デジタル放送推進協会(D―PA)、NHK、民放キー5局の共同ブースで紹介。ワンセグは、安定した映像と音声を武器に携帯電話やカーナビゲーションで地デジが視聴できるほか、データ放送との連動がウリ。 共同ブースでは、試験電波をブースの上から放出、携帯端末のデモ機を複数台配置し、来場者にワンセグを体感してもらっていた。実機を手にした来場者は「(映像が)想像していたよりきれい」と評価、また受信の安定性でも「(映像が途切れるなど)乱れがない。これなら通勤のときに見る」など評判は上々。 展示会では特別番組を流したが、来年4月から始まる本放送では、電波法施工規則により、番組は固定向け地デジとのサイマル(同一の内容)が義務付けられている。放送免許上は固定向けの「補完放送」の位置付け。サイマルのため「ワンセグが地デジ普及の1つのトリガーになれば」(同ブース説明員)とワンセグを通じて固定テレビへの誘い込みも視野に入れる。  一方で、固定テレビとの差別化やワンセグならではのビジネスモデルの構築の鍵となるのがデータ放送だ。「データ放送から通信経由でインターネットに接続するという使い方が多くなると思う」(同)と話す。 その内容は、CMとの連携やクイズ番組への視聴者参加型双方向サービスなどが見込まれている。 CMとの連携では、CMで流れている商品の詳細が見られるサイトへ飛べるデータ放送を連動させるなどだ。バナー広告に関してはデータ放送の帯域が狭いため付加することは難しく、CMと連動したデータ放送は通信サイトへの誘導が主流となる見込み。 そのほか、ワンセグのデータ放送からしか接続できない限定のインターネットサイトも用意されている。これは、D―PAに申請すると運用が認可されるという各局の独自サーバを利用したサービスで、ここでは各局の会員しか入手できないようなグッズや情報が展開される予定だという。 そして、ワンセグは無料放送なので、通信料を発生させるデータ放送を連動させる仕組みそのものが通信事業者への利益をもたらすことにもなる。  CMとの連携などでビジネス拡大を狙う民放局に対し、CMのないNHKのデータ放送はどのようなものになるのか。  同ブースのNHK担当者に聞くと「テレビ放送(映像)部分の帯域を絞り、データ放送部分の情報を充実させる予定」と説明する。具体的には「災害時のライフラインの情報などを豊富に流したい」(同)とし、公共放送ならではの展開を計画している。また、NHKブースではワンセグ向けの緊急警報システムも紹介された。  平時には、「全国のニュースが視聴できる通信サイトへ接続できるデータ放送との連動なども計画している」(同)という。「ワンセグでは帯域が限られているので、地方のニュースをデータ放送ですべて取りそろえることは難しい。そのため通信サイトへ接続して視聴してもらうという方法が適していると思う」(同)としている。  なお、いずれも通信サイトへ接続するときには「接続しますか」という「課金メッセージ」が画面上に表示される。 気になるワンセグ対応携帯端末の発売だが、NTTドコモのブース説明員に聞くと「4月までに市場投入したい」考え。端末はパナソニックモバイルコミュニケーションズ製を採用する。  

