自動走行・通信安定等6使用事例公募、国交省

 国交省は、クリーンエネルギーを電源とする無人化・自動化した輸送手段で貨物運搬する新物流システム「自動物流道路」の令和7年度社会実装に向けた実証実験の6つのユースケースの公募を開始した。募集期間は9月5日(金)12時までで、実験場所は国土交通省国土技術政策総合研究所(国総研、茨城県つくば市)の試験走路等を予定。
 同省道路局では、物流危機への対応やカーボンニュートラルの実現を図るため、道路空間に物流専用スペースを設け、クリーンエネルギーを電源とする無人化・自動化された輸送手段により貨物を運搬する新たな物流システム「自動物流道路」の構築を推進しているが、今般、建設中の新東名高速道路の区間における2027年度までの実験実施に先立ち、「令和7年度自動物流道路の社会実装に向けた実証実験」を実施することにした。
 既存の技術・施設における実験を通じ、自動物流道路の実装に向けた技術的課題の検証及び運用に必要な条件整理等を行うことを目的とした実証実験の参加事業者の公募を開始。インフラ側の必要面積、運送効率や事業性の観点から拠点での積卸し作業の効率化、自動走行、走路変更、通信安定性・運行管理など6つのユースケースを設定。
 実大トンネル実験施設を含めた国総研の試験走路、及び申請者より提案のあった場所での実証実験での実施を予定し、国総研での実施はトンネル部で本年11月19日(水)~12月26日(金)及び令和8年2月2日(月)~2月28日(土)、屋外直線部で本年12月15日(月)~12月26日(金)の日程で実施し、国総研の試験走路の使用期間には機材の撤収や原状復帰等に要する期間も含まれる。
 6つのユースケースにおける実証実験の概要は次の通りである。
 【①拠点:無人荷役機器による荷役作業の効率化】無人荷役機器によるトラックからの荷積み・荷卸し、搬送機器への積み替え作業の自動化に必要な床面積、作業時間などについて検証。
 【②本線単路部:搬送機器の自動走行】速度や荷物重量の異なる搬送機器の自動走行の状況、必要な道路幅、走行環境、荷物への影響などを検証。
 【③本線単路部:異常検知及び搬送機器の回避行動】異常発生時の検知能力や、それに対する回避行動における走行技術及び制御の精度についての検証。
 【④本線単路部:搬送機器の通信安定性】トンネルなど通信の環境が不安定な状況下においても、自動走行が可能かどうかを検証。
 【⑤その他:搬送機器の運行管理】搬送機器や荷物の運行状況を管理するためのシステムについて、その有効性と課題を検証。
 【⑥拠点:搬入車両の到達予定情報の情報提供】搬入車両の到着予定情報をシステムで受信し、搬送機器へ指示。車両の到着にあわせて搬送機器をスタンバイさせる運用について検証。