8年度航空路整備事業275億円要求 国交省航空局、航空管制システムの信頼向上等推進

 国土交通省航空局は、令和8年度航空路整備事業に前年度予算を上回る257億円を要求した。航空局では、航空の安全・安心の確保は最大の使命として、「羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会」の中間取りまとめで示された、技術革新の推進等の対策を確実に実施するとともに、さらなる安全性向上のため、航空管制システムの信頼性向上を推進する。
 さらに、わが国の国際競争力強化のため、首都圏などの混雑空港・空域における航空交通容量の拡大を図り、より効率的かつ効果的な管制サービスを提供することで航空需要の増大へと確実に対応するほか、航空ネットワーク機能維持に不可欠となる管制施設、航空保安施設、通信施設等の機能維持・向上に資するための更新・改良を進める。
 令和8年度の航空路整備事業概算要求のポイントの一つは、航空の安全・安心の確保。滑走路上における航空機等の衝突リスクを低減するため、航空交通管理や滑走路誤進入検知システムの高度化に向けた技術革新の推進等の「羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会」の中間取りまとめにおいて示された対策を実施する。航空管制システムの信頼性を向上するため、サイバーセキュリティ対策の強化を進める。
 二つに、航空管制システムの機能向上により、特定地点の通過時刻を管理し、航空機の飛行間隔のバラツキを抑えた理想的な間隔を実現することで、混雑しやすい空域の渋滞緩和を図る等、航空需要の増加に対応した、より効率的・効果的な管制サービスを実現する。三つ目は、老朽化した管制施設や航空保安施設等の更新・改良を行い、航空ネットワークを支える航空路施設の機能維持・向上を進め、航空機の安全な運航を確保する。
 令和8年度航空整備事業概算要求の内訳を次に示す。カッコ内は前年度予算額。
 【航空の安全・安心の確保19億円(16億円)】▽羽田空港航空機事故対策にかかる対応(技術革新の推進)7億円(7億円)▽航空管制システムの信頼性向上12億円(10億円)。
 【効率的・効果的な管制サービス実現17億円(49億円)】▽効率的な飛行経路の実現等にかかる整備6億円(49億円)▽国際基準改定にかかる整備10億円(―)。
 【航空路施設の機能維持・向上240億円(209億円)】▽管制施設整備188億円(125億円):うち航空路監視レーダー整備39億円(20億円)、うち管制情報処理システム整備61億円(40億円)、うち交通管制部施設等整備62億円(57億円)、うち遠隔対空通信施設整備24億円(3億円)、うち航空路情報提供施設整備2億円(5億円)▽保安施設整備23億円(14億円)▽通信施設整備14億円(3億円)▽訓練施設整備8億円(18億円)▽気象施設整備7億円(5億円)▽航空保安大学校用地購入―(45億円)。