日本の街をVR化 1964 SHIBUYA VRプロジェクト始動

 過去の写真を基に、日本中の街をVR化するプロジェクトが、日本テレビの名物プロデューサーとしても知られる土屋敏男氏が代表理事を務める、「一般社団法人1964TOKYO VR」によって始動する。 プロジェクトの第一弾となる「1964 SHIBUYA VR」プロジェクトは、東京オリンピックが開催された1964年当時の渋谷界隈の街並みを再現するというもので、1950年代から70年代の写真を収集し、同一地点の複数別視点画像を複数枚使用し、三次元画像へと変換するフォトグラメトリー技術を用いてVR化する。渋谷を選んだ理由として土屋氏は「渋谷は昔からパワーの集まる土地で、世界でも有数の情報発信拠点。またオリンピックもあり100年に1度とも言われる大規模開発が進んでいることも大きな理由になった」と語っている。 渋谷を拠点に大規模開発を進める東急グループに、渋谷区、読売新聞などが協力しており、既にそれぞれ数百枚の写真を提供、さらに渋谷区で行われる「区民のひろば ふるさと渋谷フェスティバル2017」でプロジェクトの紹介とともに写真提供を呼びかけ、その場で提供してもらう写真をスキャンできるブースを設けるなどして、今後もHPなどで写真の公募を続けていくという。画像が多ければ多いほどより高精彩なVRマッピングが可能となるため「押入れに眠っている写真があればぜひとも使わせてもらいたい」と理事を務める齋藤精一氏も協力を呼びかけた。VR化にはデジタルハリウッド大学やバンタンゲームアカデミーの高校生・大学生がテックサポーターとして参加。今後もボランティアの募集を進めていく。 記者発表会には、東急電鉄社長の野本弘文氏と渋谷区長の長谷部健氏が登壇。野本氏は「90年前に渋谷駅ができてから、ずっと渋谷とともに成長してきた。舞台づくりは得意だが、演じるコンテンツ作りは得意ではなかった。その舞台で演じるコンテンツを土屋さんに協力いただいて素晴らしいものをつくっていきたい。大変楽しみにしています」、長谷部氏は「最初に土屋さんからお話を伺ったとき、どんな電波少年的なことを頼まれるんだろうと内心ビビッていましたが(笑)、話を聞くと、素晴らしいと思いすぐに協力させていただいきました。区の大きな財産となり、昔の記憶も残せる。大勢の皆さんと協力して成功してもらいたい」とエールを送っている。 また、プロジェクトの活動資金収集のため、企業・個人から協賛金を募っており、特別賛助会員の第一号となった〝欽ちゃん〟こと萩本欽一氏が登場。「実は、1964年当時は渋谷に住んでいて、渋谷の高速道路が出来上がるちょっと前に浅草に引っ越した。修行から戻ってきてコント55号を結成するきっかけになったのも渋谷だった。これが大きくなればいいものに投資したと思う。今後は江戸時代の浅草なんかも見てみたいね」と期待を露にしている。 今後はなるべく早い時期での公開を目指すとともに、新宿などの東京都内のVR化を2020年までに目指すほか、千葉県や神奈川県といった関東地方のVR化も視野に入れている。展開としては教育目的や映像素材、土地開発の過程を知る歴史的な資料としての活用が考えられるとし、土屋氏は「色々なアイデアをもらいながらオープンに展開していきたい」と語っている。