Japan Drone展 西武建設、壁面接触作業ドローン

 ミライト・ワングループの西武建設は、「Japan Drone2025」に出展し、同社が建築研究所、東京理科大学と共同研究している『壁面接触作業ドローン』(Wall Work Drone)の実機を紹介し、コンクリート壁面の中性化測定と測定により生じた穿孔の復旧をデモンストレーションした。

 壁面接触作業ドローンとは、ドローンを壁面に接触させ、搭載機器により建設作業をするもの。

 研究・開発内容は、ドローンの壁面への接触・加圧手法および搭載機器の遠隔操作と位置制御技術の開発である。本研究では、高所における建築物の維持保全業務に資するドローンを開発・研究している。背景にあるのが建築業界では、人手不足と建築物の老朽化により、効率的な維持保全技術が求められていることだ。3者は建築物コンクリート壁面等の耐久性評価をドローンにより実施することを目指している。本技術による効果は、高所における高経年化建築物の維持保全業務における「省力化」「コスト削減」「安全性」に貢献し、「長寿命化」による良好な資産・ストック形成に期待されている。

 可能となった建設作業では、2023年度はドリル法によるコンクリート壁面の中性化測定(コンクリートの健全性を評価する測定方法)である。2024年度は、測定等により微破壊・破壊した壁面を復旧(穿孔の穴埋め、仕上げ)するところで今回、展示ブースでデモンストレーションした。

 具体的には、ドローンによる建設作業において、2023年度の開発フェーズでは、コンクリート壁面の中性化測定ドリルによるコンクリート壁面の穿孔と、中性化測定器を使用した穿孔に伴う中性化測定であった。

 2024年度開発フェーズでは、一気に復旧完了まで行えるようになった。第1段階は、穿孔に残留した切粉をエアダスタの風圧により除去する。第2段階は、測定により生じた穿孔の復旧で、シーリングガンにより穿孔へ穴埋め材を充填する(実験では、シーリング材を穴埋め材としている)。第3段階は、測定により生じた穿孔の復旧で、充填により穿孔からはみ出した穴埋め材を、搭載したヘラによりならし、仕上げる。なお、実験は出来形を確認するため穿孔を模造した透明な筒を使用した。

 なお、一連の作業は業器具設置部に搭載されている画像伝送装置による映像を見ながら遠隔で行う。このほか、ポイントは位置制御機構『3次元スライダ』で上下左右の動きを担うところ。

6月11日(水)付け5面に掲載

この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。