朝ドラ「あんぱん」やなせたかし役は北村匠海さん

 NHKは26日、2025年度前期テレビ小説「あんぱん」で、ヒロイン・朝田のぶの夫で、やなせたかし氏をモデルとした柳井崇役の発表会見を開き、俳優の北村匠海さんが務めると発表した。ヒロインは女優の今田美桜さんが務める。
 戦後80年を迎える2025年。第112作目の連続テレビ小説「あんぱん」の物語は、アンパンマンを生み出したやなせたかし氏と小松暢氏の夫婦がモデルで、生きる意味も失っていた苦悩の日々と、それでも夢を忘れなかった2人の人生を伝える。何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、「逆転しない正義」を体現したアンパンマンにたどり着くまでを描き、生きる喜びが全身から湧いてくるような愛と勇気の物語となっている。
 北村さんが演じる柳井崇は、幼少期に新聞社の特派員だった父を亡くして伯父の家に引き取られ、転校先の学校でのぶに出会う。戦後、高知の新聞社で2人は再開。のぶの後押しを受けながら、幼いころから夢だった漫画家への道を歩み始める。
発表会に登壇した北村さんは、「昔朝ドラの『なつぞら』のオーディションを受ける機会があったがご縁がなく、朝の時間に僕の顔は合わないと思っていた。今回お話をいただき、しかもやなせたかしさんをモデルとした柳井崇役ということでなんで僕なのかと聞いた。自分はバンド活動もやっていて、十分後に命を落とすかもしれない、では今をどう生きるかを連続して行うことが日々を全うすること、ということを自分の中のモットーにしている。よくライブで独り語りのようにMCしたその言葉がきっかけだと言われたのが印象的。やなせさんは生きること、社会に生かされていることは素晴らしいということをアンパンマンはじめ作品に落とし込んできた方。自分の中に持っていた感情がこの役、作品、今田さんに出会わせてくれたと思う。今後長い間、一つの役、一つの作品と向き合い続けて日々を全うすることを感じながらみんなと時間を過ごしていきたい」と意気込みを語った。
 制作統括の倉崎憲さんは、「やなせたかしさんという世の中の皆さんが知っている人物を描くことは相当な覚悟を持たないといけないという思いがあった。その役に誰がいいかと思ったとき、皆さんのイメージは晩年のやなせさん。アンパンマンを生み出したのは50代、アニメーションとして浸透したのは69を超えてから。彼の写真など印象にあると思うが、彼の人生はアンパンマンにたどり着くまで色んな道を歩まれている。製薬会社、新聞社、三越など転々として漫画家として独立後ももがき苦しんだ人物。若い時からしっかりと描きたいと思ったときに真っ先に思い浮かんだのは北村さん。皆さんのイメージは多分陽気で愉快なおじさんだと思うが、彼の若い時は気弱で弱々しい部分も持ち合わせ、学校に行きたくないという時期もあったとされている。取材を積み重ねるうちに、これだけ活躍していて唯一無二の存在は北村さん以外にいない。彼が演じるやなせたかしをモデルとした柳井崇をシンプルに見たいと思った。制作陣や脚本の中園さんも満場一致で声掛けさせてもらった。彼はライブのMCの言葉一つずつで今をどう生きるかを体現している、そして伝えていると感じた。ある種哲学的な部分を含めてやなせさんの人生とどこかリンクする部分を感じた。今田さんとのバランスも良く、夫婦の映像を楽しみにしている」と配役の理由を語った。
相手役を務める今田さんは、「北村さんとの共演はこれまで5度あり、やなせさんの役に決まったと聞いたときは本当にほっとして何も心配することはないと思った。何度かご一緒する中で、北村さんも朗らかな部分がありつつ、すごくまっすぐで秘めてる強さを感じる。それが役に触れていく芝居を見るのが楽しみで、撮影も楽しみ。ご一緒できて素直にうれしかった。2人でやわらかく、温かく歩んできたお二人の人生を丁寧に描いていけたらと思う」と話していた。
 本作は実在の人物である、小松暢氏(1918~93)とやなせたかし氏(1919~2013)をモデルとするが、激動の時代を生きた波乱万丈の物語として大胆に再構成し、登場人物名や団体名などは一部改称して、フィクションとして描く。原作はなく、脚本は連続テレビ小説『花子とアン』、大河ドラマ『西郷どん』などを執筆した中園ミホさんが担当する。

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kobayashi
主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。