技研公開連載🈡~「フロンティアサイエンス」&「メディアを支える」

 NHK放送技術研究所(技研)の「技研公開2025」が、5月29日(木)から6月1日(日)の4日間、東京都世田谷区砧の技研にてリアル開催される。「広がる つながる 夢中にさせる」をテーマに展示される研究成果など18項目のうち、本紙では開催直前まで見どころを連載としてお届けする。
 第3回は、「フロンティアサイエンス」と「メディアを支える」の展示を紹介する。

 「広視野撮影を目指した湾曲イメージセンサー」
 小型で高画質な広視野カメラの実現を目指し、湾曲できるイメージセンサーの研究を進めている。凹面状に湾曲させて、レンズ収差による映像の周辺ぼやけを改善する収差補正方式の湾曲シリコンカラーイメージセンサーと、凸面状に湾曲させてパノラマ画像を得る、多眼撮影方式の湾曲TFTイメージセンサーを展示する。

 
 「放送局データを用いた大規模言語モデル」
 番組制作過程における様々な業務の効率化を目的とした大規模言語モデル(LLM)の開発を進めている。今回、NHKが放送したニュースなどのデータ(放送局データ)を学習させたLLMを構築し、放送局データの学習が回答の正確性向上にどの程度効果的かを検証した。その結果、過去に放送したニュースの内容をよく理解し、事実と異なる誤った回答をしにくくなることや、ニュースで頻繁に使用される用語や表現に対する理解力が向上することを確認した。今後も検証を進め、翻訳や情報収集などの業務支援を視野に研究開発を進めていく。

 「自由な曲面を可能にするディフォーマブルディスプレー」
 いつでもどこでも没入感・臨場感あるコンテンツを楽しめるよう、柔軟で自由な曲面を可能にするディスプレーの研究を進めている。ゴム基板上にLEDと伸縮性に優れた液体金属配線を形成したディフォーマブルディスプレーを展示し、伸縮配線材料の均質化技術と、それによる多画素化の実現について紹介する。

トップ画像は「ディフォーマブルディスプレー」

この記事を書いた記者

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成澤誠
放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。