文化放送・齋藤社長~フジテレビは古く悪しき企業風土の一掃が第一

 フジテレビとフジ・メディア・ホールディングスの社外取締役を務める文化放送の齋藤清人社長が電波タイムズの単独インタビューに応じ、フジテレビをめぐる一連の問題について語った。齋藤社長は、来月の株主総会で決 める新たな経営体制に望むことについて「古く悪しき企業風土を一掃することが第一だが、そのうえで現場のやる気と士気を高め、フジテレビの潜在能力を高めていくことが経営として重要だ」と強調した。

 一問一答は以下の通り。

 ―今回の問題の原因をどう見ているか
 「清水社長も言っていたが、楽しくなければテレビじゃないというものを、曲解し間違えて捉え、それが長きにわたって続いてきたことは事実だと思う。どこかで間違った判断をし、それがフジテレビの企業風土となっていったのではないか」

 ―大株主の米投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」が提案していたSBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長など12人の社外取締役候補の選任議案について、フジ・メディア・ホールディングスは反対することを決めたが
 「提案された方々(12人の候補者)のプロフィールを拝見すれば、それぞれの分野で知見を持たれた方もたくさんいらっしゃると思った。フジ側も、ホームページで公表している通り、推挙された方について、一人ひとり丁寧に検討されたと思う。私も社外取締役として考えや意見を述べさせてもらった」

 ―一方、フジ側の提案はどう評価するか
 「フジ・メディア・ホールディングスの選んだ取締役候補については、私としては、きっちりしたメンバーが外観的には、整ったかなと感じている。
 一つは、取締役会をコンパクトにして人数を絞ったこと、平均年齢も引き下げ若返りをはかったこと、女性も積極的に登用していること、この3つの要素を見れば、これまでの批判に応えて修正を行い、少なくとも外観としては整ったとみている。勿論、これから、どう陣頭指揮をとっていくかが重要ではあるが、スタートラインには立てたと思う」

 ―新体制にとって重要なことは
 「指摘された古い時代の悪しき企業風土というものが残っているとすれば、やはりそこはしっかりと令和の時代に合ったものに変えていかなければならない。それが第一だ。一方で、特にテレビ局として番組やコンテンツを作るということは熱量がないとできない。それを失うと、発信をしても結局、視聴者に到達しない。そこだけはやっぱり忘れないで欲しい。現場のやる気や士気を高め、フジテレビの持っている潜在能力をいかに引き出していくかということも経営としてのポイントになってくる」

 ―今回、社外取締役を退任するにあったって望むことは
 「ポテンシャルは持っている集団だと思う。特に放送現場にとっては、今は強いプレッシャーもあり、試練とも言える状況だが、後から振り返って、フジテレビが新たな信頼を得て選んでもらえるように変化する機会だったと思えるよう、成長していって欲しい」

 フジ・メディア・ホールディングスの新たな取締役体制は、来月25日開催予定の定時株主総会で決議される。

この記事を書いた記者

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成澤誠
放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。