ケーブルテレビ業界3団体が新年賀詞交歓会

 一般社団法人日本CATV技術協会(東京都新宿区、中村俊一理事長)、一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟(東京都中央区、今林顯一理事長)、一般社団法人日本ケーブルラボ(東京都中央区、松本修一理事長)のケーブルテレビ業界3団体は、1月21日にホテルニューオータニ(東京都千代田区)で、「2026年ケーブルテレビ新年賀詞交歓会」を開催した。
 最初に、中村俊一日本CATV技術協会理事長が主催者代表挨拶を行い次のように述べた。
 皆さまには、ケーブル3団体の事業活動に多大なるご支援、ご協力を賜り、まことに厚く御礼申し上げます。日本ケーブルテレビ連盟、日本ケーブルラボ、そして日本CATV技術協会3団体を代表して、一言ご挨拶をさせていただきます。
 昨年は青森県東方沖地震、台風などの自然災害、全国各地で多発しました大規模火災、またクマの脅威にさらされた1年でした。さらに、新年になりましても、山梨の森林火災、さらには鳥取、島根の大型地震が発災しました。被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。
 このような状況下、ケーブルテレビは地域社会の防災や安心安全のための基盤として、災害時にも迅速かつ正確な情報提供が求められます。国においても、被災情報や避難情報を国民に適切に提供できるように、私どもには放送ネットワークの強靭化、耐災害性強化に関する取り組み、体制整備についてご支援、ご指導をいただいています。
 放送を取り巻く環境は、ブロードバンドの普及やインターネット動画配信サービスなど、視聴スタイルの変化によって、最近はテレビ離れが加速し、視聴者は情報を放送からのみでなく、インターネットから得ることが増えるなど、大きく変化しています。
 その中で、インターネット空間においては、特に災害が起きた時など、偽誤情報、フェイク画像といった発信の問題も顕在化しており、情報の健全性、信頼性の確保が課題となっています。そうした中、ケーブルテレビは総世帯数の半数を超える加入世帯となり、地域社会の重要な情報インフラとして地域住民の安心安全を支える役割を果たし、今後も皆さまとともに進化し続けたいと考えています。
 日本CATV技術協会は、会員構成はケーブルテレビの材料、機械、機器、ケーブルのメーカーと、全国の施工業者等であり、各支部で何か起こった時にはどこからででもすぐ補完できるような体制を作り続けています。ケーブル事業を技術面から支える集団として、ケーブル技術の向上普及を図り、放送システムの光化促進など、特に良好な電波受信環境の実現を図るための活動等、〝放送をあまねく〟を合言葉にして、まい進してまいります。
 2026年は60年に一度の丙午(ひのえうま)の年です。丙午は情熱や変化を象徴し、エネルギーに満ちた年とされています。今年が物事を大きく広げ、新しい挑戦に良い結果をもたらすチャンスの年となることを願っています。
 スポーツイベントも目白押しで、2月から始まるミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックを皮切りに、WBC、さらには6月からワールドカップといった世界的なビッグイベントが開催され、ライブ中継としての高品質な4K画像とともに、ケーブルテレビ事業がますます活気づく契機になると思います。
 今年も国、ケーブルテレビ3団体、自治体などは緊密に連携し、チャレンジ精神を常に持ちながらケーブルテレビの発展、高度化、信頼性向上に向けて、地域社会が貢献できる取り組みを行っていきます。

