全国陸上無線協会で通常総会、6年度決算報告や役員人事案など承認

 一般社団法人全国陸上無線協会は24日、東京都千代田区のKKRホテル東京で第41回通常総会を開き、令和6年度決算報告及び監査報告についてと理事及び監事の選任に関する議案の計2件と、事業報告など報告案件計3件について全会一致で承認した。
 桂靖雄会長は冒頭で令和6年度の事業経過と7年度の事業計画の概要として、「令和6年度においては400MHz帯アナログ放送簡易無線局のアナログ停波に関連した申請サポートの増加により当初予算よりは改善された。しかしながら最終的な協会の収支は前年度に引き続き赤字という収支結果となった。令和7年度の事業については、まず無線局サポート事業については今年度は5年ごとの陸上移動系無線局の一斉再免許に当たる年であり、12月から2月にかけて申請の大幅な増加が見込まれる。会員の皆さんの免許申請業務が円滑に進められるよう協会としてもサポート業務を強化するが、会員の皆さんとしても極力前倒しでの申請にご理解とご協力をお願いする」と報告した。
 また「4月に国会で電波法が改正され、無線局の書面による免許状が廃止されるなど、デジタル化に向けた制度整備が進められている。今後当協会の無線局サポートサービスも具体的な手続きの見直しが必要となる。無線技術の伝承と人材育成の取り組みの一環としてRFKセミナーを企画、開催しているが令和7年度は4回開催を予定している。新たな無線通信システムの普及展開に向けて自営無線業界の活性化が図られるよう会員への情報提供を行うと共に、無線通信に関わる新技術の調査研究等の活用を通じて会員の能力向上と育成及び協会の発展につなげたい。総務省の電波適正利用推進員に係る事務請負については7年度も引き続き当協会で受託することができた。必要な改善整備を図り、潤滑かつ効率的に準備を実施していく。協会としては最新の国の動向を的確に捉えながら、会員の皆さんの事業や自営無線、電波利用の発展に貢献するため活動していく」とあいさつした。
 続いて第1号議案「令和6年度決算報告及び監査報告について」に関連して令和6年度事業報告の詳細について事務局側から説明があった。
 収益関連について、無線局サポート事業のうち無線局申請のサポート事業については、総局数は約19万8千局(対前年度比136・2%)で、総件数は約2万3千件(同132・1%)と順調に増加。関連する事業収益は前年度比約1372万円増の97億7405万円とした。企画管理事業のうち識別符号通知事業については、令和5年6月に施行された簡易無線局の高度化及び周波数の増派に係る省令改正により、新しい機種が発売されたことから最終的に19万3千個(同112・1)と増加し、コードレス電話機についても67万4千個(同112・5%)となった。受託事業については、総務省からの「電波適正利用推進員活動の運営管理等の請負」に関して、前年度より約200万円少ない約8300万円の契約だったが請負決算額としては約8200万円だったとした。
 費用については、物価上昇等による一部の費用増はあったが令和元年度に更改した電子申請システムの償却期間終了によりソフトウェア償却費が減少し、5年度に比べて減少。この結果、6年度決算は経常収益約3億2900万円、経常費用約3億3900万円で税引き後の最終的な当期一般正味財産増減額は約1100万円の赤字額に抑えることができたとした。
 6年度に取り組んだ重点施策事項として、400MHz帯アナログ簡易無線局が令和6年11月30日に使用期限を迎えるのに伴い、アナログ停波に伴う再免許、変更、廃止、新設の各種申請が大幅に増加したのに対し、申請前段での助言等サポートによえい会員の申請事務の円滑な実施を支援。また令和7年1月6日には総務省電波利用申請システムが刷新されたが、事前確認試験に参加する等事前準備を入念に行い、新システムによる電子申請に円滑に対応するなどしたとした。
