NHK技研公開 「Webベース放送メディア」

NHK放送技術研究所(技研)は、技研の最新の研究開発成果を一般に公開する「技研公開2023」を、6月1日~4日までNHK放送技術研究所(東京都世田谷区砧)で開催した。今回のテーマは「メディアを支え、未来を創る」で、技研が目指す「Future Vision 2030―2040」の3つの重点分野から、原稿の放送サービスを支え、未来のメディアを創るための研究成果、14項目を展示した。今回はユニバーサルサービスのうち、主にWebベース放送メディアに関する展示をレポートする。 「視聴アプリケーション技術」は、全ての視聴者にコンテンツを届けるための放送通信融合技術。コンテンツの配信状況データを利用して、デバイスや受信環境に合った取得先を自動で決定する「コンテンツ発見技術」を開発した。現在は、放送波だけでなく同時配信やオンデマンドなど様々な方法でコンテンツ(番組)が提供されている。一方、視聴者も様々な状況(場所・時間)およびデバイスでコンテンツを視聴している。このため、同じもコンテンツでも状況によって見方はばらばらとなる。 コンテンツ発見技術を搭載したコンテンツ発見サーバにコンテンツ発見メタデータを登録する。コンテンツ発見メタデータには詳細情報(タイトル、シリーズ、ジャンル、出演者)および提供情報(放送チャンネル、放送地域、配信URL、配信時間、放送時刻)が含まれている。このため、視聴アプリケーションがコンテンツ発見メタデータをもとに状況に合った取得方法を自動決定する。技研公開では技研が開発したプロトタイプアプリを公開。モニタに表示させたほか、PCでのアプリ動作も展示した。 Webベース放送メディアは、現在のインターネット環境からIoTやデータ処理などのさまざまな技術が高度化した将来の世界までを幅広く視野に入れた技術コンセプトです。基本的機能から段階的に社会実装されることを想定し、まずは初期段階の検証を放送事業者やメーカーなどと連携して進めていく。なお、コンテンツ発見サーバは、IPTVフォーラムで標準化に向けた共同技術検証を進めている。 「コンテンツとデータの連携・処理技術」は、放送局のコンテンツに関する番組内容や信頼性に関する情報、コンテンツに関わるさまざまな知識(ナレッジ)、ユーザーのパーソナルデータをソフトウェアが解釈できる形で記述することで、放送局内外のデータ連携を容易にし、ユーザーにとって安心で役立つコンテンツを提供する技術。技研では将来の生活環境(スマートハウスやスマートシティ)において、ユーザーのコンテキストに応じて適切なコンテンツと提示デバイスを選択して提示する技術の開発を行っており、今回、パーソナルデータストア(PDS)と行動認識技術を活用してユーザーの生活行動にあわせた提示をするための機能校正を設計し、システムを試作展示した。(全文は6月9日付け3面に掲載)