 続いて、林芳正総務大臣が来賓祝辞を行い次のように述べた。
  ここにおられる各団体、会員企業の皆さまには、日頃より情報通信産業の発展にご尽力いただくとともに、総務省の情報通信行政に格段のご理解とご協力を賜り、厚く御礼を申し上げます。
 ケーブルテレビ事業は、これまで全国各地の暮らしを支える重要な基盤ということで発展をされてこられたと承知しています。とりわけ地域の情報、そして生活情報、災害時の緊急情報などを迅速に的確に届ける役割、これは地域の安心安全にとって欠かすことのできないものであると考えています。実は今月10日に総務大臣として宮城県を訪問させていただき、東北地区のケーブルテレビの皆さま、会長にもわざわざお越しをいただいて、災害復興での放送及び地域コンテンツ発信に関する取り組みについて、現場の具体的なお話をお伺いすることができました。
 災害復興放送では、特に東日本大震災の発災直後における街の映像、まだ津波が来る前の映像がありました。また、被災地中学校の卒業式で、卒業生代表が涙ながらに力強く答辞を行う映像を視聴して、もらい泣きしました。これら映像は、やはり地域の歴史をつないで未来に教訓を引き継ぐための大変大切な財産であり、地域に根ざした放送事業者だからこそ残すことのできたものです。ご説明された方の〝記憶は風化するけれども、記録は残る〟という言葉が大変印象的でございました。
 こうした震災からの復興の歩みとともに、地域の記録と記憶を守って次の世代に継承をしていく、皆さまの姿に大変深い感銘を覚えました。総務省としても、引き続き災害に強い放送施設の整備等を支援していきたいと考えています。
 また、地域コンテンツの発信では、自治体との連携のもとで、地元の名物、これを海外へ発信する取り組みについてもお話を伺いました。こうした取り組みは、観光振興そして地域ブランドの向上にも寄与し、地域の活力を生み出す重要な役割を果たしており、こうした役割もケーブルテレビの大きな強みであるということを改めて感じました。
 さらに、近年、ケーブル事業者の皆さまには、地域DX(デジタルトランスフォーメーション)の重要な担い手としても存在感を高めており、スマート農業、ドローンを活用した買い物支援など地域の課題の解決に直結する取り組みが各地で進められていると承知しています。総務省としても、皆さまとの連携を図りつつ、地域課題の解決に向けた取り組みをしっかりと進めていきたいと考えています。

 続いて、堀内詔子総務副大臣が来賓祝辞を行い次のように述べた。
 情報通信技術は目まぐるしく進化し、日本経済をけん引する重要な原動力であり、豊かで安心安全な社会づくりの礎です。私はこうした技術の進展によって、地方が持つのびしろ、これを活かして地方の活性化に貢献していきたいと考えています。地域に密着したケーブルテレビの存在は欠かせないものと思っています。
 日本ケーブルテレビ連盟においては、わが国が直面する課題に対するケーブルテレビのあり方を示す「2030ケーブルビジョン」を策定しています。これに基づき、皆さまが構築した放送通信インフラを活用し、地域DXによる社会課題の解決に尽力されていると承知しています。
 また、日本ケーブルラボでは、 AIアナウンサーなど生成AIの放送への活用を研究されているとお聞きしています、その実装に期待をしているところです。日本CATV技術協会においては、業界全体を支える技術者の育成から現場の設備の維持管理に至るまで尽力していると認識しています。
 また、さきほどケーブルテレビの皆さまが災害時に担う役割についてのお話もありました。災害時におけるこのような情報発信は、地域の皆さまの安心安全な地域づくりにはなくてはならないものです。総務省としては、皆さまと連携しながら情報通信技術を通じた地域活性化やわが国の放送業の発展に今後とも全力を尽くしていきますので、皆さまのお力添えをよろしくお願いいたします。

