VPは伸びているがスクリーンプロセスが大部分~人材育成が共通の課題に

 「Virtual Production Boost 2025」実行委員会(ソニーグループ/角川大映スタジオ)は、ソニーPCL 本社オフィスにおいて、国内外の企業やクリエイターによるセミナーとワークショップを通じて、バーチャルプロダクションの最先端に触れるイベント「Virtual Production Boost 2025」を開催している。
LEDを活用したバーチャルプロダクション(VP)は、いまや映像制作の現場で広く活用されており、もはや一部の先進企業だけのものではない。この動きをさらに加速させるため「Virtual Production Boost 2025」を開催するもの。同イベントは、ソニーグループとKADOKAWAの資本業務提携後の新たな協業活動のスタートとして、業界の知見を共有し、新たな連携や創造の機会を生み出すことを目的としている。
初日の13日は、今年は日本国内のVPスタジオ動向を中心に、11月21日公開の劇場映画『TOKYOタクシー』(山田洋次監督/松竹配給)の制作舞台裏や、2026年2月開設予定「Digi-Cast HANEDA STUDIO」の最新情報など、多彩なセッションを実施した。
 小林壯右氏(角川大映スタジオ スタジオセンター担当取締役)は「VPスタジオ Overview」として10月30日にバーチャルプロダクションスタジオの運営をする企業が集い実施した「VPスタジオ座談会」を基に、国内のバーチャルプロダクションスタジオの現状を解説した。
まず、制作者の認知度が非常に高まってとし、バーチャルプロダクションをやったことある人間も増えてきている。ユーザー側のバーチャルプロダクション使用のハードルはある程度下がってきている。
 一方、実際に案件はどうなのかというと、案件自体は増加しているが、期待しているほどの増加率ではない。
番組制作の方は、レギュラー案件は増えており、レギュラーの生放送も増加している。
 方式は、インカメラVFX の案件はそこまで伸びていない。スクリーンプロセスの案件は増加している。ほとんどスクリーンプロセスの案件ですという会社も数多くあった。
また、人材育成が非常に課題だとする意見が多く、さらに職能の確立というところがなかなかできていないという意見もあったという。
 「VPスタジオ座談会」の詳細については、12月初旬を目途に公式サイトにアップする予定。

 小林壯右氏

 2日目の15日は、場所を角川大映スタジオ VIRTUAL PRODUCTION STUDIO シー・インフィニティ(東京都調布市多摩川 6-1-1)に移して、NHK 2025年度前期 連続テレビ小説「あんぱん」のバーチャルプロダクション撮影シーンを再現し、制作スタッフがリアル×バーチャルの融合の裏側を解説する。