TOKYO NODE LAB×日本テレビ TOKYO PROTOTYPE

 森ビル(東京都港区、辻慎吾社長)が運営する、虎ノ門ヒルズの情報発信拠点「TOKYO NODE(東京ノード)」の研究開発チーム「TOKYO NODE LAB」と日本テレビ放送網は、2026年1月29日(木)~1月31日(土)、虎ノ門ヒルズを舞台にクリエイター・企業の実験的なプロダクトやアートが集う都市型クリエイティブフェスティバル「TOKYO PROTOTYPE(東京プロトタイプ)」を開催した。
 「TOKYO PROTOTYPE」は、虎ノ門ヒルズの街なかおよびTOKYO NODEを舞台に、クリエイター・アーティスト・企業が領域を越えて集い、AI・ロボティクスなどのテクノロジーを活用した実験的なプロダクトやアートなどの「プロトタイプ」を展示する都市型クリエイティブフェスティバル。
 同プロジェクトは、現在も継続して活用している取り組みで、今回は文化庁も協力している。加えて、若手育成の助成金を活用した作品も、一点展示している。
プロジェクト全体の特徴として、いわゆる「アート展」「デザイン展」「テック展」といった既存のカテゴリーで出展者を選定していない点がある。「TOKYO PROTOTYPE」という名称の通り、新しい表現に挑戦している人や、ものづくりのプロセスそのものに強い思いを持っている人々声がけしたという。
 そのため、展示内容は非常に多様だが、カテゴリーにとらわれず、純粋にものづくりを楽しみ、探求している人たちが集まった。GOOGLE HARDWARE DESIGN STUDIOといった企業から、東京大学などの研究機関まで、領域を越えた計27組のクリエイター、アーティスト、企業などが一堂に会している。
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「ロボット時代の日常を映す『鎖に繋がれた犬のダイナミクス』」
 「ロボット時代の日常を映す『鎖に繋がれた犬のダイナミクス』」は藤堂高行氏の作品。人に襲いかかろうとする自律ロボットを、鎖に拘束した不自由な状態で展示するインスタレーション作品で、世界最高峰のデジタルアート賞PrixArsElectroica 2025にてHonorary Mentionを受賞している。
 藤堂氏によると、「人に襲いかかろうとする自律ロボットを、鎖に拘束した不自由な状態で展示するインスタレーション作品。鑑賞者は、ロボットの攻撃が届かない安全な距離を保ちながら、その〈殺意の視線〉と対峙する。既にじゅうぶんな運動能力と殺傷力を有しながら、たった1本の〈倫理の鎖〉によってかろうじてコントロール下にある人工の猛獣は、それに睨み付けられる人間の目に〈生きた他者〉として映るだろうか」というもの。
 実際、鎖につながれているとは言え、大暴れするロボットには、若干の怖さを覚えた。

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「螺旋の律動」
 Spline Design Hubの「螺旋の律動」を紹介した。同社は「感性とテクノロジーを滑らかにつなぐ」ことを目的に活動しており、プロダクトデザインをはじめ、作品制作、さらには開発現場に入り込んでのプロダクト開発支援など、幅広い領域でプロジェクトに関わっているという。
 「螺旋の律動」は、機械式腕時計をモチーフにしている。機械式時計の内部にはゼンマイが組み込まれているが、大きく分けて 2 種類存在する。1つは動力を蓄える 動力ゼンマイで、もう1つは時間のリズムを司る 時計ゼンマイとなる。
 機械式腕時計の中では、この2つのゼンマイが「時を進める働き」と「時を刻み制御する働き」という、相反する役割を同時に担っている。ゼンマイは薄い金属板が巻かれているだけの極めてシンプルな構造体。厚さ 0・3mm のステンレス板を1枚だけ使用しており、長さはおよそ18㍍におよぶ。この板を、120度ずつ伸縮するアームに沿って支持することで、円柱状のらせん構造を形成している。静止時には非常にソリッドで緊張感のある形状を保つが、動きを与えると、水が弾むような有機的な挙動を見せる。
 重さは約3kg。本数を増やすこととは、技術的には可能だが、ゼンマイ状に巻き上げる作業は現在でも人力で行っており、相当な手間がかかるため、運用面とのバランスで設計しているという。
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「Flock of(フロック・オブ)」
 タイのbit.studioのインスタレーション「Flock of(フロック・オブ)」を紹介した。
 bit.studioは、自然界に存在する美しさ、たとえば群れの動きや有機的なリズムなどを、どのように機械的手法で再現できるか、というテーマで作品制作を行っている。
 浮力はヘリウムを用いているが、そのままだとどんどん上昇してしまうため、逆に下方向へ引き込む制御を加え、遊泳動作を実現している。下げる力は、魚体下部に前後可動する重りが組み込まれており、重りを前方に移動=頭が下向きになり尾びれ駆動で下降遊泳する。重りを後方に移動=頭が上向きになり尾びれ駆動で上昇遊泳となる。非常にシンプルな物理構造で、三次元的な動きを制御している。
 魚の周囲にポール状の装置が設置されており、この装置にセンサーが組み込まれており、各個体の位置検知、空間境界の認識、衝突回避・逸脱防止などが行われており、魚が展示空間外へ出ないよう制御されている。

おもりで上下を制御
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「Plurality of Life — 純粋な命と、多様な命」
 屋上の49階スカイガーデンでは、ike―bana「Plurality of Life — 純粋な命と、多様な命」が展示された。
 この空間――インフィニティプールのウインドウ面全体が作品の一部として設計されている。
 「生け花」の新しいコンセプト表現で、昼間の時間帯はプロジェクションを行っていないが、夜間になるとウインドウ面へのプロジェクション、ライトアップ演出、水面反射を活かした空間演出が加わり、背後に広がる東京の夜景そのものを「借景」として取り込んだ生け花作品へと変化する。都市景観と作品が一体化する、時間依存型のインスタレーションになっているという。
 通常、この屋上エリアはレストラン利用者のみが入場可能なスペースだが、今回は展示企画の一環として特別に開放された。
 実は当初から屋上利用を想定していたわけではないという。会場下見の際に「屋上からの景観が非常に美しい」という話になり、それなら展示空間として活用できないか、という流れで急遽決定した。
 主催側にとっても初めての試みであり、かなり挑戦的な展示となった。
 実際、作品の最終形を確認できたのは、前日の深夜というタイミングで、「どのような空間になるのか直前まで分からない」という、プロトタイプ展示らしいダイナミズムのある進行だったという。

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 「TOKYO PROTOTYPE」の名前について、日本テレビ放送網 岸遼氏は、「PROTOTYPEは通常、試作を意味しますが、僕らの場合は試作というよりは、どちらかというと意味的には挑戦ととらえています。試してずっと挑戦し続けていったら、新しいものができる。また、完成形でも完成形じゃなくても、皆さん展示してくださいという形で今回やっています。
 そういう意味では、文化庁メディア芸術祭を意識しています。文化庁メディア芸術祭は、アート、デザイン、映画、アニメ、そういういろんなジャンルの方が混じって面白い。色々な興味のある方が来て、新しい発見とか、普段見ないものが見られる、そういう〝場所〟を作りたいと思っています」。