「CETEC(シーテック)JAPAN 2005」パネルディスカッション開催

  8日に閉幕した情報・通信・映像技術の国際見本市「CETEC(シーテック)JAPAN 2005」の特別コンファレンスの一環として「ワンセグ」に関するパネルディスカッション「ワンセグ携帯・モバイル向け放送への期待と課題」が開催された。「ワンセグ」は、地上デジタル放送の携帯・移動体向けサービスで、このほど来年4月の開始が正式に決まった。今回、関係各社は認知活動に注力しており、マスコミ各社がこぞって取り上げた注目の新サービス。 (山根光壱朗) パネルディスカッションは6日、幕張メッセ・国際会議場(千葉市)で開かれた。TBS湯川哲生1セグ放送開発部部長、KDDI中村博行メディア開発部部長、インデックス大森洋三メディア開発担当執行役員、ソニー小野正道MT開発部担当部長、パイオニア市川俊一デバイス開発一課課長が出席。放送・通信事業者、コンテンツ(情報の内容)企画、端末開発メーカーの「ワンセグ」事業の関係者がそろい、それぞれの立場からワンセグへの考えを語った。 ワンセグは固定向け放送とのサイマル(同一内容)だが、テレビ放送と一緒に受信するデータ放送が大きな魅力になっている。 湯川氏は「ワンセグの特長であるデータ放送との組み合わせで多様なサービスを展開したい」とし、内容では、緊急災害時にキメ細かい情報を流すことで、接続しにくくなる通信に比べ情報端末として有効に使えることや帰宅時間に合わせてゴールデンタイムの番組を宣伝し、固定向けテレビへ誘引するなどのサービス例を紹介した。 データ放送の利用の可能性については「固定向けテレビでは自ら呼び出す必要があるが、ワンセグはテレビ放送と連動なので必ず見ることになる。アクティブな使い方が増えると思う」と期待を込めた。  また大森氏も「『ワンセグ』はテレビ放送のプラス部分が重要となる」とデータ放送を重視。ただ、「無料放送から有料サイトへ誘引することは容易ではない」とし、「家に帰ってからも引き続き、固定向けテレビを見ながらケータイのデータ放送を楽しめるようなコンテンツが必要」と話す。 具体的には、インデックスが展開するケータイ向けゲーム『ベースボールビンゴ』を紹介。このゲームは野球中継を見ながら次の打者の結果(ホームラン、三振など)を予想し、当たったマス目をそろえるゲーム。このようなコンテンツなら、帰宅してからでもケータイで通信サイトを利用してもらえるというわけだ。 小野氏は「ハードウェア側としては、実際のサービスの登場後、ユーザーがさらにどうゆうものを望んでいるのかを見極めて開発につなげたい」とし、一例として「勤務中にニュースを録画しておいて、帰りの電車で見るという使い方も考えられる」などハードウェアを応用した使い方を提案した。  中村氏は「8月末現在、国内で普及する8800万台のうち約87%がインターネット対応端末。(KDDIの)月別の電気通信事業収入の調査結果を見ても、通話利用料の減少に対し、データ利用料は右肩上がり」とし、「携帯市場は飽和状態といわれているがデータ利用は確実に増えている」とワンセグの成功を示唆した。放送と通信の連携に先駆けて同社が展開した「FMケータイ」が6月末で300万台を超えたという状況も自信を強める要因となった。  またKDDIならではのサービスで「『着うたフル』と連動したデータ放送」を予定している。  今後の課題として、連続視聴時間を延ばすための電池の研究について言及した。  市川氏は車載端末の開発者で、「ワンセグと固定向けハイビジョンの連携を図りたい」と一風変わった取り組みを紹介。  「(パイオニアの)車載端末では視聴状況に応じて、固定向けの12セグの受信と移動体に強いワンセグとの自動切り替えを実現したい」と話す。このことで、車の中で常に最高の画質でテレビが視聴できるようになる。  ワンセグはデータ放送が大きな魅力といわれるが、中村氏がNHK技術研究所と携帯端末を共同研究する過程で「コンテンツでは放送事業者にはかなわない」と感じたように、ケータイでテレビと同じ/人気コンテンツが視聴できるということ自体が驚くべきことである。 最後に司会のTBS清水孝雄技師長室参与は「携帯向けの無料放送は日本が初めて。無料放送のビジネスモデルとして世界が注目している」とハッパをかけ、締めくくった。

「ワンセグ」事業関係者がそろい踏み


CEATEC2005 民放代表で基調講演

  (社)日本民間放送連盟の中村啓治理事(福島テレビ社長)は、千葉市・幕張メッセで8日まで行われた情報・通信・映像技術の国際見本市「CEATEC(シーテック)JAPAN 2005」の「デジタル放送フォーラム」で民放代表として基調講演した。中村氏は「地上デジタル放送(地デジ)を日本のかけがえのない基幹メディアにするため、エリア拡大と受信機の普及の両輪で取り組んでいかなければならない」と強調した。 地デジ推進の原動力のひとつ、送信設備の整備では「7月末にはすべての放送事業者が地デジの免許申請を完了し、06年12月で地デジの視聴可能世帯数は約3700万世帯となり、カバー世帯率は約80%になる計画。(デジタル化は)順調に進んでいるが、"あまねく"に至るまでの残り数10%の仕上げが今後の課題となる」とした。  その中で、福島テレビではデジタル更新、中継局の建設、アナログとのサイマル(同一の内容)放送のための設備費などデジタル化に際して約60億円を投下したことを挙げ、「(費用など)放送事業者の自助努力で乗り越えられない部分が出てきた場合には国などの支援を得ながら、一旦は補完的な手段でデジタル放送を開始し、少し時間をかけて中継局を整備するというやり方もある」と地方局の社長ならではの視点で、各局の事情に配慮したエリア拡大の必要性があることを説いた。  一方、3月の総務省調べで、2011年7月のアナログ停波の認知度が1割に満たなかった状況を受け、「今のアナログ機器だけでは地デジが視聴できないということを正確に知らせる必要がある」とし、「その活動は今後、D―PA(地上デジタル放送推進協会)が主役になる」とアナログ停波の周知徹底を促した。  また、メーカーへは「デジタルテレビの普及のカギとなる(デジタルテレビの)フルラインアップと低価格を早期に実現して欲しい」と訴えた。 そのほか、放送のデジタル化で急進する「放送と通信の融合」については「この流れは避けられない」としながらも、「放送はエンターテインメントとジャーナリズムという社会的責任を担っており、通信とは本来異質なもの。簡便で安定した伝送路をはじめ、50年間培ってきた信頼性に付加価値を加え、地上波を突出した存在にしたい」と息巻いた。

