イッツコム、戸建て住宅向け防犯カメラパックを提供
イッツ・コミュニケーションズ(イッツコム、東京都世田谷区、金井美惠代表取締役社長)は、地域の情報通信インフラ企業として、地域住民の安心・快適で豊かな生活環境の実現を目指している。同社は、不審者侵入などの自宅のセキュリティに関して不安を感じる顧客の声に応えて、イッツコムの高速インターネットサービスとセットで利用してもらうスマートホームサービス「iTSCOM HOME」の戸建て住宅向け防犯カメラパックの提供を始めた。年末年始は帰省やレジャーなどで長い期間、家を留守にすることが増える。近年は特殊詐欺や強盗など凶悪な犯罪を行うトクリュウの存在もある。こうしたことから留守宅を守る防犯カメラの導入に注目が集まっている。「電波タイムズ」では、同サービスの特長や強みなどを武田浩治執行役員スマートライフデザイン本部長、中村京介スマートライフデザイン本部副本部長・スマートライフ企画部長、千葉雅俊スマートライフデザイン本部業務統括部部長にインタビューした。
イッツコムでは、警察などの行政や自治会と連携し地域の防犯防災活動に取り組むとともに、安全で快適に暮らせる街づくりに取り組んでいる。地域課題解決のためにデジタルソリューションを活用した地域DXにも取り組んでおり、地域社会の持続的な発展を目指している。その一環として、防犯や見守りサービスを展開しており、今回防犯カメラパックのサービスは戸建て住宅向けに導入しやすい価格で利用してもらえるプランとして新設した。
武田氏は、ケーブルテレビ事業者であるイッツコムが戸建て住宅向け防犯カメラパックサービスを始めたねらいを次のように述べた。
「イッツコムは、情報発信のできる生活インフラを持つ事業者として、これまでテレビやインターネット、コミュニティFMのインフラを通じて、様々な地域情報や防災情報の発信、地域の警察署や消防署と連携した取り組みを進めてきました。ケーブルテレビ事業者として対面接点が非常に多い中で、今まで以上にお客様との信頼関係を築く目的で、昨年度から社内に信頼性向上委員会を立ち上げて、お客様からしっかりした信頼をいただけるような取り組みを進めています。行政や警察署、消防署との連携をその一環で深めていた中で、一昨年あたりからトクリュウと呼ばれる集団による凶悪な事件も各地で発生しました。地域の皆さまの不安が増大していく中で、我々は情報発信で河川情報や防災、地域の警察署と連携した見守りを進めてきましたがそれだけではなく、実際に安心安全を感じていただけるサービスも、しっかりご提供して貢献できないかという背景から、防犯カメラサービスの提供を開始しました」。
次に同社の防犯カメラサービスの概要と優位性を聞いた。中村氏は次のように話した。
「ポイントは、侵入者の不安を軽減できるサービスとして展開している点です。24時間の常時録画やフルHDの画質で防塵防水の対応がなされているなど一般的な基本性能を兼ね備えています。加えて、スマートライフデザイン本部にはアプリケーションを開発するメンバーがいます。アプリ開発の内製化が強みです。実際に『iTSCOM HOME』専用アプリを自社開発して、そこから24時間常時録画の防犯カメラ映像を、スマートフォンで使える『iTSCOM HOME』の専用アプリからリアルタイムに確認できるほか、映像のダウンロードも行えます。夜間は暗視モードで撮影ができ、カメラのスピーカー機能を使えば、アプリから遠隔で声がけも行えます。何か不審な動きがあった、不審者が付近にとどまっているなどという時に声がけで注意喚起を行うことができます」。
さらに『抑止効果』と『継続利用』が〝狙い〟だという。カメラ本体も一目で防犯カメラとわかるデザインのものを採用し、抑止効果をねらった外観となっている。
一方の継続利用ではバージョンアップを図っている。
「アプリを開発できるメンバーが通知機能のアップデートを進めています。画像の動体検知で反応した時にスマホ側に通知が来るものです。お客様としては買って終わりではなくて、不安を軽減するための継続的進化を目指したサービスを展開しています』(中村氏)。
イッツコムの高速インターネットサービスを防犯カメラの通信回線として利用することで、鮮明で安定した映像を確認できる。防犯カメラ1台目は工事費無料で設置。レンタル利用のため、初期コストを抑えられ、故障時には無償交換で対応する。
また、無線接続で設置する場合のメッシュWiーFiの導入など、インターネットサービスとあわせたサポートが充実。申し込みから設置・設定までワンストップで安心して利用できる。
防犯カメラを設置する際は、電源や通信環境の確保、外観を損なわない配線など様々な課題がある。イッツコムは、通信サービスを提供するとともに、設置工事やアフターサポートにおいても高い技術力を有しており、安心して施工を任せられる。
