民放連 「民間放送ガバナンス指針」制定 各社 毎年1回運用状況を公表

一般社団法人日本民間放送連盟(民放連、東京都千代田区、会長=早河洋・テレビ朝日会長)は9月18日、民放連地下ホールで定例会見を開き、民放事業者のガバナンス(企業統治)強化に関する検討状況と指針案を説明した。

 

会見で早河会長は「ガバナンス強化は各社がそれぞれ取り組むものであり、実際に個社の経営判断で適切に進められている。しかし、フジテレビでの一連の事案を契機に民間放送全体のガバナンスのあり方が疑問視されている。実際にCM出稿の停止や総務省が検討会を設置するなど、民放経営の根幹に関わる動きが起き、業界としての取り組みが求められている。社会からの疑念を払拭し、民間放送が信頼できる情報の発信主体としてあり続けるためには、必要な強化策を自ら講じる必要があると判断し、基本的な考え方を整理した」と述べ、同日開催された理事会で「民間放送ガバナンス指針」(仮称、案)」が承認されたことを発表した。

 

同指針では、「公共性の発揮」「人権尊重の徹底」「法令や社会規範の順守」「透明性の向上」「適切な経営体制の確立」を基本原則としている。具体的には、民放連の会員社は指針の適用状況を自主的に点検し、毎年1回公表する。公表する事項や方法は各社が自主的に決定するが、基本原則の「透明性の向上」に基づき、民放連がフォーマットを作成し、各社はそれに基づいて情報の開示を行う。一方、民放連は公表に関して、会員社からの問い合わせに応じるなどのサポートを行う。

 

さらに、ガバナンス向上に関わる活動を実施することを明確にするため、定款を変更するほか、外部の専門家を議長とする審議会を設置し、民放各社の支援や重大な不祥事が起きた際に助言を行う。

 

民放連の堀木卓也専務理事は「9月中に行われる総務省の『放送事業者におけるガバナンス確保に関する検討会』で説明する予定だが、同検討会の構成員などから意見が出ることも考えられる。本日の理事会では〝案〟として承認いただいたので、様々な意見を参考にしながら、さらにブラッシュアップしていきたい」と述べた。

 

NHK・民放各社の中継局事業は頓挫

 

NHKと民放各社が中継局を共同で利用する取り組みについて、記者からの「NHKから現在検討しているスキームを撤回する旨の申し入れがあったとされている。民放側の受け止めを聞きたい」という質問に対して早河会長は「現時点では推移を見守るとしか言えない。NHKの稲葉会長は17日の会見で、事業の枠組みの見直しを検討しており、現行の計画では採算が取れないので、代替案を検討し、民放側と協議したい、という意向を示したと聞いている。NHKと民放が一緒に数年かけて積み上げてきた計画なので、民放側としては突然の通告に失望しており、NHKに説明を求めている状況だ。現時点で代替案に関する説明は受けていない」と答えた。

 

さらに、複数の民放局がBS4Kからの撤退を考えていると発表した件については「BS放送の将来的な経営を考えると支出削減を検討する必要がある。費用や設備投資の面からも、このままBS4Kの事業を継続することはしんどいという声があることは承知している」と述べた。