「デジタル完成への課題と決意」と題し基調講演する中村理事


NHKアイテック 「地上デジタル中継放送所全国集中監視システム」を構築

地上デジタル放送の全国展開にともない、中継放送所の維持・管理コストが、放送事業者にとって大きな課題になってくる。このほどNHKアイテックでは、NHKの指導を得て、デジタル中継放送所ネットワークの維持・管理業務を支援する「地上デジタル中継放送所全国集中監視システム」を構築し、デジタル中継放送所の監視情報を提供するサービスを開始することを決めた。同社では、11月に開催されるInter BEE2005でこのシステムを一般に向けて公開、来年1月にはシステム運用を開始し、4月からの本格的サービス開始を目指す。  現在、中継放送所の画質や動作の監視業務は、それぞれの放送事業者が独自に行っている。これはコスト的にも、人的にも多大な負担をともなう業務だ。 今回のNHKアイテックの提案は、地上デジタル放送が本格的に拡大する時代を迎えて、デジタル中継放送所の画質や動作を的確・確実に把握するとともに、放送事業者の負担を大幅に軽減しようというもの。 これは、各デジタル中継放送所にNHKアイテックが開発した「C/Nウォッチャー」を設置し、画質監視の元となるC/N値とBER値、放送機器などの監視情報を専用の回線でNHKアイテック本社に設置した専用のサーバー設備に転送して、各放送事業者ごとに取りまとめ、中継放送所の監視データとして提供するサービス。 そのほか、個々の中継放送所の局所情報ならびに日常保守記録、故障履歴、設備改修履歴等の情報を提供するサービスも検討中である。 中継放送所の監視を担「C/Nウォッチャー」は、最大10chまでの画質監視が可能。C/N値は25dB〜35dB。BER値は1×10のマイナス1乗〜1×10のマイナス8乗間での監視が可能となっているほか、NHKが開発した「BERモニター」や「デジタルアンテナ監視装置」などとも接続できるよう、インターフェース回路を装備している。 セキュリティー面でも配慮されていて、Dopaネットワークと専用線によるクローズドグループを構成。制御回線にはVPN(仮想専用線)を使用する。また不法侵入対策として、監視・制御系、インターネット系、データ管理系サーバーを分離し、ファイアーウォールで保護。さらに監視、制御、管理データは放送事業者ごととし、他社の情報は相互に機密となる。 このシステムで中核となるサーバーシステム自体の安全性については、「メインサーバーに何か障害があった場合は代替サーバーがバックアップする」(那須嘉彦デジタル放送技術部主幹)という。 「デジタル放送では従来のアナログ放送機器とは異なり、放送機器の劣化状況が受信画面では予知しにくい(劣化が限度を超えると、突然受信できなくなる)特徴がある。“電波の質”を常時監視できる『C/Nウォッチャー』による監視システムを低料金で提供し、デジタル放送ネットワークの安定運用に貢献したい。」(同)と話している。同社ではサービス料金として、初期加入料30万円/波、月額サービス料金2800円/波を予定しているという。また顧客の要望により「監視情報提供のみの独立したサービス」か、同社に保守業務もあわせて発注する「監視・保守の総合サービス」かを選択できる。

システムの概要



 鰍mHKアイテックは、「地下街における地上デジタル放送実験局」を日本で初めて開設

    鰍mHKアイテックは、「地下街における地上デジタル放送実験局」を日本で初めて開設し、10月3日から東京・八重洲地下街において地上デジタル放送の携帯端末による受信を目指した実験を開始する予定だ。地上デジタル放送の携帯端末向けサービス「ワンセグ」は、来年4月1日から東名阪などでスタートすることが決定。今回のNHKアイテックの実験は、電波遮蔽空間での安定受信に向けた貴重なデータを提供しそうだ。  サービス開始が間近にに迫った地上デジタル放送の携帯端末向けサービスは、地下街や地下鉄駅構内など電波が遮蔽される空間では放送が受信できない。大都市の人が集まる場所でもあり、防災上の観点からも、安定した放送受信が重要な課題となるとの指摘もある。こうした社会的要請を受けて国では、地下街などでの放送サービスの普及に伴う諸課題を検討する調査研究会を今年6月に発足させ、年内を目途に結論を出す予定になっている。しかし、地下鉄などでの電波サービスを実現するためには、技術的にクリアすべき課題は少なくない。  NHKアイテックは、これまで電波遮蔽空間におけるAMラジオ再放送システム「アイラジオ」を地下街やトンネル、ドーム球場に導入したノウハウがあり、今回、八重洲地下街鰍フ協力を得て、地上デジタル放送の再輻射システムの実用化に向けた実験に取り組むことにした。  「実験では天井裏に13個のアンテナを設置。アンテナ間隔を様々に変えて受信状況を調べるほか、地上への電波漏れの状態など、細部にわたって技術的要件の検証を実施する」(小谷孝デジタル放送技術部担当部長)という。測定は自動化されたシステムで、垂直ダイポールアンテナ、測定器、制御用パソコンなどで構成。時速0・5`bで電動カートが牽引し、電界、BERなどの連続測定が可能だ。   実験は11月上旬まで行われる予定になっており、11月16日〜18日まで千葉県・幕張メッセで開催される国際放送機器展(Inter BEE)で、実験システムが展示される予定になっている。

期間中は係員が地下街コンコースを微速で移動しながらさまざまな測定を行う