
宇宙天気情報利用ガイドラインや手引き作成、NICT
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、2022年総務省主催の「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会」を受けて、社会的影響を踏まえた新警報基準に基づく〝宇宙天気イベント通報(SAFIRセイファー)〟を2025年6月19日(木)から開始。これに伴い、〝宇宙天気情報利用ガイドライン〟と〝宇宙天気情報利用の手引き〟を作成した。
宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会は、2022年に総務省が主催し、6月21日に報告書が公表された。報告書では、大規模太陽フレア等の極端な宇宙天気現象によって社会インフラに異常を発生させ、社会経済活動に多大な影響を与えるおそれがあることから、我が国初となる「極端な宇宙天気現象がもたらす最悪シナリオ」を策定するとともに、宇宙天気現象を現実のリスクとして捉え国家レベルの危機管理に向けた提言がなされた。
太陽表面の爆発現象「太陽フレア」などにより、地球周辺の宇宙環境が乱れると、その規模により、通信・放送、宇宙システム運用、航空機運航、衛星測位、電力等の重要インフラに影響を与えることがある。
こうした宇宙環境の変動は「宇宙天気」と呼ばれ、その影響を最小限に抑えることを目的として、NICTは1988年から宇宙天気予報を実施し、ウェブサイトやメール等で宇宙天気の概況や24時間の予報、太陽フレアなど宇宙天気現象の発生(宇宙天気イベント)について情報配信している。
宇宙天気現象の影響が社会インフラごとに異なること、予報情報が具体的な影響に直結しておらず影響の定量的評価が難しいこと、宇宙天気予報の成熟度が気象予報と比較すると観測点の圧倒的不足等から発展途上なことなどから、これまでは提供される宇宙天気情報と社会的影響の紐づけが不明瞭であり、その情報の利用に関するガイドラインも整備されていなかった。
これらの問題点については、同検討会でも議論され、警報に関する体制強化として社会インフラのリスク(被害)を考慮した新たな警報基準、NICTによる確実な警報伝達の必要性や、社会インフラへの影響と効果的な対処として企業向けの標準的ガイドラインなど共通的対策の導入等について提言された。検討会の報告書も踏まえ、NICTでは新警報基準に基づく宇宙天気イベント通報の実装や、通報される宇宙天気情報を利用して対処するためのガイドライン策定を進めてきた。
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