
空の移動革命に向けた官民協議会開催 国交・経産省、大阪万博後の空飛ぶクルマ社会実装へ
国土交通省航空局は、経済産業省製造産業局と合同で今般、日本における『空飛ぶクルマ』の社会実装に向け、東京都港区三田の三田共用会議所1階講堂(オンライン併用)にて、官民の関係者による「空の移動革命に向けた官民協議会」の第11回会合を開催した。前回官民協議会からの各ワーキンググループにおける検討状況等の報告、及び大阪・関西万博後の社会実装の実現イメージを取りまとめるとともに、協議会の構成員として新たに三菱電機など6事業者の加入を決定した。
『空飛ぶクルマ』は、都市部や離島・山間部での新しい移動手段、災害時の救急搬送や迅速な物資輸送などでの活用が期待されており、日本において『空飛ぶクルマ』を実現し発展させていくため、2018年に「空の移動革命に向けた官民協議会」が設置され、同協議会で取りまとめられた「空の移動革命に向けたロードマップ」に沿って、空飛ぶクルマに関するユースケースや制度整備などについて、官民一体となって検討を進めてきた。
今回の会合では、空飛ぶクルマの商用運航の拡大や多様な機体、高度な運航(自動・自律飛行、高密度運航等)に対応するための制度整備に関する検討状況と小型操縦者航空機による山間地等での貨物輸送の早期実現に向けた検討状況などについて報告を行ったほか、大阪・関西万博後の社会実装の実現イメージについて、2020年代後半を導入初期、2030年代前半を成長期、2030年代後半を成熟期、2040年代以降を完成期として、各年代における空飛ぶクルマの実現イメージとその実現に必要な対応を整理。
2027年/2028年以降から一部先行する地域で商用運航がスタート。その後、運航頻度の向上により導入地域が拡大、事業規模拡大による経済性の向上等により広域的なネットワークが形成されるとの流れを想定。今後、空飛ぶクルマの具体的なネットワークの形成などに向けて、運航事業者や自治体などの関係者と連携して、広域的に検討を深めて行くとした。
また、令和7年度の取組みの方向性では、空飛ぶクルマの制度整備に係る検討など、次のように主な検討項目等について確認した。 ◎空飛ぶクルマの制度整備に係る検討:引き続き、商用運航の拡大や多様な機体、自動・自律飛行及び高密度運航など、高度な運航に対応するための制度整備について検討を実施(令和6年度に方針整理した項目に関するガイドライン・通達の策定・改訂や中長期課題の検討等)。
◎無操縦者航空機に係る検討:新たに設置した「小型無操縦者航空機TF(タスクフォース)」において、小型の無操縦者航空機を用いた貨物輸送等の事業の実現に向け、当該機体の開発促進に向けた開発機による有償実証飛行のあり方を検討するとともに、欧州航空安全機関(EASA)等の基準を参考にしたリスクベースの耐空性の基準の検討を実施。
◎ConOpsの改訂:今回作成した「大阪・関西万博後の社会実装の実現イメージ」を踏まえ、ConOpsの改訂に向けた検討を実施―①社会実装の実現イメージのスケジュールに合わせてフェーズの見直し②大阪・関西万博での運航を踏まえたフィードバック③交通管理FT・自律飛行等SGにおける検討内容を踏まえた各フェーズの内容の深堀り。
◎ロードマップの改訂:ConOps改訂に向けた議論と並行して、ConOps実現に向けた必要な環境整備・技術開発を整理し、ロードマップ改訂に向けた検討を実施。
協議会構成員の新規加入では、三菱電機(株)、三井不動産(株)、(株)レイメイ、(株)日建設計、(株)Soracle、Archer Aviationの6事業者が構成員となり、各社からプレゼンテーションが行われた。三菱電機は、空港管制や航空気象等のインフラ分野でのこれまでの取組みで蓄積した技術・知見を活かし、ステークホルダーと協調して、現行の有人航空機・ドローン・空飛ぶクルマが調和・融合した「将来の航空」の早期実現に貢献するとし、空の移動革命に向けた近年の活動を紹介した。
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※ConOps(コノプス):運用概念(Concept of Operations)を目指し、システムの運用計画についての高レベルの概念書。