上田ケーブルビジョンなど、長野県青木村新設チャンネル向けデータ放送を開始

 上田ケーブルビジョン(UCV、長野県上田市、母袋卓郎代表取締役社長)およびジャパンケーブルキャスト(JCC、東京都千代田区、大熊茂隆代表取締役COO)は、長野県小県郡青木村(北村政夫村長)に対し、青木村向けデータ放送の提供を、4月1日より開始したと発表した。

 青木村は、緊急時における村民への情報伝達手段等の高機能化を図るため、2024年度から「情報通信ネットワーク等高機能化促進事業」を実施している。今回、同事業の一環で、UCVが提供するコミュニティチャンネル「あおきチャンネル」内において、JCCが提供するコミュニティチャンネル向けデータ放送サービス『JC―data』を活用し、青木村向けデータ放送の提供を開始した。

 これにより、住民は村からのお知らせをはじめとする地域情報や、村内12地区別の天気、回覧板の他、緊急情報や河川水位情報、定点カメラ画像等の災害時に役立つ情報を、使い慣れたテレビで受け取ることができるようになり、住民の利便性向上を実現する。

 また、データ放送は、京セラみらいエンビジョン(KCME)が製造、提供を行っているIP告知端末『しらせあい』、販売元のTOPPANデジタルを通じてJCCが青木村に提供を行っている音声告知端末『あんしんライト』、JCCが提供するスマートフォンアプリ『JC―Smart』とも連携が可能なため、一度の配信でより多くの住民に情報を届けることが可能だ。この連携により、世代間の情報格差の解消を実現するとともに、有線と無線と両方の通信手段を併用した情報伝達手段の多重化につなげることができる。

 今後は各端末を導入するとともに、「Hybridcast」を活用し、テレビでの配信コンテンツを充実させることで、全住民へのきめ細やかな情報配信を目指す。

 上田ケーブルビジョンは、長野県上田市、東御市、坂城町、青木村の2市1町1村(一部エリアを除く)を対象エリアとし、ケーブルテレビやインターネット、固定電話サービスを提供しているケーブルテレビ会社。自社の独自サービスはもちろんのこと、他社とのコラボレーションにも取り組みつつ、幅広い事業展開をしている。創業はケーブルテレビ黎明期の1971年で、2021年に創立50周年を迎えた。常に時代に合ったサービスを提供し、地域の役に立ち、愛される企業を目指して更なる躍進を目指している。

 ※「情報通信ネットワーク等高機能化促進事業について:長野県青木村、UCV、JCC、KCMEは、青木村が実施する「情報通信ネットワーク等高機能化促進事業に関し、事業を円滑かつ確実に進めるための事業協力協定を、2024年3月28日に締結した。青木村は、2011年4月からサービス提供をしている情報通信機器の老朽化や、近年頻繁に発生する大規模災害等に備え、緊急時における村民への情報伝達手段等の高機能化を図るため、2024年度から同事業を実施している。同事業では、UCV、JCC、KCMEの協力のもと、村内の情報伝達手段等の課題を解決するとともに、村民ニーズにあった、全村民が利用しやすい情報通信サービスの提供を進めている。同事業における「情報伝達手段等の高機能化」の内容は次の通り。

①IP告知端末の高機能化(高齢者にも優しい操作性、大画面、大型スピーカー、豊富な機能などによる高度化)
②テレビサービスの高機能化(地域情報が充実する自主放送、あおきチャンネルの開設、青木村に特化したデータ放送などにより高機能化)
③スマートフォンのアプリケーション(屋外、村外でも重要な情報を受け取れ、停電時にも対応可能)
④音声告知端末(避難所など、停電時でも乾電池で運用可能で、光ファイバーが断線した場合も運用可能なSIMで運用)
⑤災害時放送システム、道路・河川などのライブカメラ(災害時に活用だけでなく、村議会の中継や日々の暮らしの中で必要な道路の情報などを提供)
⑥その他(村民の暮らしの中で、通信全般にわたり、村民の各家庭において安心して快適で多様なニーズに対応する通信環境の構築に寄与)

 ※「Hybridcast」:NHKの「Hybridcast」は、放送波の中にインターネット上のコンテンツの取得を指示する制御信号を組み込み、テレビ放送と、HTML5で記述されたWebコンテンツとの融合を可能にする次世代放送サービス。スマートフォンやタブレット端末との連携も可能なテレビ放送サービス。

5月26日(月)付け4面に掲載

この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。