日本ケーブルテレビ連盟、「2030ケーブルビジョン」をアップデート(7)

「2030ケーブルビジョン 2025年時点での取組み状況レビュー」

 浅沼哲雄日本ケーブルテレビ連盟企画推進部長が発表した「2030ケーブルビジョン 2025年時点での取組み状況レビュー」の概要は次の通り。
  ◇ワイヤレスが変わる ~地域MNOとして第5のモバイルキャリアを目指す~
 ▽制度改正が見込まれるローカル5Gおよび未整備エリアが残る地域BWAに関して、引き続き業界としての導入自治体数等の拡大を目指し、2023年までの「集中整備期間」に注力
 →BWAは2025年116社2,900局に到達
 ▽地域におけるIoT利用のニーズを掘り起こし、地方自治体や中小企業等向けの無線を活用したBtoB/G事業モデルを構築
 →IoT全国説明会など普及活動を進めた結果、業界共通ダッシュボード利用事業者数は36社
 ▽第5のモバイルキャリアとして1千万回線を実現するため、ローカル5Gと地域BWA 、LPWAなどを組み合わせて、多層的な無線インフラを構築し、音声通信も含め、 地域のニーズに即した様々な無線サービスを提供する
 →MVNOは2025年107社20万回線に到達
 ◇IDで変わる ~ケーブルIDで地域経済圏を構築する~
 ▽次期ケーブルIDプラットフォームのシステム化計画に基づき、次期システムへのマイグレーションを着実に進める
 →2024年度に切替完了。デジタルマーケティングを軸とした利活用の推進に着手
 ▽2025年までにケーブルID 500万発行、2030年までに1,000万発行を目指す
 →2024年末時点で331万発行(123万増加/2021年)。
 ▽マイナンバーカード活用、地域データ活用(各種水位計や人流データ等)の事例を収集し、地域の通信事業者ならではのサービスモデルの検討を進める
 →地域データ活用事例をテーマとした実装モデルの水平展開、自治体公共WEEKへの出展等、取組みを推進
 ▽地域の様々なデジタル活用に必要となる認証機能を提供することで、ケーブルIDによる地域経済圏の構築を目指す
 →親和性の高い新規連携SPの採用や自治体との連携も視野に検討に着手
 ◇サービス・ビジネスが変わる ~地域DXの担い手になる~
 ▽デジタル弱者サポート、デジタルマーケティング推進による 地域顧客対応NO.1の実現
 →ID利活用推進TFが、ユーザーとのデジタル接点を目的に、デジタルマーケティング好事例の業界展開を推進中
 ▽2025年を目指した「コンテンツ×インフラの総合力」による、業界内外への様々な連携サービスの実現
 →パートナーシップ推進やビジネス機会創出等、業界プレゼンス向上のため自治体公共weekに出展(2023年6月)
 ▽新たな事業領域を創出し顧客創造 、2030年の業界全体のビジネス規模3割の実現
 →業界内横連携を進め、23年度度末時点で放送、通信以外のその他売上が22%まで拡大(16%/2019年)
 →BGC先進事例説明会を32回開催(2025年5月時点)、参加社は延べ231社、仲間リストのアドレス数は延べ1596件まで拡大
 ▽CATV×スマートシティの実現・展開
 →データ連携やエリアデータ利活用は、先行ユースケースを基に、この指とまれ方式の業界横提案を開始(2024年8月)
 ▽CATV×SDGsの実現 、SDGs=Good Businessへ
 →地域ビジネス推進TFでは、デジタル田園都市国家構想のwell-beingの理念に通じる〈街と人の健康〉を ケーブルテレビ業界が担うべきテーマそのものと整理し、『地域DXで《街と人の健康》の担い手になる』を新たに定義し、検討推進
 ▽(新)地域ビジネス推進TFは、2023年以降の2年間の活動を「地域ビジネス戦略2025」としてとりまとめ、発表
 ◇業界が変わる(人財観点) ~従来のビジネスに固執せず、業界をあげた取り組みとする~
 ▽業界外(行政・事業パートナー・大学生など)に対して、産業としてのブランディングを推進。
 →業界採用オウンドメディア「ギョーカイ話☆ケーブルテレビ☆」を立上げ、大学生向け情報発信を開始(2024年)
 →オンライン合同採用初開催(2022年)、採用力向上セミナーシリーズ展開(2023~24年で7回開催)
 ▽ケーブルテレビ業界におけるDX推進人材を育成するため、2022年度施策を元に、持続的に推進する。業界内人材のリスキリング支援に関する諸施策の企画・推進(セミナー、eラーニング等の実施)
 →業界のIT・DX人材育成プログラムとして、トレノケート社(2022~23年)、GLOBIS学び放題(2024年~)を提供
 ▽各社の働き方改革や労働環境整備の取り組みを、コロナ禍における期間限定の対応とせず、制度や運用の常態化を進め、「健康経営、さらには社員の健康と幸せ(Well-being)」を実現する業界を目指す。
 →業界内の健康経営優良事例を連盟HPやセミナー開催を通じて業界内展開
 →コロナ禍で休止していた、HRプログラムの各地開催を2022年より再開し、延べ15支部で展開(2025年3月時点)

この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。