ノルウェー映画「Kraken」、 DaVinci Resolve Studioでグレーディング~スカンジナビア初のDolby Vision長編映画を制作

ブラックマジックデザインは、ノルウェーのSFスリラー映画「Kraken(原題)」の制作において、グレーディング、オンライン編集、フィニッシングを含むDIパイプライン全体にDaVinci Resolve Studioが使用されたと発表した。撮影監督のシュール・オートゥン(Sjur Aarthun, FNF)氏が撮影した本作は、Nordisk Film Shortcut Osloのシニアカラリスト、ディラン・ホプキン(Dylan Hopkin)氏によってグレーディングされた。
制作チームに加わったホプキン氏は、ノルウェーのソグネ・フィヨルドの壮大な背景に対して、親密な人間ドラマと生々しい生物系ホラーを両立させるという、独特な課題に直面した。「『Kraken』は、登場人物主体のエキサイティングなSFスリラーが持つべき特質を、すべて兼ね備えています」とホプキン氏は説明する。「人間的なサスペンス、ざらついた映像美、ジャンプスケア、すばやいアクション、そして不気味でありながらどこか詩的な生物が共存しています。」

ホプキン氏は、共同監督兼撮影監督のオートゥン氏と協力して、やや寒色寄りのクリーミーな黒、黄緑をわずかに強調したハイライト、そして高彩度の色相を特徴とするショーLUTを作成した。「全体を通したテーマは、現代ハリウッドの大作映画への敬意を込めつつ、スカンジナビア的な生々しいひねりを加えた、時代を超えたシネマルックを定義することでした」と彼は言う。

また、多様なロケーションも大きな課題となった。作成されたショーLUTは、フィヨルドのパノラマ風景、産業型の魚類養殖場、濁った水中シーンのすべてで機能する必要があった。ホプキン氏はまず、本作のティザーと予告編のグレーディングを行った。「このプロセスは非常に役立ちました。ルックを洗練させることができただけでなく、予告編のビジュアル表現が長編作品のニーズと異なっている部分を理解できました」と彼は説明する。

ホプキン氏は、macOS版のDaVinci Resolve Studioをベースに、DaVinci Resolve Advanced Panelと、劇場上映を想定したモニタリング用のデジタルシネマプロジェクション環境を用いて作業を行った。彼は、プロジェクトを通して固定ノードツリーを使用して一貫性を維持し、グループ ポストクリップ・ノードを使用して、連続性を保ったままシーン全体にわたる調整を行なった。

DaVinci Resolve StudioのAI駆動のツールは、このワークフローの中枢となった。「最も重要なのは、画質に妥協せずに、効果的な方法で良い結果を得ることです。ResolveのAIツールではそれが可能です」と同氏。

Magic Maskも、彼の複雑な選択作業のアプローチを大きく変えた。「以前は複雑なウィンドウトラッキングやロトスコーピングが必要だった作業も、今はより直感的に行えます」とホプキン氏は説明する。「私はこれを多用して、顔にライトを当て直したり、生物を分離したり、背景を調整する際に役者たちを対象外にしたりしました。」

DaVinci Resolve Studioの映画的なかすみエフェクトは、特にVFXリソースが限られている際に、雰囲気と連続性を維持するのに役立った。VFXで霧が追加されていないショットでテストが成功した後、ホプキン氏はその結果を制作チームに提示した。「彼らはすぐに気に入ってくれました。シーン全体にまとまりが生まれ、結果的に私がグレーディング内で直接処理するショットが増えました」と彼は話す。

統合されたツールセットにより、ホプキン氏は、通常はVFXに戻されるクリーンアップ作業も処理できるようになった。例えば、LEDスクリーンの背景からモアレを除去したり、複合ノードに組み込まれたノードサイズ調整によるオブジェクト除去などだ。「これらの問題をグレーディングで解決できると、プレートを書き出してVFXに戻すのよりはるかにスピーディです」と彼は加える。

「Kraken」は、劇場リリース用にDolby Visionでグレーディングとマスタリングが行われた初めてのスカンジナビア映画であり、グレーディングはロンドンにあるDolbyのBarnes Theatreで行われた。「画質は傑出していました」とホプキン氏。「リッチなカラー、きめ細かなハイライト、深い黒、暗部のディテールは、私が今まで映画館で体験したことのないものでした。」

これを実現するために、ホプキン氏がDolby Visionグレードにおいて活用したのが、DaVinci Resolve StudioのHDRグレードツールだった。「このツールのおかげで、細かなコントラストや彩度を任意のトーンゾーンでより正確にコントロールできるようになり、バージョン間の移行も予測しやすくなりました」と彼は言う。

ホプキン氏にとって、DaVinci Resolveの継続的な進化は、日々新しい機会を提供するものなのだ。「DaVinci Resolveの開発チームが、カラリストたちに実用的でパワフルなツールを届けようとしているのは明らかです。彼らのその姿勢が、このような野心的なプロジェクトを可能にしています」とホプキン氏は締めくくった。