
NHK 戦後80年 音楽と戦争を見つめるドキュメンタリー「音楽はかつて“軍需品”だった」 8/16放送
幻の「戦時楽曲」253曲を発掘
NHKは8月16日の夜、Eテレで音楽と戦争について考えるドキュメンタリー番組「音楽はかつて“軍需品”だった~幻の楽譜に描かれた戦争~」を放送する。
NHKの倉庫で80年前に日本放送協会が作曲家たちに依頼したオーケストラや吹奏楽のための作品、253曲の「幻の楽譜」が発見された。これらの楽曲は、「赤とんぼ」で知られる山田耕筰や古関裕而など、当時第一線で活躍していた作曲家たちが手掛けたものだった。
当時、政府が掲げたスローガンは「音楽は軍需品なり」。ラジオは音楽を茶の間に伝え、時代の要請に応じ、音楽を通じて人々の気持ちを戦争へと駆り立てていた。番組では、この貴重な発見を基に、戦時下で音楽がラジオを通じてどのように使われたのか、そして音楽家たちがどう生きたのかを問う内容となっている。
政治学者で音楽評論家の片山杜秀がこれらの「戦時楽曲」の楽譜を分析。そこからは、戦時下において音楽を通じて人々を統制しようとした政府や軍の思惑、そして時代の要請に応じたラジオの姿が見えてくるという。
楽譜の中には、名だたる作曲家たちの名前が並ぶ。特に注目されるのは、山田耕筰が沖縄戦終了後に書いた「沖縄絶唱譜」だ。この楽曲はこれまで公にされておらず、「幻の楽曲」とされていた。また、当時日本の植民地だった台湾出身の作曲家・江文也が紡いだ音楽にも光を当てる。戦時下で人々の心を癒やした音楽とは何だったのか、その実像も探る。さらに、当時を知る俳優・黒柳徹子の証言も交え、音楽が「軍需品」であった時代の様子が紐解かれる。
■番組概要
「音楽はかつて“軍需品”だった~幻の楽譜に描かれた戦争~」
放送:8月16日(土) 午後10:00~10:59
出演:黒柳徹子(俳優)、片山杜秀(政治学者、音楽評論家)、山中恒(児童文学者)。
演奏:砂川涼子(ソプラノ)、田中俊太郎(バリトン)、東京フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)、神奈川ハーモニック・クワイア(合唱)、沼尻竜典(指揮)
この記事を書いた記者
- テレビ・ラジオ番組の紹介、会見記事、オーディオ製品、アマチュア無線などを担当