パナソニック コネクト ケーブルテレビ業界の業務効率化に貢献するサービスを提供
実務に根ざした改善に積極的に取り組む
パナソニック コネクトでは、ケーブルテレビ事業者と共に安心・安全・便利な地域社会を実現するため様々な取り組みを行っている。また、映像や情報の「とる」「つくる」「うつす」「つなぐ」というワークフローを革新し続けることで、ケーブルテレビ事業者の事業推進や地域課題の解決を強力にサポートしている。
パナソニック コネクト 現場ソリューションカンパニー 映像メディアサービス本部 マネージングダイレクターの梶井孝洋氏に、2025年を振り返ってもらうとともに、2026年の戦略、新製品や新サービスの投入計画、次期STB、今後の抱負などについて聞いた。
――2025年を振り返ってどのような年でしたか
梶井 2025年を振り返りますと、ケーブルテレビ業界全体としては、4Kへのマイグレーションが昨年度から引き続き進展し、概ね順調に推移した一年だったと認識しています。
一方で、すべてのお客様が同じスピードで進んでいるわけではなく、まだ本格的に4K化へ踏み切れない事業者様が出始めているのも事実です。要因としては、投資判断の問題や、現時点では4K放送の視聴者ニーズを強く感じていないといった点が考えられ、市場としては二極化の兆しが見え始めた一年だったとも言えると思います。
その中で、ケーブルテレビ事業者様が「地域インフラ」として担う役割は、年々大きくなってきていると感じています。ケーブル技術ショーなどを見ても、その社会的役割への期待は明確であり、我々としても、その役割を技術面・サービス面でどう支えていけるかが重要なテーマになってきています。
当社としては、STBを中心とした事業推進を継続しつつ、2024年度後半から開始したクラウドサービスについて、2025年は初めて一年を通して本格的に提供できた年でした。
特に、STB現場サポートサービスとSTB番組レコメンドサービスの2つを重点施策として推進した一年であり、一定の手応えは得られたと考えています。
また、お客様から多くのご要望やフィードバックをいただいた一年でもあり、それらをどのようにサービスへ反映していくかが、次のステップとして明確になりました。2026年は、そうした声を具体的な形にしていく一年にしていきたいと考えています。
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――2025年に実施された取り組みやサービスについて教えてください
梶井 大きな取り組みとしては、先ほど申した通り、クラウドサービスの中でSTB現場サポートサービスとSTB番組レコメンドサービスの二つが中心になります。
STB本体については、新機種の投入はありませんでしたが、ソフトウェアアップデートを重ねながら、特にOTT対応を中心に、お客様のニーズに応える形で進化させてきた一年だったと考えています。
OTTサービスは、新規追加ではなく、既存OTTサービスのバージョンアップ対応が中心でした。OTTアプリを新しいバージョンに対応することで、ライブ配信への対応やコンテンツ拡充などが進んでいます。
OTTサービスの進化が非常に速いため、止まることはなく、基本的にはこちらが追随していく必要があります。ただ、配信事業者様側も利便性向上を目的に改良を重ねているため、結果としてSTBに対するユーザー満足度は全体的に向上しているのではないかと感じています。
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――STB現場サポートサービスの評判はいかがでしょうか。
梶井 評価としては概ね好意的だと受け止めています。これまでは電話だけで状況をやり取りしていたものが、電話で会話しながら同じ画面を見て確認できるようになったことで、サポートの確実性は大きく向上しました。
また、当初期待していたほど応対時間が短縮されないケースもあるようですが、そのようなケースでも、加入者様とのコミュニケーションが的確になり、結果として顧客満足度は確実に上がっているという評価をいただいています。
加えて、従来であれば「現地に行かないと対応できなかった」ような、些細なトラブル、例えば電源の再投入だけで解決するようなケース、についても、リモートで完結できるようになりました。
現時点の実績ベースでは、全体のコール数のうち2~3割程度が、本サービスを使って対応できており、想定より若干少ないものの、着実に効果は出てきていると考えています。
STB現場サポートサービスについては、主にお客様業務の省力化を目的として推進してきており、現時点で約8万台が実際に接続され、運用されています。
使っていただく中で、「こういうことがしたい」「こういう機能が欲しい」といった具体的な要望も多くいただいており、それらについては2026年に向けて改善していきたいと考えています。
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――STB番組レコメンドサービスの反応はいかがでしょうか。
梶井 STBのUI/UXが大きく変わるため、お使いになる方の感じ方に大きな差がある状況で、「ものすごく使いやすくなった」と感じる方と、「大きく変わったので慣れない」と感じる方の二極に分かれているようです。
ただし、これまで特定のチャンネルしか見ていなかった方が、レコメンドをきっかけに他のチャンネルを見るようになった、という事例も実際に出てきています。そういう意味では、加入者様の方が“気づいていなかった番組に触れる” という点では、確実に効果が出ていると感じています。
当社のレコメンドは、おすすめ番組がどんどん入れ替わるというよりも、少しずつ変化していく設計になっています。そのため、加入者様によっては「1週間使ってもおすすめ番組があまり変わらない」「もっと大胆に変えてほしい」という声もあります。
インターネットの世界では、検索した直後から関連広告が大量に出てくるような動きがありますが、そうした挙動は放送サービスには必ずしも適していないと考えています。特番など一時的な視聴に強く引きずられるのは正しくないとの考え方から、放送ならではの特性を意識した設計となっています。
