ネットワーク音楽ストリーミングを新たな次元へ:ティアック、高音質ネットワーク・トランスポート「NT-507T」

ティアックはこのほど、ネットワーク・トランスポート「NT-507T」を12月20日から発売すると発表した。メーカー希望小売価格は29万7000円(税込)。Reference500シリーズに加わるこの新モデルは、既存のUSB DACと組み合わせることで、ネットワーク音楽ストリーミングの品質を飛躍的に向上させ、NASのハイレゾ音源や音楽ストリーミングを最高音質で楽しむことを可能にする。

 

「ネットワーク・トランスポート」とは、ネットワーク上のデジタル音源(ストリーミングやNAS内のファイル)を受信し、それらを高品位なデジタル信号のまま、外部のD/Aコンバーター(DAC)へ送り出すことに特化した機器。「NT-507T」では、この役割を徹底しており、USBデジタル出力に特化している。例えば、ディスクリートDAC「TRDD5」を搭載した「UD-507」など、ユーザーが所有するUSB DACと接続することを前提に設計されている。これにより、音源の読み込みやネットワークノイズの処理、そして純粋なデジタル信号の出力までを「NT-507T」が担い、音質の要となるD/A変換処理を接続先の高性能DACに任せることで、システム全体としての音楽再生クオリティを極限まで高めることを目指す。

 

徹底した高音質設計:G4エンジンとリニア電源

 

「NT-507T」は、ティアックならではの徹底した高音質へのこだわりを随所に凝縮した。中核を担うのは、先進の「TEAC Network Engine G4」。このエンジンは音質を最優先した設計が施されており、アナログ再生を彷彿とさせる、ダイナミックかつ滑らかな音質を誇る。音質劣化の原因となるノイズ源を排除するため、ノイズ源となるスイッチング素子を使用しない大型リニア電源を搭載。さらに、4系統(ネットワーク、USB出力、Wi-Fi、LED表示用)に対して巻線を独立させたトロイダル電源トランスを採用している。

 

また、瑞々しい表現力と開放感を生むディスクリート構成の「ローフィードバック・DCパワーレギュレーター」を搭載。DACとの接続に使用される高音質USB端子は電源部を独立させており、音質にさらなる磨きをかけている。デジタル出力は高音質なUSB Type-Aオーディオ出力端子を1系統装備し、DSD 22.5MHz、PCM 768kHz/32bitという非常に高いサンプリング周波数に対応する。

 

柔軟なネットワーク接続と利便性の向上

 

「NT-507T」は、現代の多様なネットワーク環境に柔軟に対応。通常のRJ45接続のほか、音質に有利なSFP光ネットワーク接続に対応。さらに、Wi-Fi 6 高速無線 LAN 接続もサポートしており、有線 LAN との切り替えが可能だ。操作性においては、①OpenHome規格に準拠し、スマートフォンやタブレット用のアプリ「TEAC HR Streamer」などを使用してストレスなく操作可能②Qobuz、Spotify、Tidal、TuneInなど、様々な高音質配信サービスに対応③Roon Readyに対応し、さらに高音質な再生を実現する「Roon Only モード」も装備④USB ボリュームコントロール機能により、アプリ上からNT-507T経由で対応するUSB DAC/プリアンプの音量を調整することが可能⑤本体にはUSB端子を2系統備えており(Type-A x1、Type-C x1)、大容量USBストレージを接続することで、簡易ミュージックサーバー(NAS)としての使用が可能、などの特徴がある。

 

対応ファイルフォーマットは、FLAC、WAV、MQA、DSF、DSDIFFなど。筐体設計も音質に貢献しており、制振性を高めた肉厚のアルミ製トップパネル(2.8mm)や、音場を開放するセミフローティング構造、優れた定位感と自然な響きを両立するStress-Less Footを採用している。