Media―Ⅹが魅せた放送コンテンツ共有のミライ~在阪4局が共同でMoIPを実証実験

Interop ShowNetは11日、Interop Tokyo 2025の展示会場内セミナーにおいて、「Media―Xが魅せた放送コンテンツ共有のミライ」を開催した。同セミナーは2部構成になっており、各テレビ局のIP化戦略などが語られた。司会は Media over IP 特別企画プロデューサーの榎戸真哉氏(ネットワンシステムズ)と同長谷川 幹人氏(Zabbix Japan LLC)。
 まず、「在阪共同MoIP検証」を毎日放送の伊藤亮介氏、読売テレビ放送の藤井 一也氏、関西テレビ放送の古川 歩氏、テレビ大阪の川村 真也氏が報告した。
 毎日放送の伊藤氏は「なぜ在阪共同で今回取り組みをしたかというと、4局とも単純にShowNetに参加したかった。
ただしやはり1局だけだと、参加できる人も物もお金もない。ただ、在阪のMoIPを盛り上げたいという思いは持っていました。
 テレビ大阪さんはすでに局舎はIP化されていますが、関西テレビさん、読売テレビさん、弊社毎日放送はIP化がまだ進んでいません。これをきっかけに在阪のMoIPと盛り上げたいのが二つ目の動機です。三つ目が今年は万博の年です。万博の会場までIOWNが引かれており、これを使わない手はないというのが三つ目のきっかけです。
 色々問題もあるが、1社でやるのではなくて集まって共同参加したらいいでとなりました。設計から構築までに合計で15名のエンジニアが今回の企画に在阪各社から参加いただいています。
 どういったことを実証実験するのか4局で話し合いをしました。一つは異なる回線で伝送するってその違いを見てみたい。IOWNとNUROの回線でどんな違いがあるのか。二つ目として、マルチキャストで繋ぎたいというのがありますので、これも実験でやっています。三つ目が、ST2110の非圧縮の映像や、ラッシュ中にJPEG―XSのような圧縮の映映像があるので、伝送の違いも含めて見てみたい。この三つの実証実験を今回取り組みました」。


毎日放送の伊藤亮介氏、読売テレビ放送の藤井 一也氏、関西テレビ放送の古川 歩氏、テレビ大阪の川村 真也氏
     ◇
 続いてTBSテレビ穴澤 毅氏が「公衆インターネット回線を活用した放送TS+PTPの長距離伝送・高精度伝送」を報告した。
 穴澤氏は「これまで、放送TSはマスターで作って、加えてマスターで10MHzの同期信号を作り、STLで送信所まで送って、そこからTTLで中継局まで送るようなことをどの放送局もやっていると思います。
 放送はパラボラアンテナと送信アンテナと送信機のような重厚長大な産業ですし、放送局というのはそういうものがバックボーンになっていると私も思っていました。
 IP伝送機器が色々出てきましたが、こういったものは縁遠いと思っていたが、このような機会を得るということで実験してみたいという気持ちが湧いてきました」と語る。
 Interopは3日間だけだが、インターネットプロバイダーからは事前に回線を借りることができ、5月中旬から実験した。具体的には、大阪にある毎日放送の本社から放送TSを作り、同GMからPTP信号を作り、メディアリンクス製「MDP3020SFN」を用いて東京まで伝送した。伝送回線はNURO の10Gbpsの公衆回線になる。


TBSテレビ・穴澤 毅氏
(全文は6月16日号3面に掲載)