2025年5月23日(7813号)

 日立システムズは、水運用の効率化と安定供給の両立をサポートするインフラ監視サービスのオプションとして、AIを活用し通常と異なる水道設備の挙動を事前に検知できる『AI異常検知サービス』の提供を開始する。住民の生活圏に近い配水管に設置したセンサーにより取得した水圧や流量等のリアルタイムなIoTデータと、AIが生成した正常時に取りうる水圧や流量等の基準値を、AIを用いて比較・分析する▼リアルタイムなIoTデータがAIで生成した正常時に取りうる基準値からどの程度逸脱しているかを可視化し配水状態の微細な変化を捉えることで、異常を検知する。これにより、水道管破裂などの大きな被害が発生する前に水道設備の早期メンテナンスが可能となるという▼地域住民に対しては水道事故による突発的かつ長時間の断水などの影響を少なくでき、水道局員に対しては復旧作業の負担を軽減することやメンテナンス作業を効率化できるメリットがある▼日本の上下水道の配水管は高度経済成長期に整備されたものも多く、老朽化が進んでいる。国土交通省によると年間2万件以上の漏水・破損事故が発生している。しかし、水道事業は給水人口の減少による水道事業の経営事情の悪化や水道局員・事業者の人手不足といった課題を抱えている。1月に発生した埼玉県八潮市道路陥没事故も、原因は下水道管の破損とみられている。AIを使って徹底して下水道管のメンテナンスを行うことを願う。(T)

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。