2026年海保庁の取組みと決意語る 瀬口海保長官会見、118番イメージモデルに鈴木福さん

 海上保安庁は、尖閣諸島周辺など領土・領海警備、海上犯罪の取締りや、海難救助等の警備救難業務、海上交通の安全対策、航路標識の整備・運用の海上交通業務、海洋調査や水路測量等の海洋情報業務を遂行し、わが国の海の治安と安全を確保する一方、海外の海上保安機関と連係して、テロ・海賊対策等にも万全な態勢で臨んでいる。瀬口良夫海上保安庁長官=写真=は、2026年初の記者会見で、新たな「118番」イメージモデルに、お茶の間でお馴染みの鈴木福さんを起用し、「118番」の認知度向上等の広報活動に努めること、及び尖閣諸島周辺海域における海保の対応、令和7年度の海上犯罪取締り状況等を報告するとともに、新年を迎えての展望・抱負などへの質問に答え、当面の取組みと決意を語った。
 ◆2026年「118番」イメージモデル

 「118番」は、海上での事故や事件に、迅速・的確に対応するための海上保安庁緊急通報用電話番号。しかし、架電総件数の約99%は間違い電話やいたずら電話などで、有効に機能させるには、正しい利用方法や重要性をより多くの人に知ってもらう必要がある。 海上保安庁では、全国各地での周知啓発や118番イメージモデルに著名人を供するなど、118番の認知度向上や適切な利用促進に努めてきたが、2026年の118番イメージモデルに、幼少期から様々なテレビ番組やドラマに出演し、日本全国のお茶の間でお馴染みの「鈴木福」さんを迎えることにした。
 今年は、幅広い世代から人気の「鈴木福」さんと一緒に「118番」を有効利用していただけるよう、SNSなどを通じて、これらに映している動画やポスターを積極的に発信するなど、認知度の向上や間違い電話などの防止に繫がる広報活動に努めていく。
 ◆日印長官級会合及び連携訓練の結果概要
 1月14日に、インド・ニューデリーにて「第22回日印海上保安機関長官会合」を行った。今回の会合では、インド沿岸警備隊のパラメシュ・シヴァマニ長官と直接会い、日印海上保安機関のトップ同士による対話の場を設けることができ、有意義な機会となった。
 インド太平洋地域の海洋秩序維持には、両当局間の連携・協力が重要であることを改めて確認するとともに、引き続き、連携強化で一致した。また、1月17日に同国のムンバイにおいて、日印海上保安機関職員による環境防災分野の連携訓練を実施し、危険・有害物質漏洩時の対応について、知識・技能を共有した。
 ◆尖閣諸島周辺海域における海上保安庁の対応
 海上保安庁では、常に尖閣諸島周辺海域に巡視船を配備して領海警備にあたり、中国海警船への対応では、相手勢力を上回る巡視船で対応するなど、万全の領海警備体制を確保している。そのような中、尖閣諸島周辺海域ではほぼ毎日、中国海警船の活動が確認され、昨年は接続水域内での年間確認日数が過去最多の357日になった。
 尖閣諸島周辺海域における情勢は、依然として予断を許さない厳しい状況にあるが、海上保安庁では、引き続き、わが国の領土・領海を断固として守り抜くという方針のもと、関係機関と緊密に連携し、冷静に、かつ毅然として対応を続け、領海警備に万全を期していく。
 ◆令和7年の海上犯罪取締り状況について
 令和7年における海上保安庁の送致件数は7722件・前年比342件増、送致人員4931人・前年比228人増。送致件数にあっては、4年連続で7000件を超える水準で推移し、過去5年間で最多。犯罪の傾向では、海事関係法令違反が最も多く全体の38%を占め、次いで漁業関係法令違反で37%を占めた。
 海事関係法令違反では、検査を受けていない船舶を航行させる無検査航行や定員超過など、漁業関係法令違反では、暴力団員が関与する組織的かつ大規模な密漁や海水浴客による個人消費目的の密漁などを送致している。
 特徴的な事例として、停泊中の台船に不法侵入し、換金目的で銅線を窃盗する事件や、中国人による日本漁船を使用したサンゴ密漁事件等があつた。また、密輸事犯では、薬物押収量が初めて2年連続で1トンを超えたほか、依然として海外犯罪組織の関与が疑われる薬物密輸事犯が発生している。
 ◆現下の状況を踏まえた、令和8年の展望・抱負等
 わが国周辺海域の情勢は依然として厳しい状況が続いており、特に尖閣諸島周辺海域において、昨年は接続水域内における中国海警船の年間確認日数が過去最多となったほか、同船舶による領海侵入が相次いで発生するなど予断を許さない状況にある。このような情勢を踏まえ、昨年12月には「海上保安能力強化に関する関係閣僚会議」が開催され、引き続き、海上保安能力強化の取組みを着実に進めていくことが確認された。
 令和8年度においても大型巡視船の増強等を進めるほか、防衛省・自衛隊等との連携強化にも取組む。海上保安能力を着実に強化していくためには「人的基盤の強化」が極めて重要。少子化や価値観の変化といった社会情勢に加え、海上保安庁特有の長期に亘る海上勤務といった極めて厳しい勤務環境等の影響による人材確保難や離職者の増加といった課題をしっかりと受け止め、優秀な人材の確保・育成のための対策を講じるとともに、全ての職員が士気高く、崇高な使命を全うできるよう、勤務環境の改善や処遇向上に取組む。 国際分野では、アジア海上保安機関長官級会合等の多国間連携やシーレーン沿岸国への能力向上支援、令和8年度に就役予定の国際業務対応・練習船の活用などを通じて、外国海上保安機関等との連携強化を深化させ、法の支配に基づく海洋秩序の維持・強化を更に推進し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて取組んでいく。
 また、海洋情報分野においては、わが国の海洋権益確保や船舶の航行安全のため、新型測量船や測量機器等を整備し、海洋調査を着実に推進する。加えて、国内関係機関とも連携し、海洋情報の収集から提供までをDX化する「海洋DX」を着実に進める。さらに、交通分野において、自然災害が激甚化・頻発化する中、航路標識の耐災害性強化対策を進めていくほか、昨年、国際航路標識機関(IALA)理事国に、わが国が選出されたところ、航路標識分野での国際的な取組みを主導的に推進していく。
 このほか、海上犯罪の捜査、海難救助、海上交通の安全確保、航海安全に必要な情報提供など、地域に根差した伝統的かつ普遍的な基幹業務についても、的確に実施していく。皆さんの期待に応えるべく、現場に立つ海上保安官や組織能力を高めることで「現場力の強化」を図る。創設以来、脈々と受け継がれる「正義仁愛」の精神を胸に、国民に信頼され愛される「力強い海上保安庁」であり続けられるよう、引き続き、全力を尽していく。