高校生と元NHKプロデューサーがタッグ 瀬戸内海・周防大島の未来を議論 地域発シンポ開催

山口県の瀬戸内海に浮かぶ周防大島で11月12日、「高校生目線」で島の未来を考える地域発シンポジウムが開催される。企画したのは、元NHKプロデューサーで作家・映像作家の井上恭介氏。当日は「周防大島の未来創造」をテーマに、井上氏と地元の県立周防大島高等学校の生徒たちが島の経済や社会、未来について議論する。また、映像作品の上映会も行われる。

 

里山資本主義の最先端地

 

井上氏はNHK時代、マネー資本主義などをテーマにした「NHKスペシャル」などの大型経済番組を数多く手掛けた。また、NHK広島放送局に勤務していた時代から、従来の資本主義を脱却し、身の回りの資源を活かして豊かさを創り出す、周防大島の起業家たちの動きを取材し、番組を制作してきた経緯がある。

 

井上氏が地域エコノミストの藻谷浩介氏らと共に執筆した新書『里山資本主義』(角川書店)は40万部のベストセラーとなり、周防大島は「里山資本主義の最先端地」として注目を集めてきた。井上氏は現在独立し「介塾」を主宰、人と自然の共棲などに関する著述や映像制作を手掛けている。

 

α波あふれる島の未来

 

当日、会場では、井上氏が制作した映像作品『映像詩・瀬戸内α波』が上映される。本作は、周防大島高校の生徒たちと出会った井上氏が2年あまりにわたり、その日々を記録した100分のドキュメンタリー作品だ。井上氏は、気持ちがいい時に出る脳波であるα波があふれ出る、そんな島の未来を思い描き制作した、と話す。

 

映像上映後には、高校生を交えたパネルディスカッションが行われる。パネリストには『映像詩・瀬戸内α波』に出演した地元高校生3人に加え、地域エコノミストの藻谷浩介氏、心療内科医の中尾睦宏氏、周防大島高校OBの村田結透氏、保護者代表の白鳥匡史氏らが登壇する。司会は、NHK広島放送局の勤務経験もある松尾剛アナウンサー(現・NHK財団)が務める。

 

井上氏は今回のシンポジウム開催にあたり「大人の常識的な見方や評価とは一線を画す、高校生らしい目線で語る瀬戸内の島の未来や、地域創生への思いなどをぜひ聞いてほしい」と呼びかけている。

 

シンポジウムは11月12日(水)午前10時から周防大島橘総合センター(山口県大島郡周防大島町西安下庄445―2)で開かれる。参加は無料だが、11月10日までに事前の予約申し込みが必要。申し込みは現在、ウェブサイト(https://www.sukejuku.jp/event_form1)で受け付けている。