未知で複雑環境対応のドローン開発へ、NEDO
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO、神奈川県川崎市、斎藤保理事長)は、経済安全保障主要技術育成プログラム(通称:K Program)の一環として、小型無人機(ドローン)の自律制御・分散制御技術における初期型の機体開発に着手する。
研究開発予算29億円、(株)ACSLが実施し2025年度から2027年度の2年間を予定。今回の小型無人機の自律制御・分散制御技術事業では、インフラ点検や災害・緊急時の状況把握、要救助者の捜索活動など未知数で複雑な環境にて、複数の小型無人機が連携して自律的に任務を遂行するソフトウェアを搭載した小型無人機の実現を目指す考えとしている。
世界的に科学技術・イノベーションが国家間の覇権争いの中核となっている中、日本が技術的優位性を高め、不可欠性を確保するためには、研究基盤を強化することはもちろんのこと、市場経済のメカニズムのみに委ねるのではなく、国が強力に重要技術の研究開発を進め、育成していく必要がある。
そこで、経済安全保障を強化し経済安全保障を強化・推進するため、内閣府や経済産業省、その他の関係府省が連携し、先端的な重要技術の研究開発から技術実証までを迅速かつ柔軟に推進するため、経済安全保障重要技術育成プログラムが創設された。
同プログラムでは、NEDOに造成された基金により、国が定める研究開発ビジョンや研究開発構想にもとずき、科学技術の多義性を踏まえ、民生用のみならず公的利用につながる研究開発とその成果の活用を推進する。
NEDOでは、経済安全保障の確保・強化の観点から、日本が支援対象とすべき重要技術の研究開発を進めることとしている同プログラムの一環として、小型無人機の自律制御・分散制御技術事業を実施している。
同事業は三つのフェーズで構成され、2024年度の第1フェーズでは以降のフェーズで実施する機体開発の開発項目を決定し、機体開発の方向性を定めるフィジビリスタディーを行った。これに続く第2フェーズでは初期型の機体開発を、第3フェーズでは自律制御・分散制御ソフトウェアなどの技術を搭載した小型無人機を用いて、設定したミッションを達成する実証実験を行う予定。
今回、第2フェーズとして、フィジビリティスタディーの結果を踏まえて設定された、平時及び大規模災害時など、有事における6つのカテゴリ(状況調査、点検、警備、捜索、測量、通信)のミッション全てを想定した初期型の機体開発を行う。
具体的には、第3フェーズの機体開発にて実運用可能な一定の技術レベルに到達すること、及び小型無人機へ搭載して実証実験を行うことを目的として、小型無人機本体に係る部品全般、搭載機器などを開発し、初期型小型無人機の単体試験・評価を行う。
未知で複雑な環境で複数の小型無人機が連携し自律的に任務を遂行できることによって、インフラ点検や緊急時の状況把握をはじめとする、幅広い用途で利用できるよう、高度な無人化・効率化を目指すとした。
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※経済安全保障重要技術育成プログラム:事業期間は2022年度~2031年度。
※国が定める研究開発ビジョンや研究開発構想:最新の資料は、内閣府ホームページ(経済安全保障重要技術育成プログラム)を参照。