
パナソニック、大阪・関西万博で世界最大級のリモートプロダクション~IOWN APNを活用し1万人の第九のライブ配信
パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション(大阪府守口市、豊嶋明CEO)のIT/IPプラットフォームKAIROS(ケイロス)は、2025年4月に行われた大阪・関西万博の開幕イベント「1万人の第九 EXPO2025」において、NTTの次世代ネットワーク技術「IOWN」を用いた世界最大級の規模のIPリモートプロダクションに活用された。
本イベントでは、夢洲の万博会場と毎日放送(MBS)本社のサブコントロールルームをIOWNで接続し、21台のカメラ映像と64チャンネルの音声信号をリアルタイムで伝送。KAIROSの高い運用性と安定性が、かつてない大規模なリモートプロダクションの成功に貢献しました。この成果は、KAIROSによる新たな映像制作の可能性を示すものであり、今後の万博や国際イベントにおけるユースケースとして、重要な技術的成果と位置づけている。本取り組みは、映像制作の新たな可能性を示す技術実証として、社内外での検証を経て、このたび正式に公表の運びとなった。
大阪・関西万博のウォータープラザおよび大屋根リングに集まった約1万人の人々が、ベートーヴェン交響曲第9番を歌い上げた「1万人の第九 EXPO2025」。主催・MBSで開催され、当日の様子はMBS公式YouTubeおよびTVerにてリアルタイム配信された。リハーサルから本番直前まで雨模様の悪天候だったが、本番直前に雨が止み、1万人の歌声がひとつになったこの壮大な大合唱は、万博で起きた“奇跡”と称され、国内外多くの人々の心に刻まれたという。
「1万人の第九 EXPO2025」を生配信するにあたり、現地に中継車を用意して番組制作を行うのではなく、万博会場である夢洲と、茶屋町にあるMBSの本社サブコントロールルームをIPでつなぎ遠隔での番組制作を実施しました。ネットワークにはNTT西日本の技術協力のもと「All―Photonics Connect powered by IOWN(IOWN)」が活用された。
IOWNを使ってカメラ21台分の映像と64chの音声信号を、約40km離れた本社サブコントロールルームへリアルタイムで伝送。番組制作にはIOWNとの親和性の高さと、リモートプロダクションにおける使いやすさが評価されIT/IPプラットフォームKAIROSが採用された。
毎日放送 総合技術局 制作技術センターの市川充史氏、田中聖二氏は、「かつてない規模のリモートプロダクションを実施するにあたり、スイッチャーとして最初に頭に浮かんだのがKAIROSでした。70 Gbpsに及ぶ映像トラフィックのスイッチングのみならず、マルチ画面出力やVEセレクト、収録系統のスイッチまでKAIROS基盤で行いました。ソフトウェアスイッチにより構成の変更が可能で、実際の運用現場では状況に応じた設定変更を行うことができました」とコメントしている。
映像入出力36入力/16出力でKAIROSを使用。音声信号は2chをKAIROSに取り込み、映像とミックスしてリアルタイム配信を実施した。
この記事を書いた記者
- 放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。