さらに、安心して継続して使ってほしいので、機器自体もレンタルでの提供となっている。「筐体が万が一壊れてしまったり、防犯カメラがどこを狙うのか角度を決めていますが、高所に設置している機器の位置が台風等でずれてしまった場合、我々はサポート体制を整えています。使いはじめた後のフォローもしっかり行っています。壊れたからそのままにしてしまうことがないように、安心安全を我々が守っていきますとの思いでお届けしています」と中村氏。
さらに中村氏は「東急グループには総合的なセキュリティサービスを提供する東急セキュリティ(東京都世田谷区、下形和永代表取締役社長)があり、同じグループ会社として連携できるのは強みです。東急セキュリティの防犯ステッカーによる抑止力向上に加え、画像による動体検知に反応して通知が来た時に電話をすることで東急セキュリティの警備員が駆けつけるサービスの展開を視野に入れています」という。
イッツコムは、放送エリア内の神奈川県警察 青葉警察署、宮前警察署、中原警察署、高津警察署、緑警察署と「地域安全に関する協定」を締結している。取り組み内容は▽特殊詐欺をはじめとする各種犯罪等の被害防止に関する活動▽各種犯罪抑止や交通事故防止にかかる広報啓発、情報発信活動▽子供、高齢者の見守り活動など。
千葉氏は「当社は、東急線沿線の通信・放送インフラを担う企業として、『安心と快適さ』をお届けすることを経営理念に掲げており、特殊詐欺などの被害が増える中で、安全で豊かな街づくりを目指して、地域の警察署と『地域安全に関する協定』を締結しています。『イッツコムチャンネル』での放送を通じて、犯罪未然防止などに関する情報発信や、各警察署が実施する防犯や交通安全イベントなどの取材・放送を行うほか、営業・サポートスタッフがお客さま宅を訪問する際に、警察から提供される防犯情報の裏面に防犯カメラパックや迷惑電話ブロックについて掲載したチラシを配布するなど、啓発活動を推進しています」と説明した。
イッツコムは9月6日、プラーザホールbyイッツコム(横浜市)にて防犯をテーマにした笑いと学びの公開収録イベントを開催した。収録したのは、イッツコムチャンネルで放送中の地域情報バラエティー番組「ウド様おねが~い? ココロつながるポジティブCATV」。
キャイ~ンのウド鈴木がMCを務め、持ち前のポジティブシンキングで地域の人たちとともに、地域を盛り上げる企画を届けているレギュラー番組で、今回は特別企画として公開収録を行った。青葉警察署と「地域安全に関する協定」を締結したことがきっかけになった。同署から「地域のみなさんにもっと防犯について知ってもらいたい」との要望があり、番組とのコラボレーションが実現した。
イッツコムは、こうした防犯に関する啓発活動の取り組みで地域安全に貢献したとして10月28日に横浜市役所で開催された「横浜市防犯協会連合会 防犯功労者表彰式」にて、防犯功労団体として表彰を受けた。この防犯功労者表彰は、横浜市防犯協会連合会が、横浜市において日常的に防犯活動を実施し、犯罪の防止や防犯意識の普及・向上などに顕著な功績があった個人および団体を表彰するもの。
今後の展開について中村氏に聞いた。
「社内でアプリケーション開発を進めていく中で、地域の自治会等に向けた新しいサービスの実用化に取り組んでいます。高齢化に限らず自治会の方々から様々な課題を相談受けており、例えば、自治会内の情報共有の効率化や災害時の安否確認が難しいなどが挙げられます。これらの課題を解決するために、スマホで自治会の回覧板を閲覧できる仕組みや安否確認のための仕組みなどを提供していく予定ですが、ご高齢者の方からはスマホの操作が難しい、画面が小さくて見にくいといったご意見もいただいているため、我々がすでに提供している自治体の配信する防災情報や生活情報を音声とテレビ画面で自動的に知らせるサービス『テレビ・プッシュ』というサービスを活用して、テレビ画面でも閲覧いただけるサービスも今後提供予定です。加入者のお客様個人とのコミュニケーションだけではなくて、広く地域コミュニティとしてのお客様とのコミュニケーションを取っていくことで、広範囲で町全体を見守っていきたいと思っています」と話した。
最後に武田氏は「我々のような地域に根差した事業者は、お客様に情報発信を行うのはもちろんですが、お客様が困った時、それを解決するものをどこから調達すればいいのか悩まれる時に、事業者が自社でしっかりご紹介できるものを持つことは重要ではないかと思っています。全国のケーブルテレビ事業者様で、自社で地域課題を解決するサービスの拡充をお考えのところは、我々からご提供もできますし、ご一緒して何か協力していけたらと思っていますのでお声掛けいただければと思います。より広いお客様にリーチができて、街全体がさらに安心安全な地域になっていくことが我々の願いです」と話した。
この記事を書いた記者
- 元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。
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