 このほか事業別実施活動状況として、無線設備の登録検査等に対する支援や無線従事者の育成、電波利用秩序の維持・発展に係る周知啓発等の無線局サポート事業や、電波利用促進・発展のための企画調査、無線通信に関する技術交流や技術指導、識別符号通知事業、測定器較正の仲介サービスやRMKセミナー等の企画管理事業、総務省からの受託事業の実施状況等を報告した。
 7年度事業計画についての報告では、重点施策事項として引き続き、会員へのサービス向上として会員への情報提供の充実、電波利用促進や発展のための企画調査、地域の特性を活かし、地域ニーズに根差した活動を展開するほか、電波利用の秩序維持・発展に係る周知啓発活動の強化に当たると説明。無線局サポート事業については、陸上移動系無線局が5年に一度の再免許申請のタイミングに当たることから申請等が集中するとして、申請業務が円滑に進むよう支援するとした。
 7年度予算については、6年度に集中した無線局サポート事業収益の反動等から経常収益を前年度比1261万円減の3億1876万円と見込んだ。計上費用の削減により対前年度比1044万円減の3億4615万と見込んだが、収益減少を見込むことから最終的な正味財産期末残高は2738万円の赤字となる見通しとした。
 このほか、公益社団法人から一般社団法人に移行したことに伴う公益目的支出計画が当初の予定より前倒しで完了することに伴う「令和6年度公益目的支出計画実施報告書及び公益目的支出計画実施報告書に関する監査報告」について報告、了承された。
 最後に第2号議案として、任期満了に伴う理事と幹事の選任について一括決議を諮り、全会一致で承認された。任期は理事が2年間、監事が4年間。またこれに伴い、理事を退任する松本広明氏に対して桂会長から感謝状が贈呈された。
    ◇
 新体制は次の通り。
 【理事】▽沖津光大(有限会社オーティエス代表取締役)=再任▽山田秀毅(綜合通信株式会社代表取締役)=再任▽菊池安博(株式会社デジタス代表取締役)=再任▽高橋則夫(日東通信株式会社常務取締役)=再任▽元田捷治(田中電気株式会社専務取締役)=再任▽中島芳明(三峰無線株式会社代表取締役会長)=再任▽及川健一(株式会社芝浦通信代表取締役)=再任▽酒井秀康(有限会社キャリアウェーブ代表取締役)=再任▽若林健嗣(日本海電業株式会社代表取締役社長)=再任▽國井豊(中部電子システム株式会社参与)=再任▽西井希伊(西菱電機株式会社代表取締役社長)=再任▽田村秀治(山口自動車無線株式会社代表取締役)=新任▽和田成登(三電計装株式会社代表取締役)=再任▽岩本太郎(株式会社エフ・ティー・シー通信代表取締役)=再任▽知花敦(サミットインダストリアル株式会社代表取締役)=再任▽齋藤拡二(株式会社国際電気執行役員プロダクト本部長)=新任▽受川裕(日本電気株式会社グローバルイノベーションビジネスユニットCorporate Executive)=再任▽野田憲一(アイコム株式会社執行役員国内営業部長)=再任▽桂靖雄(元パナソニック株式会社代表取締役副社長)=再任▽田辺博(沖電気工業株式会社執行役員社会インフラソリューション事業部長)=新任▽北畠好章(モトローラ・ソリューションズ株式会社代表取締役社長)=再任▽浅井茂樹(株式会社富士通ゼネラル経営執行役)=再任▽守屋光男(三菱電機株式会社社会システム事業本部通信システム事業部事業部長)=再任▽宮崎能博(八重洲無線株式会社相談役)=再任▽佐藤勝也(株式会社JVCケンウッド執行役員セーフティ&セキュリティ分野無線システム事業部長)=再任▽本間達也(一般財団法人移動無線センター常務理事)=再任▽倉橋誠(一般財団法人情報通信振興会専務理事)=再任▽近藤信行(公益財団法人日本無線協会専務理事)=新任▽杉浦誠(一般社団法人全国陸上無線協会)=再任
 【監事】▽松原秀治(日本無線株式会社執行役員ソリューション事業部事業部長)=任期中▽高野潔(一般財団法人テレコムエンジニアリングセンター常務理事)=新任

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kobayashi
主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。