ケーブル技術ショー開催レポート ミハル通信(3)

 ミハル通信の担当者は次のように説明した。
 「背負子には『ELL Lite』とカメラと無線機を積んでいます。展示会場内を歩いて背負子の人のその映像をミハル通信のブースに送っています。遅延はほとんどありません。スマートグラスを着けていますので当社の人間が一緒に歩いています。ミハル通信のブースにもカメラが置いてあります。このシステムは1台で双方向のやりとりができるので、ブースのカメラで撮った映像を、背負子の人のスマートグラス内部のモニターに映しています。この装置の特長として、オーディオインターフェースとして『Dante』を使っています。この装置はインカムを『Dante』に変換するので、これを使って、背負子の人が着けているヘッドセットと、ヘッドセットを着けたブースにいる人もやり取りができます。例えば『戻ってきてください』と話して指示をすることができます。この装置1台で双方向のやりとりができて、『Dante』でインカムの音声も送れるし、その現場の音声も送れる。映像の折り返しもできる。それを使って、リモートプロダクション的な素材伝送が行えるというデモンストレーションです」と述べた。

 「ELL Lite」の特長の詳細は次の通り。
 ①1セット(送信1台、受信1台)使用することで、2Kまたは4K映像を超低遅延で伝送可能②12G―SDI/3G―SDI/HDMI入出力部、音声入出力部、エンコード/デコード部、IP入出力部で構成され、2K、または4K映像のHEVCコーデックが可能③映像入出力は12G―SDI/3G―SDI、HDMI2・0を各1系統ずつ搭載※SDIについては補助データ非対応④音声入出力はSDI/HDMIエンベデッドに加え、MADI(1系統)、DANTE(1系統〈冗長〉)を搭載。映像と非同期でも音声を低遅延で伝送可能⑤音声は非圧縮PCMで最大64ch入出力可能⑥本器を対向で使用することで、双方向での運用が可能。遠隔地でのライブセッションなどに運用可能⑦IP入出力はELLストリーム(独自仕様)を採用⑧全ての設定/制御はWebブラウザーより行う⑨電源入力はXLRコネクターを使用し、バッテリー出力などから供給可能。

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。