8年度国家公務員及び地方警察官の増員要求

 警察庁は、令和8年度予算概算要求に関連し、令和8年度国家公務員の増員146人を要求した。
 昨年の刑法犯認知件数は、戦後最少となった令和3年から3年連続で増加となっているほか、特に財産犯の被害額は4000億円を上回るなど、犯罪情勢は極めて憂慮すべき状況にある。
 こうした情勢の中、匿名・流動型犯罪グループが、凶悪な手口による強盗事件のほか、特殊詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺、金属盗等の組織的窃盗、悪質ホストクラブ事犯等に関与し、国民に大きな不安を与えるなど、治安上の課題で、、サイバー空間をめぐる脅威についても、引き続き深刻な情勢にあるほか、ローン・オフェンダーによる銃器等を使用した重大事件が続発するなど、対策の強化が急務となっている。
 このように、警察庁が緊急に対処するための課題が増大していることから、警察業務のデジタル化・高度化を推進し、合理的かつ効率的に警察力を確保しつつ、治安上の諸課題に的確に対処していくため、増員を図る必要があるとして、8年度国家公務員増員を要求した。
 増員146人の要求項目は、①匿名・流動型犯罪グループに対する総合対策の推進②サイバー空間の脅威への対処能力の強化③国民生活の安全・安心を確保するための諸対策の推進④わが国の安全を確保するための体制の強化⑤警察業務のデジタル化・高度化。その他の事項要求として、サイバー安全保障分野における対応能力の向上に関する要求を行う。
 令和8年度地方警察官の増員について、サイバー空間における対処能力の強化、及び匿名・流動型犯罪グループに対する戦略的な取締の強化のための増員475人を要求した。
 最近の治安情勢については、サイバー空間をめぐる脅威が、引き続き極めて深刻な情勢にあるほか、特殊詐欺をはじめとする匿名・流動型犯罪グループによる犯罪が重大な脅威となっているなど、厳しい状況にある。
 こうした情勢を踏まえ、警戒の空白を生じさせないための組織運営に係る取組みとして業務の合理化・再配置を行ってきたが、なお既存の人員で対処し難い緊急の課題に的確に対処するため、地方警察官の増員を図ることとした。
 また、福島県警察への期限付き増員の延長(東日本大震災関係)で、92人の増員を要求した。
 東日本大震災以降、福島県警察の警察官増員を継続しているが、令和8年以降においても、特定復興再生拠点区域等におけるパトロール機能強化のため、増員の継続を図る必要があるとして、特定復興再生拠点区域等におけるパトロール機能の強化に92人の増員を要求した。
 このほか、地方公務員の定年引き上げによる影響を緩和して新規採用者を確保するための期限付増員を要求の予定。
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 令和8年度組織改定の要求では、新設(府令事項)として、人事課:訟務指導官、捜査支援分析管理官:国際組織犯罪対策官、運転免許課:運転免許デジタル化企画室、公安課:ローン・オフェンダー等対策室、サイバー企画課:サイバー人材育成指導室、を要求。いずれも仮称。
 このほか、サイバー安全保障分野における対応能力の向上に関する要求を行う。