「日本賞」 55年の歴史で初のオンライン開催

 日本賞は、1965年に第1回が開催されたが、その前年に開かれた「世界学校放送会議」の最終日に当時のNHK会長の阿部真之助氏が、「放送番組の質的向上を目的とした各種の国際コンクールの多くは、芸術・芸能の分野に属するものであり、学校放送をはじめとした教育・教養では必ずしも十分でない」として、日本における放送開始40周年を記念し「教育番組の国際コンクールを創設、その優秀作にNHKから『日本賞』を贈ることにしたい」と提唱し、その翌年から始まった。 今年は55の国と地域から282のエントリーがあった。日本賞はコンテンツ部門と企画部門に分かれ、さらにコンテンツ部門は、対象の年齢によって分けた4つのカテゴリー【▽①幼児向け(0~6歳)▽②児童向け(6~12歳)▽③青少年向け(12~18歳)▽④一般向け(18歳以上)】と、デジタルメディアを活用し、新たな学びの可能性を切り拓くコンテンツを選出する対象年齢不問のクリエイティブ・フロンティアの5つのカテゴリーに分けて、一次審査が行われた。また、企画部門も一次審査が行われ、一次審査の通過作品おコンテンツ作品・5部門(エントリー数:252)から一次審査通過作品は53作品。一方、企画部門(エントリー数:30)から一次審査通過作品は5作品が決定した。各一次審査通過作品については後日詳報する。 日本賞事務局長の田中瑞人氏は「新型コロナウイルスの脅威と、いま世界中が闘っています。この状況の中で日本賞に何ができるのか、私たちは世界各地の教育コンテンツ制作者とともに考えてきました。その過程で、今だからこそ日本賞を開催し、世界の教育で何が起きているかを知らせなければならないと確信するに至りました。 今年の日本賞は、55年の歴史で初めてのオンライン開催となります。例年東京に集まっていた審査委員には、それぞれの国からオンラインで審査していただきます。最終審査に進んだ作品をオンラインでご覧いただけるシステムも、試験的に公開します。そして、授賞式もオンラインで実施します。あわせて、原宿のホールを使った公開イベントも実施し、海外の制作者と会場を結んでオンラインで議論する場も用意します。 今年の日本賞を通じて伝えたいことは二つです。一つ目は、このコロナ禍の中で世界の教育メディアが何に取り組んでいるか、その中でどんな新しいコンテンツが生まれたか。二つ目は、Black Lives Matter に象徴される多様性尊重の動きが、教育コンテンツを大きく変えようとしていること。 世界の教育メディアは、この困難な状況の中でも歩みを止めることなく、前に進もうとしています。日本賞2020で、その熱意と勇気をみなさんに知っていただき、次の時代を切り拓く知恵として共有していきたいと思います。教育と教育メディアに関心を持つすべての方々のご参加を、心からお待ちしています」とコメントしている。 また、期間中、様々なイベントも用意されている。主なイベントは以下の通り。 【11月1日~4日】午後10時~ZOOMウェビナー●制作者に聞く~Meet the Finalists~:それぞれの部門の一次審査通過作品の制作者に作品について話を聞く(同時通訳あり)(要・事前申し込み)▽11月1日(日)幼児向け部門▽11月2日(月)児童向け部門▽11月3日(火)青少年部門、11月4日(水)一般向け部門。 【11月2日】午後お10時~ 会場:WITH HARAJUKU HALL(東京・渋谷)●キーノートセッション「コロナと世界の教育メディア」:コロナ禍の中、世界のメディアはどんなJコンテンツを作り、どんな葛藤や工夫があったか。最前線で活躍する方々が「学び」の新たな可能性について議論する。Zoomウェビナーでオンライン参加も可能。(要・事前申し込み) 【11月3日】午前10時30分~午後0時 会場:WITH HARAJUKU HALL(東京・渋谷)●セッション「多様性を考える」:世界の教育コンテンツは、子供たちに「多様性」をどのように伝えているのか。エントリー作品に描かれた様々な「多様性」をテーマに、海外の制作者と結び、教育コンテンツの未来にどんな貢献ができるかを探る。Zoomウェビナーでオンライン参加も可能。(要・事前申し込み) 【11月2日~4日】WITH HARAJUKU HALL(東京・渋谷)●ファイナリスト作品上映:幼児向け~一般向け部門の一次審査通過作品と「人種」「障害」「LGBTQ」など多様性をテーマにした作品上映会を行う。(字幕あり)(要・事前申し込み) 【11月5日】夜(時間未定)●オンライン授賞式:各賞とグランプリの発表を行う。授賞式の模様はFacebookでライブ配信する。▽司会:ハリー杉山ほか。 なお、10月29日~11月12日の2週間、一次審査通過作品を視聴できるサービスを試験的に行う(英語版)。視聴には、日本賞ホームページでの登録が必要。