富士通、量子シミュレータの量子回路計算を200倍高速化

富士通は、量子シミュレータ上で、量子コンピュータの初期の使用方法として提案されている量子・古典ハイブリッドアルゴリズムを、従来のシミュレーション所要時間と比較して200倍高速に実行できる技術を開発したと発表した。
従来の量子・古典ハイブリッドアルゴリズムを活用した量子回路計算においては、解きたい問題の規模に応じて量子回路計算の回数が増大してしまい、特に材料や創薬分野のシミュレーションのように多くの量子ビットを必要とする大規模な問題では数百日も要しており課題となっていた。
今回開発した技術は、繰り返し実行される膨大な量子回路計算を複数グループに分散し同時処理を可能にした。さらに同社が開発した世界最大級の量子シミュレータを使うことで、規模が大きな問題では、精度の劣化を抑えつつ問題を単純化できる手法を導出した。これらを合わせて、従来方式では200日かかると想定されていた量子シミュレータでの計算を、わずか1日で実行可能にする技術を世界で初めて開発した。これにより、これまで難しかった大規模量子計算のシミュレーションを現実的な時間で完了できるようになり、量子・古典ハイブリッドアルゴリズムでより大きな分子を計算した場合の挙動をシミュレーションし、アルゴリズム開発につなげることが可能になった。
同社は今後、この技術を同社のハイブリット量子コンピューティングプラットフォーム「Fujitsu Hybrid Quantum Computing Platform」に搭載し、金融や創薬をはじめとする様々な分野での量子コンピュータの実用化検討を加速する。さらに同技術を応用して、量子シミュレータのみならず、量子コンピュータでの量子回路計算を加速できることを検証する。

(全文は2月26日付け2面に掲載)

投稿者プロフィール

アバター
田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。