
「Innovation Bridge @TOKYO」プレオープン NICT、研究者の交流拠点施設として来年三月稼働開始
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は2025年8月28日(木)、東京日本橋タワー15階(東京都中央区日本橋2―7―1)のNICTイノベーションセンターで「Innovation Bridge @TOKYO(イノベーションブリッジアットトウキョウ)」のプレオープニングセレモニーを開催した。2026年3月の本格オープンを前に研究開発パートナーの情報通信産業や行政関係者ら約70人が参加した。
同施設は、Beyond 5G/6Gの研究開発におけるイノベーションを生み出すための拠点として、あらゆる産業分野から知識と経験が集まることで新たな価値を生み出し、そこから社会展開していくための仕組みを備えた環境作りを目的に設立。東京駅からもアクセスしやすい日本橋という好立地を活かした、アジャイルな研究開発、グローバルな情報発信、コミュニティの形成が一体的かつ循環的に行われる研究者たちの交流拠点施設として2026年3月から正式稼働を予定している。
プレオープン時点では、多様な背景を持つステークホルダーが集まり、オープンで自由な議論を行うことで新たな発想を巡らせることができる「LAB Lounge」と、あらゆる産業分野から技術が集まり、知識や経験が融合することで新たな価値を生み出す場として「コラボレーションラボ」の二つのエリアで構成されている。
LAB Loungeでは、NICT広報部が手掛けたBeyond 5G/6Gのイメージを立体化したジオラマ作品や遠隔操作ロボット、電波を使って位置変化を計測する無線双方向時刻同期(Wi―Wi)技術等を展示。またコラボレーションラボでは、大阪・関西万博でも展示した「 TN/NTNジオラマ」や宇宙天気予報のための「タジック・アース」、様々な技術を検証・評価するための汎用的PoCシステム等を展示しており、本格オープン後は定期的に展示を入れ替える予定。このほか定期的にイベントなどを開催し、各業界間の交流に役立てるとしている。
主催者を代表してNICTの徳田英幸理事長は、「現在、情報通信分野は大きな転換期を迎えている。Beyond 5G/6Gにおける研究開発は技術的な進化に留まらず社会や産業構造そのものを変える可能性を秘めている。我が国だけでなく世界各国の研究開発競争、コンペティションだけでなく、コ・クリエイション(共創)も活性化している。NICTが始めたドイツ、フランス、フィンランド、米国、シンガポールといった国々の研究機関、大学企業だけでなく多くの共通の価値観を持った国々がより迅速に、より効率よく、Beyond 5G/6Gの実現を目指している。このような国際間の連携やプロジェクトも視野に日本のプレゼンスを向上すると共に異なる分野の人材、知識、経験が交わり新たな価値を協創することができる環境を整備、提供することが重要。このような背景でNICTではアジャイルな研究開発、グローバルな情報発信、分野組織を超えたコミュニティ形成を立体的かつ循環的に推進する拠点として構築を進めている。単なる施設だけでなく多様なプレーヤーが集い自由に意見を交わし連携を深めることで真価を発揮する共創の場となることを期待している。世界に向けた発信の起点となることを目指している。新たな気付きや連携のきっかけとなれば」と期待を寄せた。
またBeyond 5G 新経営戦略センターで共同センター長を務める柳川範之・東京大学大学院経済学科研究科教授も登壇し、「今は技術革新の時代だが、技術者だけでなくほかの方々とのコラボレーションがないと社会に実装されることはないし本当の意味でイノベーションにはならない。ここにいる皆さんだけでなくここにまだ来ていない人たちを巻き込んでつながっていくことが本当の意味でのイノベーションブリッジになっていく」と述べた。
担当者からの説明の後、総務省国際戦略局革新的情報通信技術開発推進室長の谷口宏樹氏、大阪大学先導的学際研究機構教授の栄藤稔氏、アンリツ常務理事CEO先端技術研究所長の野田華子氏、産業技術総合研究所次世代電子材料研究グループ長の三村恵一氏によるパネルディスカッションがあり、それぞれ「イノベーション拠点に期待する機能と役割」をテーマにアイデアを出し合った。
三村氏は、「異分野との融合が非常に重要。ぜひ活動を続けて欲しいしわたしとしても参加したい」とし、谷口氏は、「国とも企業とも違う国研(国立研究開発法人)というちょうどいい立ち位置を活かして活動を続けて欲しい」とし話した。栄藤氏は、「NICTにはグローバルなネットワークを広げてもらい、ここをそのお披露目の場としてもらうよう期待したい」、野田氏は、「中立的な立場としてここを核として話し合いができる環境を用意してもらい、ほかの国研との連携にも期待したい」と話した。
この記事を書いた記者
- 主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。
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