ローカル局の経営力向上を図る デジタル時代放送制度検討会の論点整理公表

 総務省では、「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」(座長・三友仁志早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授)を開催し、検討を行ってきた。そして、同検討会において、「放送の将来像と制度の在り方に関する論点整理」がまとめられた。前号の「【論点2】 放送ネットワークインフラの将来像」に続き、今回は「【論点4】 デジタル時代における放送制度の在り方」についてまとめた。ポイントは、認定放送持株会社傘下の地上基幹放送事業者の地域制限の撤廃、地上テレビ放送の異なる放送対象地域(認定放送持株会社制度によらない場合)に係る規制の特例の創設ーを記した点である。「デジタル時代における放送制度の在り方」では、デジタル時代において放送が引き続き社会的役割を果たしていくため、放送法令等の制度において必要な措置を講ずるべきである。その際、当該措置は、放送が長らく培ってきた地域文化や地域との絆、地域メディアとしての役割等を毀損するものではなく、今後も長く維持・発展させていくためのものであることに留意すべきであるーとし、ローカル局の将来像を見据えたものである。 まず、『マスメディア集中排除原則の見直し』について考察した。論点整理では、放送の多元性・多様性・地域性の確保を目指すマスメディア集中排除原則について、インターネットを含め情報空間が放送以外にも広がる中で、経営の選択肢を増やす観点から見直しを図るべきである―とした。 地上基幹放送関係では、異なる放送対象地域について、特にローカル局の経営力の向上を図り、隣接県に限らない経営の連携が可能とする観点から、①認定放送持株会社傘下の地上基幹放送事業者の地域制限の撤廃及び②地上テレビ放送の異なる放送対象地域(認定放送持株会社制度によらない場合)に係る規制の特例の創設ーを措置すべきであるーとまとめた。 一方で、同一放送対象地域に係る支配関係の基準は、放送の多元性・多様性・地域性に与える影響を考慮し、現時点では現状維持とすべきーともしている。 ①の論点根拠は『認定放送持株会社制度が資本関係を通じたグループ経営を可能とするものである一方で、放送の多元性・多様性・地域性に与える影響を考慮し、傘下の地上基幹放送事業者の地域制限(12都道府県まで)が設けられているが、資本関係と自社制作番組比率との間に関連性が特に認められないなど、大きな影響は見られていない。こうした制度の趣旨、これまでの運用状況及び事業者ニーズを踏まえると、地域制限を維持する必要性は認められない』ことがある。 ②の論点根拠は『認定放送持株会社制度によらない場合でも経営の選択肢を増やす観点から、一定の制限の範囲内において、地上テレビジョン放送について隣接・非隣接に関わらず兼営・支配を可能とする特例を設けることが適当である。その場合、兼営・支配を可能とする一定の数の制限については特定隣接地域特例を参考とすることが考えられる。なお、特定隣接地域特例については、現在、関東・中京・近畿の3つの広域圏はその対象から除かれているが、広域圏も対象とすべきかどうかについては、広域圏の影響力も踏まえた整理が必要』としている。