道路陥没被害軽減目指す技術研究開発 国交省、致命的道路陥没の抑止など3件採択

 国土交通省道路局によると、第55回「新道路技術会議」(委員長:那須清吾高知工科大学経済・マネジメント学群教授)に置いて、令和7年度から3年以内で道路陥没の被害軽減を目指す研究課題を審議し、深層空間に起因する致命的道路陥没抑止についての技術研究開発など、新たに3件を採択した。
 国土交通省では、平成16年10月より新道路技術会議を設置して、「学」の知恵、「産」の技術を幅広い範囲で融合し、道路政策の質向上に取り組んでおり、今回、令和7年度から取り組む技術研究開発の追加募集の結果、3件を採択したもので、実施内容の調整を行った上で技術開発を進めることになった。
 採択した研究テーマ名と応募時の提案概要は次の通りである。
 ◎深層空洞に起因する致命的道路陥没抑止についての技術研究開発(桑野玲子/東京大学):路面下空洞に起因する大陥没を抑止するため、深さ2m以深の空洞の探知技術を開発するとともに、検討対象地の深層空洞ポテンシャルを評価する。また、空洞ポテンシャルが高く潜在的な陥没危険が想定される箇所を対象に、万一陥没が避けられなくても前兆を認知しやすく、致命的崩落に至る前に対応可能となるような舗装構造を開発する。
 ◎道路陥没リスクを最小化する逐次更新型地盤監視統合プラットフォームの開発(徳永朋祥/東京大学):地下埋設物や地下構造物の老朽化などによる道路陥没リスクを最小化するため、空洞探査で課題となっている深度3mから数10mまでをカバーする複数の調査技術と地盤情報を統合解析し、モニタリング結果を参考に陥没リスクを逐次更新可能な「地盤監視統合プラットフォーム」を構築するものである。
 ◎路面下空洞による地盤のゆるみ域とその拡大過程評価法の開発(林宏一/京都大学):道路面下空洞によって生じる地盤のゆるみ域(空間分布)の拡大が道路の陥没や局所的沈下を引き起こす。同研究では、微動アレイ探査・DASによるリニア微動アレイ探査に基づく位相速度解析により、地盤のゆるみ域とその拡大過程を評価する手法を提案する。