
ブラックマジックデザイン、アップサイドのワークフローを効率化~オフライン/オンライン編集でDaVinci Resolve使用
ブラックマジックデザインは、テレビドラマや映画の撮影・ポストプロダクションを手がける制作会社アップサイドが、ポストプロダクション業務においてDaVinci Resolve Studioを活用していると発表した。
同社では、2012年にDaVinci Resolve StudioとDaVinci Resolve Advanced Panelを導入し、主にグレーディング用途で使用していたが、近年は編集作業にも活用の幅を広げている。同社エディターの古俣裕之氏はこう話す。「DaVinci Resolveは私自身も編集時のカラーコレクションで使うこともあって、馴染みがありました。ある番組のオフライン編集で、車窓からの撮影素材がたくさんあり、使い所を探すときにDaVinci Resolveを使ってみたんです。素材を一本化してサーチできるソーステープ・モードは、すごく使いやすかったです。Fast Reviewボタンで、尺の長いクリップは速く、短いクリップはゆっくり再生されるところも便利でしたね。また、それまで使っていた編集ソフトウェアのキーボードショートカットをDaVinci Resolveでも使えるようカスタマイズできるので、これなら移行できるのでは、と感じて本格的に使い始めました」。
アップサイドでは複数の編集アプリケーションが導入されており、各エディターが使いたいツールを使えるようになっている。古俣氏はオフライン・オンライン両方の編集業務でDaVinci Resolveを活用している。
「別のアプリケーションを使うスタッフも、肌修正やスタビライザーが必要な時はDaVinci Resolveを使うケースが増えています。フェイス修正やMagic Maskが搭載されたことで、ビューティワークが格段に効率化されました。また、オフライン編集時に解像度を気にせず拡大してしまったショットがあるときは、スーパースケールを使って画質を保ったまま再調整できるので、重宝しています。
DaViオフライン編集時に、本来はオンラインで行うような作業も済ませてしまうこともよくあります。刑事物の2時間ドラマでは、曇り空を晴天にするスカイリプレイスメントやバレ消し、車を運転するシーンの車窓部分を合成処理しました。デルタキーの抜けの良さにびっくりしました。また、オーディオトラックが多すぎてタイムラインが煩雑になっても、オーディオを2チャンネルに固定して編集できるので、すごく助かります」。
また、最近は縦型ショートドラマや、ドラマ作品のPR用縦型動画の制作も増えており、DaVinci Resolveの利便性がさらに活かされているという。「ボタンひとつでタイムラインの解像度を縦型にできるので便利ですね。DaVinci Resolve 20になって縦動画専用のUIも搭載されたのでさらに便利です」。
最後に古俣氏はこう締めくくった。「弊社はグレーディングにもDaVinci Resolveを使っているので、オフライン編集が終わってDRTファイルを渡せば、グレーディングチームも煩雑なコンフォーム作業から解放されます。コンフォーム作業にはトラブルがつきものなので、それを避けられるという点でも大きなメリットですね」。
電波タイムズの取材に対し、「DaVinci Resolveを導入されると、合わせてキャプチャー系製品(DeckLinkやUltra Studioなど)や波形モニター(SmartViewシリーズ)そのほかコンバーター関係(Mini Converterシリーズ、Teranx シリーズ)製品を導入されるお客様が多いのでアップサイド様でもそう言った製品を合わせて導入していただいた可能性はございます。2012年の事例はないのですが、2018年の4k60P対応のスタジオに更新した際の導入事例の画像にはTeranex ExpressやMini Panel、Videohub SmartControlなどが写り込んでいます」(ブラックマジックデザイン)と答えた。
この記事を書いた記者
- 放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。