
三菱電機が「IR Day 2025」
三菱電機は、報道・アナリスト向けに全社の経営戦略を説明する「IR Day 2025」を5月28日にオンライン形式で開催した。漆間啓執行役社長CEO、高澤範行専務執行役CSO、武田聡専務執行役CDO、藤本健一郎常務執行役CFOらが説明した。漆間執行役社長CEOは「今後の成長と資本適正化の方針に関して、成長投資で3年以内を目途に新たなM&Aの投資枠は1兆円とした。また、収益性改善で営業利益率を現状から2ポイント改善する」と述べた。
漆間執行役社長CEOは、中期経営計画の進捗と更なる成長に向けて、「イノベーティブカンパニーへの変革」を掲げた。更なる事業発展と社会・環境貢献に向け、リスクを恐れず新たな発想で価値を創出するイノベーティブカンパニーへ変革するとした。事業の発展と社会・環境への貢献で2025年度から遂行することを次のように挙げた。
①新たな価値の創出に向けて
▽コンポーネント×デジタル両輪の成長への集中投資
▽「Serendie」によるビジネスモデルの変革
②経営体質の強靭化
▽事業保有意義の見極めと間接費用適正化
▽財務レバレッジの活用を含めた資本適正化
③サステナビリティの推進・風土改革
▽「トレード・オン」を実現する新事業の創出・強化
▽環境変化へ柔軟に対応するグローバル体制整備
▽風土改革の自走化
―である。
なお「Serendie」は、三菱電機の多様なデータと偶然の出会いから価値を共創するデジタル基盤のブランド名。
漆間執行役社長CEOは「これまで当社は、重点成長事業の強化や成長戦略の推進、あるいはビジネスエリア経営体制の整備など、経営基盤の変革を進めてきた。さらに、経営の根幹に据えたサステナビリティの推進についても、体制の整備を行い当社の事業に我々のテクノロジーを加えて、社会環境を豊かにしながら事業を発展させるトレード・オンの取り組みを進めてきている。加えて品質風土、組織風土、ガバナンスの3つの改革についても継続して行ってきた。25年度からは改めてリスクを恐れず、新たな発想を加えながら価値を創出するイノベーティブカンパニーへの変革についての取り組みを進める。コンポーネントとデジタルの両輪によって、成長に向けた投資それから「Serendie」によるビジネスモデルの変革による新たな価値の創出を追求するとともに、間接費用の適正化など経営体質の強靭化、あるいはサステナビリティや風土改革の着実な推進を通じて、リスクを取った調整ができる企業へと変革をしていく」と述べた。
次に中期経営計画の進捗で25年度は、売上高、営業利益率の目標値の達成を見込み、営業利益率は過去最高の見通しとして、24年度売上高実績5.5兆円を25年度見通しで5.4兆円」とした。当初目標値は5.0兆円。営業利益率は24年度実績で7.1%だったものが25年度見通しで8.0%とした。
「営業利益率については22年度から着実に改善をしている。25年度は過去最高の見通しだ。キャピタル・アロケーションについては、株主還元も含めた資本効率の継続的改善と将来の成長に向けた最適なキャピタル・アロケーションを実行する」(同)。
続いて、これまでの事業運営を振り返り、成果は
▽安定収益基盤の確立(ビルシステム事業の一体運営体制構築、レジリエント事業の収益性改善)
▽防衛システム事業の受注拡大・増産体制構築
▽課題事業の見極め
▽パートナー戦略の推進
▽ノンコアアセットの圧縮
―を挙げた。
課題と対応は
▽自動車機器事業の構造改革(スピーディーな事業運営体制の構築〈分社化〉、経営効率の向上と事業ポートフォリオ戦略の推進)
▽空調事業における欧州ATW(エアトゥーウェイター、ヒートポンプ式温水暖房機)市場の成長鈍化(投資時期の見直し、IT Cooling〈IT冷却機器事業の強化〉)
▽FAシステム事業の市況低迷・競争の激化(構造改革の推進)
を挙げた。
写真は 漆間執行役社長CEO
全文は 6月9日(月)付け4面に掲載
この記事を書いた記者
- 元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。
最新の投稿
筆心2025.06.132025年6月13日(7821号)
レポート2025.06.13イームズロボティクス、レスキューKショートセミナーを開催
レポート2025.06.13ブルーイノベーションなど、国産ドローンポートの試作機を公開
開催情報2025.06.11東京電機大学、好評の小学生向け体験型ワークショップ