 NHKの稲葉延雄会長が来賓祝辞を行い次のように述べた。
 日本ケーブルテレビ連盟、日本CATV技術協会、日本ケーブルラボの皆さま、そして本日ご来場の関係者の皆さまには、日頃よりNHKの事業に格別のご理解とご協力をいただきまして、御礼申し上げます。
 昨年は放送百年という大きな節目でした。その記念すべき年に、NHKのインターネット業務が必須業務となって、新たなサービス「NHK ONE」をスタートさせることができました。私たちは、通信の世界でも、正確で信頼できる情報やコンテンツを、質量ともに豊富に提供して、ネットを含む情報空間の偏りや歪みを是正する情報空間の参照点としての役割を果たすことを目指しています。その際に私たちが重視しているのは、単に注目や関心を集めるだけのアテンションエコノミーの仕組みから距離を置くことです。事実と論理に裏打ちされた確かな情報コンテンツを実直に出していくこと。これこそがNHKらしいNHKならではの価値であり、公共放送、公共メディアが果たすべき役割だと確信しています。
 さて、その放送101年目になる本年、2026年は大型スポーツイベントが相次ぐ、いわばスポーツの年ではないかと思います。まず来月、ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックが開幕します。 NHKではBSをはじめとした放送はもちろん、NHK ONEにおいて全競技全種目の配信を行う予定です。
 また、 6月にはアメリカ、カナダ、メキシコの3カ国共同開催されるサッカーワールドカップが控えています。NHKでは1次リーグの日本戦すべてを生中継するほか、NHK BSプレミアム4Kでは全104試合を高精細な映像でお伝えします。このように配信だけではなくて、衛星放送のコンテンツも一層充実しますので、放送配信の両面において、さらなる利用促進に向けた皆さまのお力添えをぜひお願いしたいと思います。加えて、2025年のケーブルテレビ事業者の皆さまによる受信契約のお手続きに関しては、日頃のご尽力に加えて、DX(デジタルトランスフォーメーション)化の取り組みなどによって、昨年度を上回る成果となっています。この場をお借りして、改めて深く感謝を申し上げます。営業面においても、新たな時代に即した連携の形を模索しつつ、引き続き力強いご支援いただきますようお願い申し上げます。
 さて、私事ですが、今月24日の任期満了を持って、NHK会長を退任します。後任の井上樹彦次期会長をはじめとする新執行部が、NHKの使命達成と放送文化のさらなる向上に向けて、チーム一丸となって全力で取り組んでくれるものと確信しています。ケーブル事業者の皆さまと、未来に向けてともに手を携えて、共存共栄の精神で前進していきますので、今後とも変わらぬご支援、ご協力をいただきますようお願い申し上げます。

 続いて、塩冶憲司日本ケーブルテレビ連盟会長が乾杯挨拶を行い次のように述べた。
 先ほど林総務大臣からもありましたが、新年、宮城県にお越しいただいて、東日本で災害を受けた塩竈、気仙沼、釜石の皆さんをはじめ、東北の皆さんのお時間を頂戴して、いろいろなお力をいただいて、非常にいい時間だったと思います。
 私たちの本分はやはり地域です。「2030ケーブルビジョン」には「地域DXで地域を豊かに、人々を笑顔に」と掲げています。まさに災害対応は、その一丁目一番地ではないかと思っています。
 林大臣からは、記憶を風化させないための記録をしっかり我々が残していくことが、これからいろいろなところで、何が起こるかわからない災害に対応していくことができるとの声がありました。本年も、我々一丸となって地域の安全安心を守っていくために、ケーブル事業者340社、また、その関連事業者で連盟会員490社が一丸となってしっかりと地域を支えていければと思っています。
 乾杯後、参加者は歓談をして親交を深めていた。

 松本修一日本ケーブルラボ理事長が中締めの挨拶を行い次のように述べた。
 地域に根ざし、社会や暮らしを支えるという大きな命題を担うケーブルテレビ業界においては、非常にこれからの発展が期待されていると認識しています。その一方で、技術ということであれば、昨年、少し停滞感を感じたことがあります。
 一方で、通信業界に関して言えば、AI、それからXR、それからIoTと進歩が著しい。ケーブル業界としては、これらの技術を真正面から受け止めて、それで自分たちの中に取り込んでいって〝ものにする〟ことをしていかなければいけないと感じています。
 特に、ケーブルラボでは、AIの活用とオールIP化という2つの技術課題を中核のテーマとして、皆さんにいわゆる事業に直結できる、活かす、それで価値創造ができる、そういったものを指向していきたいと、そのためにはスピード感を持っていかなければいけないと思っています。
 ケーブルラボは、業界の技術開発の拠点として、引き続き頑張っていかなければいけない。体制の強化も必要になるので、皆さんのご理解を得ながら飛躍していきたいと思います。振り返ってみると、後々、令和8年というのはAI元年だった―と言われるような成果を、今年は出していきたいと思います。

この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。