
民放連 ガバナンスと人権尊重強化のための取り組みを発表
一般社団法人日本民間放送連盟(民放連、東京都千代田区、早河洋会長〈テレビ朝日会長〉)は6月13日、フジテレビで起きた一連の人権侵害事案を受け、業界全体のガバナンス(企業統治)強化と人権尊重への意識向上に向けた具体的な取り組みを発表した。民放連が業界全体としてガバナンスと人権尊重に対する意識を高め、より強固な体制を築いていくための一歩とする。
■ガバナンス対応特別プロジェクトの設置
民放連は、民放事業者のガバナンス確保のあり方を検討するため、緊急対策委員会(会長、副会長で構成。会長が委員長を兼任)内に「ガバナンス対応特別プロジェクト」を設置した。早河会長が主査を務め、在京テレビキー局の副会長が委員として参加する。総務省は、放送事業者のガバナンスを確保する方策を検討するため、有識者会議を開催することを発表している。本プロジェクトは外部専門家の助言も得ながら、業界全体としての対応の方向性を検討する。
■「ビジネスと人権対応ガイドブック」の作成と活用
民放連は、会員各社が人権尊重の重要性を再認識し、「ビジネスと人権」への意識を高めるための参考資料として、「民間放送におけるビジネスと人権対応ガイドブック」(A4版・39ページ)を作成した。本ガイドブックは「民放連・緊急人権アクション」の一環として、会員各社が自社、グループ会社、関連会社において人権尊重の取り組みを進める際の参考となるよう、「ビジネスと人権」に関する全体像や具体的な留意事項がまとめられている。13日に開催された会員全社の経営トップが集まる会員協議会で配布され、今後、会員全社の役職員等を対象とした説明会を通じて活用を推進していく。
「民間放送におけるビジネスと人権対応ガイドブック」
■第1回「人権に関する講演会」の開催
民放連は、「民放連・緊急人権アクション」の一環として13日、第1回「人権に関する講演会」を開催した。講演会には会員各社の経営トップなど184名が出席し、「民間放送におけるビジネスと人権対応ガイドブック」の作成に協力した特定社会保険労務士の小磯優子氏が「ビジネス推進の現場における人権尊重の必要性と実践方法」と題して講演を行った。講演では、ビジネス上の人権尊重の時代背景、日本におけるビジネスと人権の全体像、価値観・意識・環境の変化、民間放送特有の人権に関するリスク、経営層のコミットメントの重要性などが具体的な事例を交えて説明された。今後も同様の講演会が開催され、会員社の経営トップが人権尊重とコンプライアンスの徹底を改めて確認する機会としていく。
講演会の様子
この記事を書いた記者
- テレビ・ラジオ番組の紹介、会見記事、オーディオ製品、アマチュア無線などを担当