NHK、放送センター建替えを改定~完成は2043年に

 NHK経営委員会は、NHK放送センター(東京・渋谷)建て替えの基本計画の改定を議決した。資材価格や人件費の高騰によるもので、完成は当初計画の7年遅れの2043年度になる。
 建替工事を終了するまでには長い期間がかかるが、その期間を好機ととらえ、新放送センターで実現を目指す業務改革や次世代の働き方に向けて着実に歩みを進めていくという。
 改定のポイントは次の5つ。▽延べ床面積は約13万㎡(当初想定から約3割減)▽建替え手順は東館から解体し、跡地に第Ⅱ期棟を建設▽当初計画の2棟(制作事務棟・公開棟)を第Ⅱ期棟に集約▽第Ⅱ期棟の運用開始は2038年度▽川口施設(仮称)を機能分散の重要な拠点として活用。


見直し前後の比較


全体完成後のイメージ

 建設費は当初計画と同額の1100億円。資材価格や人件費の高騰があるものの、新しいワークフローや技術革新の導入をはじめ、各種改革により必要機能を確保したうえで、当初面積を縮減し建設コストの上昇に対応した。財源は建設積立資産などを使用する。なお、建設費は建物費、設計・監理料、電源など設備費を想定しており、放送設備費や解体費などは含まれていない。
 今後の想定スケジュールは2025年度基本計画改定、基本設計業者決定、34年度 第Ⅱ期棟着工、37年度 第Ⅱ期棟竣工、38年度 第Ⅱ期運用開始、既存建物(西・北・本館想定)解体着手、43年度 正面玄関・コンコース・駐車場など竣工 全体運用開始、となる。
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 また、川口施設(仮称)の基本計画も変更した。大河ドラマ・連続テレビ小説をはじめとするNHKのドラマ制作の拠点とするべく、コンテンツ制作に必要な機能を整備する。
 基本計画からの主な変更点は、西棟に大型スタジオ(約1000㎡)1室を整備する。これにより川口施設(仮称)は現在建設中の東棟(ドラマスタジオ3室、汎用スタジオ1室)と併せて5室のスタジオを持つ。このリソースを一体運用・管理をしていく。また、バーチャルプロダクション(VP)など最新技術を活用するラボ機能を整備する。東棟は2028年度、西棟は30年度に運用を開始する。
 西棟の敷地面積は約1万1000㎡、延床面積は約1万㎡。階数は地上4階。建設費は約120億円(電源など設備、設計・監理料含む)を見込んでいる。


西棟施設概要