「Web×IoTメイカーズチャレンジ」 『ハッカソン』でデバイス製作

 Web×IoTメイカーズチャレンジ2017実行委員会横須賀運営委員会主催による、学生や若手エンジニアを対象とした「Web×IoTメイカーズチャレンジ2017in横須賀」での『ハッカソン』が3月3日・4日に横須賀市産業交流プラザ(横須賀市本町3の27)で開かれた。IoT機器・サービスの開発を行う若者等の電波利用等に関するIoTのリテラシー向上等を目的とした。 事業主は総務省関東総合通信局。協力は防衛大学校、電気通信大学、関東学院大学、ステップ、京浜急行電鉄、ジェイコム湘南、横須賀市、情報通信研究機構など。後援はスマートIoT推進フォーラム。運営事務局はYRP研究開発推進協会、ブール・ジャパン。 2月24日(横須賀リサーチパークYRPセンター1番館)、25日(横須賀市産業交流プラザ)で行われた『ハンズオン講習会』に次ぐイベント。 『ハンズオン講習会』で学んだ知識を生かしてチームを組んで実際にデバイス製作に挑戦した。 参加特典は①ハッカソン作品製作にかかる材料費を補助②ハッカソン終了後は、チームに1台「Raspberry Pi 3」とセンサーキットをプレゼント③最優秀チームには、3月9日に東京で開催される「スマートIoT推進フォーラム総会」での作品展示と招待④参加者は、後日開催されるYRP見学ツアーに招待。 具体的には「Raspberry Pi 3」を使用して、コントロール小型ボードコンピューターとセンサーキットで、「JavaScript」によるハードウエア制御システムを作り上げた。 なお、横須賀市の課題解決をテーマにした。①横須賀マリンレジャー資源の積極発信で市外から人を集める②谷戸再生構想の実現~住みやすさの向上をめざす~③何度も訪れたくなる横須賀をめざす④24時間365日子育て・暮らし・高齢者の見守り・困りごとの相談に対応⑤交通渋滞解消や駐車場管理と交通事故防止―の5つだった。8グループに分かれてひとつのテーマを選択。「センサーを使ってテーマを解決(改善)できないか」に絞って、3日の午前10時から午後5時、4日の午前10時から午後2時まで製作に取り組んだ。 製作終了後、審査員が各グループをまわって説明を受けた。審査員は、慶応義塾大学環境情報学部准教授の中澤仁氏、ステップ社長の神宮司誠氏、国立研究開発法人情報通信研究機構ワイヤレスネットワーク総合研究センター長の浜口清氏、モバイルコンピューティング推進コンソーシアム技術最高責任者の岡崎正一氏。アイデア、完成度、チーム力をそれぞれ評価した。 別室での審査終了後、参加者全員にハッカソンの修了書が横須賀運営委員会主査の杉田真奈美氏(株式会社ブール・ジャパン代表取締役)から授与された。 続いて、審査結果の発表が行われた。最優秀賞はチームB。チーム名は「Hackathon TeamB Matrix」。メンバーは高岡将悟さん、グェン・ミン・トゥさん、神農諒太さん、塙小百合さん。タイトルは「車両混雑状況お知らせシステム」。同作品の内容は『駅に到着する電車の、車両ごとの乗客人数をカウントして、混雑状況を知らせる。車両内の温度と湿度の情報を取得して、不快指数で知らせる』。 このほか各チームに協力機関(京浜急行電鉄賞、ジェイコム湘南賞、YRP賞、NICTワイヤレスネットワーク総合研究センター賞、ステップ&グールジャパン賞、横須賀市長賞)からそれぞれ副賞が渡された。MCPCから各チームに記念品が渡された。 続いて、中澤仁・慶応大学准教授がハッカソンの総評を述べた。「審査の時間に各チームに話を聞きますと、かなりマニアックな通信プロトコルの名前が出てきたり、クラウドサービスでこんなものが使われていますといった、私としてはかなり期待を超えたものが出てきました。全般として、それぞれのチームでさまざまな複数の技術をうまく組み合わせてパッケージにされていたと思います。最優秀と他との差はほんのちょっとでした。大事なことは、米国のカーネギーメロン大学の金出武雄先生という方が以前いらっしゃって、『素人のように考え、玄人として実行する』という本を書かれました。この『素人のように考える』ということが大事なのです。大学でガリガリ勉強していると、脳内がどんどんカタクなって、こういうことしかできないのではないかという発想になりがちだが、『素人のように考える』とは前提が一切なかったとして、じゃどういうようにこの問題を解こうかなと〝妄想〟する―それが大事。妄想してこういうことをやりたいと思ったら、それからはプロに習って作り上げる。こういうハッカソンのイベントはこの妄想した人が勝つ。こういうものを作りました―からもう少し膨らまして説明できる、表現できることが大事。自分で作ったものが本質的に何に役立つか、本質的により幅広く把握することが大事なのです」と話した。 続いて総務省国際戦略局通信規格課企画官の根本朋生氏が閉会挨拶を行った。「若い皆さんに集まっていただいて、だいたい2000年前後のお生まれだと思いますが、1997年から2000年にかけて世界最速のコンピュータで『ASCI Red』というのがあって、この計算能力が1テラフロップスくらい。大きさが150平米ほどで普通の家庭でみると200軒ほどの電気を使っていました。ただ何年かすると(技術の進歩でこういったコンピューターは小型化や消費電力も減って)価格は安くなった。さきほど中澤先生が妄想ということを話されましたが、技術の進歩は非常に早くて、単純な頭脳労働はどんどんAIにとって変わります。みなさんに求められるのは妄想、発想、ひらめきであって、技術系にとってとても大切なのはブラックボックスの中の仕組みを知ろうと思うこと。とても大切だと思います。そういうひらめき、仕組みを知るということはハッカソンでとても大切なことだと思います」と述べた。