「JPPA AWARDS 2020」受賞作品発表② 映像処理技術の精度を高く評価

 一般社団法人日本ポストプロダクション協会(JPPA、東京都新宿区、三上信一会長)は5月29日、「JPPA AWARDS 2020」の受賞作品を発表した。当初は同日に贈賞式を開催する予定だったが、新型コロナウイルス感染防止の観点から、開催を中止したもの。 贈賞式に代わるものとして特別誌【JPPA AWARDS 2020 Report(仮称)】を発刊し、広く業界関係者に配布する。例年贈賞式で披露している「作品紹介」「審査員総評」「受賞者の言葉」「受賞者写真」等を掲載し、6月末日発刊の予定(無料配布)。 今回は審査員講評と学生の部の受賞作品を紹介する。 「JPPA AWARDS」は、日本ポストプロダクション協会の設立を記念し、ポストプロダクションの発展と技術の向上を願い1997年に始められたコンクールで今回で24回目を迎えた。テレビ番組、コマーシャル等における映像技術や音響技術にスポットを当て、優秀な技術と功績に対し栄誉を与えると共に、同協会の行う諸事業を通じて、未来を担う学生の創作にも目を向け、人材育成や産業振興に寄与することを目的としている。 今年の経済産業大臣賞はドラマ/映画「ごん/GON, THE LITTLE FOX」太陽企画 二階堂正美氏/波多野純氏が受賞した。審査員講評「児童文学の名作として知られる『ごんぎつね』に新たな解釈を加えたストップモーション・アニメーション。撮影に10ヶ月/編集に10ヶ月かけ、『人形たちに命を吹き込む気持ちで作業をした』という担当者の報告にも納得ができる。日本の美しい自然における人間と動物との葛藤、それらを描き出した画に対する映像処理技術の精度は、本作品の世界観の構築に大いなる貢献をしている」。 グランプリの映像技術部門は、ドラマ/映画「ゲキ×シネ『修羅天魔~髑髏城の七人 Season極』」IMAGICA Lab. 木村祥明氏/中野裕介氏。審査員講評「一見しただけでも、画角調整、スタビライズ、フリッカー除去、蓄光テープ、見切れスタッフの除去、マルチカメラの統一したトーン調整など、お客さまが本編に集中できるようにするための膨大な作業量を察することができる。そしてそれらを全く感じさせず、3時間におよぶ長尺を見事に完成させている。目新しさが全盛の作品仕上げの中で、ポスプロ技術の根幹は、基本的な技術をしっかり作業し視聴上それを感じさせないことであると再認識させられた素晴らしい作品だった」。 音響技術部門のグランプリは広告「ALBION スキコン45周年スペシャルムービー『ずっとそばにいます』」ソニーPCL 長谷川有里氏/阿部大輔氏。審査員講評「web広告17分の大作。ファーストカットの街並みから部屋の中に入ってくる状況音の付け方から、この作品は良いのだろうと感じさせてくれた。過度になりすぎず、それでいて丁寧なフォーリーとミックスは作品の世界観を損なわないサウンドデザインが見てとれた。ダイナミックレンジをふんだんに活かしたのもラストの音楽の盛り上げ方に大いに寄与している」。◇ 学生の部の受賞作品は以下の通り。【映像技術部門】の▽ドラマ/映画:最優秀賞「サボテンカ」(日本大学芸術学部 大野夏氏/森山舞子氏)、優秀賞「ロング・ロング・ラン」(日本大学芸術学部 小野間樹氏/亀平菜緒氏)、優秀賞「バクーシャ!」(日本映画大学 小田高裕氏/服部若菜氏/田中太一氏)。▽ドキュメンタリー/その他:最優秀賞「SPRINGDAY~春が来たら~」(日本工学院専門学校 イ・サンウン氏)、優秀賞「もしものときの地球滅亡時訓練 1週間調味料生活編」(専門学校東京ビジュアルアーツ 遠藤雅也氏/山田直輝氏/堀口健人氏)。▽CG/アニメーション:優秀賞「Happy Birthday」(日本工学院専門学校 王悦サン氏/栗沢共生氏。【音響技術部門】▽ドラマ/映画:最優秀賞「ロング・ロング・ラン」(日本大学芸術学部 長谷川ゆい氏/亀平菜緒氏、優秀賞「バクーシャ!」(日本映画大学 市川伶氏/平知起氏/鈴木規弘氏)。▽CG/アニメーション:優秀賞「Little glow」(名古屋学芸大学 坂野上敬氏)。 審査員奨励賞は映像技術部門が「獰猛」(東京藝術大学大学院 魏瑤瑤氏)、音響技術部門が「獰猛」(東京藝術大学大学院 渡邊大貴氏/中林俊也氏/三浦良明氏)および、「Music Days♪」(日本工学院専門学校 高橋陵太朗氏/池田光氏/真鍋楓氏)。