JPPA AWARDS 2025~経済産業大臣賞はオムニバス・ジャパン・2年連続

 一般社団法人 日本ポストプロダクション協会(JPPA)は5月30日、「第29回JPPA AWARDS 2025」の贈賞式を開催した。
 今年の一般の部の映像技術のエントリー数は74作品、優秀賞は12作品、新人賞が2作品、審査員奨励賞が1作品の計15作品。同音響技術はエントリー数は29作品、優秀賞は8作品、新人賞が2作品、審査員奨励賞が2作品の計12作品。
 映像技術部門のグランプリはNHKテクノロジーズ(関口寛子氏)の「NHKスペシャル未解決事件file.10『下山事件』」。
 関口寛子氏のコメント。「この度はこんな素敵な賞ありがとうございます。私がポストプロダクションの仕事をして26年目です。仕事で色々と大変なことがあったんですけど、本当にJPPAで励ましをいただくことで、ここまでやってこれたと思っております。また審査員の先生方も、審査の大変さを身にしみてわかってますので改めてお礼申し上げます。
 下山事件というのは日本三大ミステリーと言われていて、今この難事件をどうやって皆さんに見ていただけたらいいのか。国家機関の陰謀ですとか、時代背景とか非常に難しい作品になったので、とにかく映像で見せていきたいという思いがあってここまでやってまいりました。
 そのため審査員の先生にカラーグレーディングだけじゃないよねという言葉がまさにそうだと思っております。本当にありがとうございました」。
 映像部門審査の座長の杉山裕信氏は、「今見ていただいた映像は2部構成となっていますが、審査の対象となったのは1部のドラマ部門です。ただ一部の中にも実際の資料映像も挟んだりと、いろいろな映像が重なってでき上がっている素晴らしさというのを感じております。
 グレーディングも世の中のファッションと同じように色々と流行り廃りがある中で、今回の昭和を題材にしたこの作品の素晴らしさは、他のカラリストに真似されると思わせるような最先端の映像作りだと思っております。グレーディングの何か新しい幕開けを感じさせるような作品になっております」と述べた。


NHKテクノロジーズ・関口寛子氏
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 音響技術部門のグランプリはWOWOW(戸田佳宏氏・八反田亮太氏)の「UVERworld KING,S PARADE 男祭り REBORN at Nissan Stadium」。
 WOWOW・戸田佳宏氏のコメント。「この度は大変名誉ある賞に選出いただきまして誠にありがとうございます。私は新参者で今回初受賞となりますが、まさかグランプリまでいただけるとは思ってもなかったのでとても嬉しく思っております。
 この作品は今回一緒に名を連ねているビクタースタジオに所属されている八反田さんと手がけました。八反田さんとは2020年に公開した前作のUVERworld男祭りの東京ドームの作品から、お付き合いをして今回とてもスムーズにDolby Atmosの作品を作り上げることができました。
 今回日産スタジアムで真夏の開催ということで、熱中症になって意識朦朧としながらオーディエンスマイクを現場に立って、その音を使ってミキシングして、この素晴らしいパフォーマンス、そして7万人の男たちを見事に作品化できました。とてもいい作品ができて、皆様にお届けできたことを嬉しく思います。今後も皆さんに熱だったり、感動をお伝えできるようなミックスができるように精進してまいりたいと思います」。
 音響部門審査の座長のジミー寺川氏は、「とにかく圧倒的です。オーディエンスが主役であるみたいな方扱い方をしています。普通のライブだったらボーカル中心になる形になって運営しますが、7万人のオーディエンスを音楽と同じように扱って、打ち出しています。
 それが圧倒的な没入感と熱量を発揮し、素晴らしいと思いました。こういうライブだったら、僕は全く男には興味ないんですけども(笑)、ぜひ参加したいと思います。素晴らしかったです。ありがとうございます」とコメントした。


WOWOW・戸田佳宏氏
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 経済産業大臣賞は、オムニバス・ジャパン(岡本義典氏・早坂裕氏・中村勝史氏)の「A Tiny Story for TRINITY LES POCHES」。オムニバス・ジャパンは昨年の続き2年連続で経済産業大臣賞を受賞した。
 オムニバス・ジャパンの岡本義典氏・早坂裕氏・中村勝史氏のコメント。
 「全く予想してなかったんですけど、今回このような経済産業大臣賞をいただいて非常に嬉しいです。
この作品は元々オフラインを見たときに、これすごい空気感があって面白い作品でした。僕の培った技術でもっと何かほんわかした柔らかい作品にするため監督と話し合いながら作り上げた作品です。
 全くこういうのは慣れてないんで、すごくびっくりしますが、ありがとうございました。正直びっくりしてます。僕は元々番組編集をずっと15年ぐらいやってまして、2年ほど前にコンポジットをやるようになったばかりです。この作品は去年の頭ぐらいからやり始めてて、岡本という偉大な先輩の指導を受けながら、駆け出しの作品として携わった作品だったのでこのような賞をいただけてとても励みになってますこれからも良い作品を作れるように精進していきたいと思います。
 ありがとうございます。この作品で僕はひたすら多分マスクを切り続けた作品です、この映像でタグが落ちてくるシーンで、タグを右側にもっと増やして欲しいと言われて、そこでひたすら多分1週間ぐらいに切り続けました。それが非常に印象に残っています。ありがとうございます」。
 経済産業大臣賞の座長を務めた山崎芳男氏は、「いずれも甲乙つけがたい作品でした。かなり時間をかけて審査をさせていただきました。その結果、審査員全員が一致してこの作品が経済産業大臣として最もふさわしいものだという結論になりました。
 この作品はプロモーションビデオです。洗濯店が舞台になっています。タイムスリップするあたりの編集作業が美しく丁寧に表現されている作品でした。
 また、多様な多岐にわたる音もバランスよくミックスされており、作品を通じて温かさを感じさせる見事な作品でした。おめでとうございました」とコメントした。


オムニバス・ジャパン 岡本義典氏・早坂裕氏・中村勝史氏