STB番組レコメンドサービスは、多チャンネルへの接触機会が増えるという点で、一定の成果は出ていますが、現時点ではケーブルテレビ事業者様の直接的な収益向上には結びついていないというのが課題です。
多チャンネル放送の視聴機会を増やす効果とともに、収益アップにつながるような、もう一段の「ワンプッシュ」をどう設計できるかは、今後の大きなテーマです。
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――STBについてですが、2025年の販売台数はいかがでしたか。
梶井 STBの販売台数は、どうしてもマイグレーションの進捗に左右される部分があるので表現が難しいのですが、結論としてはほぼ当初の見込み通りでした。
2024年は、大手ケーブルテレビ事業者様が一気に入れ替えを進めるような、いわば特需的な動きがあり、数字としてはかなり良かった年でした。ただ、それを除いて見ると、2025年は例年並みの水準で、安定した推移だったと捉えています。
弊社のSTBは現在、エントリーモデル、ベーシックモデル、HDD搭載のDVRモデルの3機種構成ですが、約60%がエントリーモデルになります。
残り半分については、おおよそベーシック:DVR=4:6程度のイメージです。全体感としては、例年と大きく変わっていません。
エントリーモデルは非常に根強く、着実に台数を伸ばしています。マイグレーションを進める上でも、最も導入しやすい選択肢であることは間違いありません。その点は当社としても当初から想定していた通りで、大きくイメージから外れているということはありません。
また、ブルーレイディスク対応モデルも堅調に推移しており、ほぼ予定していた計画を達成予定です。
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――2026年に向けて、やってみたい取り組みやサービスについて教えてください
梶井 まずサービス面では、まだ開始から1年余りということもあり、STB現場サポートサービスの継続的な強化が最も大きなテーマです。
これまでお話ししてきた通り、多くの要望をいただいている中で、特に大きな課題になっているのが、インターネットに接続されていないSTBへの対応です。ネットワークにつながっていない端末も相当数あり、それが理由でSTB現場サポートサービスを導入できないという事業者様もいらっしゃいます。
そこで、STBのソフトウェアをアップデートし、ネットワークに接続されていない状態でも、接続されているSTBでコールセンター側が確認できるものと同じ画面を加入者様宅のテレビに表示させ、正確な情報が把握できる仕組みを提供できないか、という検討を進めています。
これが実現すれば、導入できる事業者様の幅が広がるのではないかと考えています。
STB番組レコメンドサービスには電子ガイド機能をご提案いたします。既にPCやスマホ向けに公開されているPDF資料を、そのままクラウドに登録するだけで、STB上で閲覧可能になります。例えば、事業者様が配布しているガイド誌や自治体の防災マップ、各種お知らせ資料といったものを、新たにコンテンツ制作することなく、そのまま活用できますので、印刷・配布にかかる経費を削減できます。
また、STB番組レコメンドサービスの画面からVODサービスを起動できるなど、より多用途にお使いただけるポータル画面としてご活用いただけるよう検討しています。
さらに、AIを活用したサービスとして「AI広告審査サポートサービス」を推進します。これはAIにより、代理店からの広告素材について、「視聴者に誤解を与えないか」「不適切な表現は無いか」といった観点で審査を行うサービスです。ショッピングチャンネルのような長尺のものも審査対象となるため、かなり業務負荷が高いとされており、AIを活用することで効率化、省力化いたします。地方局をはじめ、ケーブルテレビ事業者様にもご活用いただけるサービスだと考えております。

STB現場サポートサービスのオフライン状態表示

STB番組レコメンドサービスの電子ガイド機能
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――次期STBの計画は
梶井 現行STBのリリースから時間が経ち、次期モデルの検討を始める時期に入っています。
次期STBの基本的な考え方は、ケーブルSTBとして使えることを前提にしていますが、それだけにとどまらない汎用性の高い機種にする予定です。具体的には、事業者様が提供される独自アプリの搭載、サイネージ用途やその他業務・情報端末用途など、複数用途の中心に置けるデバイスを目指しています。また、次期STBの必須要素として、無線LAN対応(常時接続前提)、動画配信サービス対応、クラウドサービスとの連携強化などを考えており、これらを加速できるプラットフォームとして仕上げていきたいという方向性です。
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――最後に今年の抱負をお願いします
梶井 今年は、STBに加えてクラウドサービスを軸に、いかに付加価値を高めていけるかを重要なテーマとして取り組んでいきたいと考えています。昨年成果が出た点についてはさらに伸ばし、一方で十分に成果を出しきれなかった部分については、しっかりとキャッチアップを行い、より多くのお客様に採用いただけるよう推進していくことが大きな目標です。
放送・ケーブルテレビの区分を問わず、「業務の効率化」と「コンテンツの質の向上」という二つの軸は引き続き重視していきます。特にケーブルテレビ業界においては、事業者様の業務効率化に貢献する価値提供を中心に据えつつ、加入者様の体験価値向上にもつながる取り組みを進めていきたいと考えています。STBについても、まさにその方向性を目指して推進していきます。
また、STBだけでなく、AcroSignやKAIROSといったソリューションも活用しながら、業務ワークフローをどのように変えていけるのか、これまで紙で行っていた業務をどのように電子化していけるのかといった点も含め、実務に根ざした改善に今年は積極的に取り組んでいきたいと考えています。
この記事を書いた記者
- 放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。



