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NICTなど 「けいはんなR&Dフェア2021」を開催

20211124日】

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高齢者介護支援マルチモーダル音声対話システム「MICSUS」

 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、公益財団法人関西文化学術研究都市推進機構、公益社団法人関西経済連合会の4者は、11月11日(木)~13日(土)にリアルとオンラインのハイブリッドで、「けいはんなR&Dフェア2021 ~サイエンスでつなぐ未来への懸け橋~」(事務局・けいはんなR&Dフェア実行委員会)を開催した。一般公開に先立ち、11月10日(水)に報道向け共同記者説明会(オンライン開催)を開催した。
 このイベントは、けいはんな学研都市(京都府相楽郡精華町光台)の研究機関・企業・大学等による最新の研究成果(AI、通信、デバイス、化学など)や情報の発信、地域への貢献を目的として開かれたもの。
 共同記者説明会では「けいはんなR&Dフェア2021」の見どころ紹介、NICT、ATR、奈良先端科学技術大学院大学の主な出展内容について紹介した。
 NICTの出展内容を紹介すると、注目は『高齢者介護支援マルチモーダル音声対話システム「MICSUS」(ミクサス)』。高齢者の介護においては、面談で健康状態や生活習慣のチェックを行う介護モニタリングが重要だ。MICSUSは、現在ケアマネージャーが面談で実施している介護モニタリングの一部をAIで自動化する。また、Web上に書かれた知識に基づいて雑談を行うことで 高齢者と信頼関係を構築し、高齢者が社会との接点を 失うことの防止も狙っている。R&Dフェアでは、深層学習を活用したWebベースの大規模質問応答システム「WISDOM X」(今年3月に一般公開)の機能を使って雑談のバリエーションが広がり、また、介護モニタリングで誤解が生じた場合の訂正もより柔軟に出来るようになったMICSUSを紹介した。
 ニューラルネットワーク技術の進展により、テキストから音声を自然に読み上げる高品質な音声合成が可能となったが、高速な合成には高性能なGPUが必要という課題があった。『CPUで高速動作可能なニューラルネットを用いた高品質テキスト音声合成技術』」の発表では、最先端のモデルを導入し、CPUのみで高速・高品質な合成が可能な音声合成技術を紹介した。
 NICTは、多数の話者が参加するビジネス会議の議事録の作成や同時通訳などへの応用を目指して、話者識別技術の研究に取り組んでいる。『短い音声でも高精度な話者識別技術の研究』の展示では、データの分布を考慮する短い音声の識別精度改善や未知データに対する汎化能力を向上する話者分類技術を紹介した。
 ニューラル機械翻訳の実現には、大量の翻訳データが必要だが、SNS上のテキストなどのユーザ生成テキストに対する翻訳データはほとんどない。『ユーザ生成テキストのニューラル機械翻訳』の展示では、大量の翻訳データを自動生成することで、従来対応が困難であったSNSなどのニューラル翻訳を実現する技術を紹介した。
 『xDataプラットフォーム:異分野データ連携によるスマートサービス開発基盤』では、様々な分野のセンシングデータを横断的に組み合わせ相関の発見や学習・予測を行うことで、実世界の複雑な状況変化を把握し行動を支援するスマートサービスを開発するためのプラットフォームを紹介した。
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 国際電気通信基礎技術研究所(ATR)の「ATRオープンハウス2021 科学技術が描く明るい未来社会 ~大阪・関西万博に向けて~」(11月11日・12日にオンラインで開催)も共同記者説明会で紹介した。
 「ATRオープンハウス2021」は、浅見徹ATR社長講演「ATR創立35年の温故知新」、社外講師を招く特別企画、4分野の最新の研究開発成果、関連会社・連携外部機関の事業、国内外のスタートアップ支援活動等を100を超える講演・プレゼンテーションを通じて紹介した。EXPO2025に向けて、明るい未来社会に科学技術がどう貢献していくか、共に考える場となった。
 共同記者説明会では、次の5項目の講演のポイントを紹介した。
 ①脳情報科学分野「コロナ禍におけるインターネット関連障害の動向とニューロフィードバックによる治療」(脳情報研究所研究技術員 岡大樹氏)②深層インタラクション分野「深層インタラクショングループの紹介 ~ロボットが心地よく仲立ちする豊かな未来社会を目指して~」(インタラクション科学研究所所長/インタラクション技術バンク長 宮下敬宏氏)③無線・通信分野「産業用途に安心して使える無線通信技術の研究」(適応コミュニケーション研究所所長 横山浩之氏)④同「電波を活用して豊かな未来を」(波動工学研究所所長 鈴木義規氏)⑤関連会社「新型の小型無線多機能センサについて」(ATR―Promotionsセンサ事業部マネージャー 足立隆弘氏)。
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 奈良先端科学技術大学院大学の出展では『AIによる医用画像からの人体筋骨格の解析』を紹介した。同研究室では、日々、病院で撮影される医用画像(CT、MRI、レントゲン写真等)から、AI(深層学習)を用いて、体内の筋肉や骨を高精度で自動認識する研究を行っている。このAI技術をわかりやすく解説し、筋骨格の自動診断や人生100年時代の健康づくりに、どのように活用するかについて説明した。

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