ヒビノ 「NTTパビリオン」の映像・音響システムを担当

 ヒビノ(東京都港区、日比野 晃久社長)は、NTT(東京都千代田区、島田 明社長)が大阪・関西万博に出展する「NTTパビリオン」の映像・音響システムの設計・レンタル・オペレーションを担当した。
 2025年4月13日の出展開始に先立ち、4月2日には、NTTの次世代情報通信基盤「IOWN」(アイオン)を活用してテクノポップユニットPerfumeのライブパフォーマンスを空間ごとリアルタイムに伝送する世界初の「リアルタイム3D空間伝送実験」が、夢洲のNTTパビリオンと吹田の万博記念公園(電気通信館跡地)特設ステージをつないで実施された。同社は、吹田側のステージを3Dで実写撮影する高解像度ステレオカメラシステムや伝送先の夢洲側に3D対応LEDディスプレイ・システム「Immersive LED System」及びサラウンドスピーカーシステムを提供し、伝送空間の臨場的な再現をサポートした。NTTのリアルタイム3次元点群データを鮮明な立体視として表出し、点群技術を分かりやすく伝えるとともに、「未来のコミュニケーションの可能性」を示す情緒的な体験として演出することで、実験の成功に貢献した。
 同社は世界屈指の豊富な最新鋭機材と専門性を備えた技術者を有している。Immersive LED Systemは、世界で同社グループのみがレンタル機材として提供が可能。従来の3Dと一線を画す立体技術に加え、現実の人やモノ、照明装置などと組み合わせられる画期性から、コンサートや展示会、アートプロジェクトなどで、新しい没入体験をつくりだすエンターテインメント演出として採用が広がっている。
 今回、NTTパビリオンでは、リアルタイム三次元点群データとステレオカメラのライブ映像が絡み合う新しい立体視が求められ、これまでにない空間表現を実現できる理想的な技術として採用が決定した。リアルタイム三次元点群データを、3D映像として表出するのは世界初の試みであり、また、Immersive LED Systemとステレオカメラシステムによる高解像度3Dライブビューイングも国内初の試みとして、成功した。
 Immersive LED Systemを活用した没入型ライブビューイングは、コンサートやスポーツのパブリックビューイングなどで、新しいエンターテインメント体験としての応用が期待される。
 「リアルタイム3D空間伝送実験」は、Perfumeがライブパフォーマンスを行う動的な空間を、次世代通信基盤IOWNを活用して、ほぼリアルタイムで遠隔地へ伝える世界初の伝送実験。吹田の万博記念公園(1970年の大阪万博「電気通信館」跡地)の特設ステージを囲むように、Perfumeのパフォーマンスを三次元点群データとして計測するNTTの点群センサー7セットに加えて3D映像として実写撮影する当社のステレオカメラシステム4セットを配置し、これらの視覚情報に音声や振動が合わさった空間全体の情報がリアルタイムに夢洲のNTTパビリオンへ伝送された。
 NTTパビリオンには、幅13・2メートル、高さ4・8メートルの3D対応LEDディスプレイ・システム「Immersive LED System」及びサラウンドスピーカーシステムを設置。
 Perfumeが吹田の特設ステージと夢洲の NTTパビリオン、さらにはバーチャルで再現する1970年の大阪万博会場を行き来する演出となっており、Immersive LED Systemには、視点を自在に変えられる三次元点群データ、4視点の3D実写映像、バーチャル空間の3DプリレンダリングCGというPerfumeの動きを届ける3種類の情報を交互に切り替えて表出した。異なる3つの映像が、等しく傑出した立体感と奥行き感を持ち、シームレスにつながった一つの世界として違和感なく楽しめるよう、各チームと連携し繊細な3D効果の調整も行った。
 技術実験の側面を持つ同プロジェクトは、短期間での設計・調整が必要とされたが、これまでXRステージやインカメラVFXで培ったバーチャル技術と3Dの知見、コンサート・イベントの現場で培った大型映像技術により、NTTが世界に誇る次世代技術の展示にふさわしい先進的な映像表現と高い安定性を兼ね備えた大型映像・音響システム及びオペレーションを提供した。