
ブラックマジックデザイン、三池監督の最新作に採用
ブラックマジックデザインは、三池崇史監督の最新作である「BLUE FIGHT 〜蒼き若者たちのブレイキングダウン〜」(以下 BLUE FIGHT)のグレーディングに、DaVinci Resolve Studioが使用されたと発表した。グレーディングはIMAGICAエンタテインメントメディアサービスの山下哲司氏がDaVinci Resolve Advanced Panel を使用して行った。
朝倉未来氏がエグゼクティブプロデューサーを務める「BLUE FIGHT」は少年院で知り合い、親友になった2人の少年が、ブレイキングダウンのリングを目指す青春映画。ブレイキングダウンは1分間で最強を決める、というコンセプトのアマチュア総合格闘技大会。2021年に格闘家であり、同作のエグゼクティブプロデューサーでもある朝倉氏が発案したこの格闘技イベントは、毎年ファンを増やしており、ブレイキングダウンの関連動画の総再生回数は毎大会3億回を超える。
メガホンを取ったのは、「クローズZERO」シリーズでも不良少年たちの闘争を描き、バイオレンスの表現に定評のある三池崇史監督。オーディションで2000人の中から選ばれた新人の木下暖日と吉澤要人が主演を務めた。
「三池監督とは『土竜の唄』のパート1を担当したのが最初の作品で、『BLUE FIGHT』のカメラマンの北信康さんともこの映画で初めてご一緒しました。三池監督の長編映画としては今回が12本目となります」と山下氏は話す。
アクション映画から時代劇、ホラー、ファンタジー作品とさまざまなジャンルの映画を手がけている三池監督。山下氏は今回の作品のルック(映像の印象)作りについてこう語る。「三池組はいつも撮影でルックが作られてくる印象です。北カメラマンはフィルム時代からご活躍されていますが、現場で黒を意識した光のコントロールがされているので、撮影素材の段階で映画らしい重厚感のあるコントラストがあるわけです。今作もそういった撮影段階の狙いをしっかり感じとって、その方向性を少しだけ後押しするのがカラリストとしての役割だったと思います。主役のふたりは映画初出演と感じさせない存在感がありましたので、彼らのかっこよさが引き立つような力強い作品に仕上げたいと思いました。
今回はフィルムルックにするという意図ではなかったのですが、画に深みを持たせてシーンの差別化をするために、グレインを載せて質感を操作しています。
北カメラマンからもフィルム撮影が土壌にある方ならではのアイデアをいただき、フィルムの増感減感を使い分けるようなイメージで、シーンごとに度合いを変えながら調子を整えていきました。また、試写会が劇場とオンラインどちらもあったので、スクリーンとモニター上どちらでも気持ちよく同じ印象で観られるように、スクリーンの部屋とモニターの部屋を行ったり来たりしてそれぞれに適した基準を探っていきました」。
同作は複数の編集バージョンがあったため、DaVinci Resolveのリモートグレード機能が役立ったという。「タイムラインは別々でも同じ撮影素材に対しては同じパラメータが当たってほしい、という状態だったので同一のクリップに対して同じ調整を行なうことができるリモートグレード機能を活用しました。そのほかにも簡単にシーン全体に対するパラメータ適用ができるRipple Value機能なども活用しました。Resolveのこういった機能は、特にカット数が多ければ多いほど作業効率向上につながるもので、新しい機能ではないですがいつも助けられています」と山下氏は語った。
トップ画像は山下哲司氏
この記事を書いた記者
- 放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。