第77回 日本放送協会放送文化賞
放送文化の発展や向上に功績のあった人に贈られる「日本放送協会放送文化賞」の第77回(2025年度)受賞者がこのほど決定した。77回目を迎える今年の受賞者は、相澤清晴氏、桂 文珍氏、里見浩太朗氏、玉木幸則氏、野沢雅子氏、松任谷由実氏の合計6組。放送記念日記念式典(3月13日)に贈呈式が行なわれた。
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「日本放送協会放送文化賞」は、放送開始25周年にあたる昭和24年度に創設したもので、放送事業の発展に寄与し、放送文化の向上に貢献があった方々に、毎年贈呈している。これまでの受賞者は今回の受賞者(6組)も含め506組となる。受賞者の選考は、NHK副会長が委員長を務め、池端俊策氏(脚本家)、伊東晋氏(東京理科大学名誉教授)、増田明美氏(スポーツジャーナリスト)、大日向雅美氏(恵泉女学園大学学長)、鳥飼玖美子氏(立教大学名誉教授)、毛利衛氏(宇宙飛行士・日本科学未来館名誉館長)と、NHKの理事5人を委員とする選考委員会で行われ、これを受けて会長が決定した。 受賞者には佐藤忠良氏作のブロンズ像「ふたば」と副賞が贈呈された。
受賞者の功績は以下の通り。
【相澤 清晴(あいざわ きよはる)氏】《東京大学名誉教授》:長年にわたりカメラのイメージセンサーや映像データの圧縮など、放送技術の幅広い分野で研究開発に取り組んできた。実世界を3次元グラフィックとして取り込む「ボリュメトリックビデオ技術」の礎を築き、この技術はドラマの撮影でも用いられたほか、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)への応用も期待されている。また、NHK放送技術審議会・放送技術研究委員会の委員長を歴任するなど、放送技術の発展に大きく貢献している。
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【桂 文珍(かつら ぶんちん)氏】《落語家》:上方落語界を代表する落語家として半世紀以上にわたり第一線で活躍し、古典から創作まで幅広い演目で多くの視聴者に笑いを届けてきた。上方落語の魅力を広く国内外へ発信しているほか、卓越した話芸と進行力で演芸番組に限らず、各種情報番組や教養番組への出演を重ねるとともに、連続テレビ小説「風のハルカ」をはじめ数多くのテレビドラマにも出演するなど、幅広いジャンルで放送文化の振興に貢献している。
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【里見 浩太朗(さとみ こうたろう)氏】《俳優、歌手》:1956年に芸能界入りして以降、時代劇を中心に数多くの作品に出演し、時代劇トップスタ―としての地位を確立。2025年に芸歴70年を迎えた。民放の人気作品で長年にわたって主演を務めたほか、NHKでは、5本の大河ドラマに出演し、2025 年の「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」でも大きな存在感を示した。また、歌手としても活動するなど、多方面で放送文化の発展に貢献。いまなお「ミスター時代劇」として多くの視聴者の支持を得ている。
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【玉木 幸則氏(たまき ゆきのり)氏】《(一社)兵庫県相談支援ネットワーク代表理事ほか》:障害者相談支援の第一人者として活躍するかたわら、2009年から E テレ「きらっといきる」、「バリバラ」にコメンテーターとしてレギュラー出演。自らの経験や知見を踏まえた平易で的確なコメントとユーモアあふれる語り口で人気を博し、世代や障害の有無を超えて支持された。メディアと福祉をつなぎ、誰もが「ありのまま」で生きられる社会を目指す姿勢は、多くの視聴者に勇気と気づきを与えるとともに、放送文化の発展に大きく寄与している。
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【野沢 雅子氏(のざわ まさこ)氏】《声優》:日本初の本格的連続テレビアニメ「鉄腕アトム」から活動を重ね、以降数々の作品で主要キャラクターに命を吹き込み、日本のアニメ文化の礎を築いてきた。NHK では1996年に始まった E テレの人形劇「ざわざわ森のがんこちゃん」で主人公の友達・ケロちゃん役として30年にわたり出演しているほか、科学番組やラジオ番組への出演や語りなど幅広いジャンルで活躍。その類いまれな表現力で放送文化の普及と質の向上に貢献し続けている。
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【松任谷 由実(まつとうや ゆみ)氏】《シンガーソングライター》:デビュー以来、時代を超えて愛される名曲を数多く発表し、日本の音楽シーンをけん引してきた。
連続テレビ小説「春よ、来い」をはじめ、数々のドラマの主題歌を担当してきたほか、ドラマやドキュメンタリー番組への楽曲提供や語りを担当。その表現は視聴者の心に深く響き、番組の世界観を豊かに彩ってきた。さらに、音楽番組ではAI技術を取り入れたパフォーマンスに挑戦するなど、多岐にわたる形で日本のポップミュージックと放送文化の発展に寄与している。
この記事を書いた記者
- 放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。
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